協力。
とりあえず、黒い霧と魔物の対応をしながら、小細工したやつを探しだそう。
んー?
少なくとも、古代神語が分かるやつだよな。
だけど、魔導の塔の連中はチャビの暴走で子供に戻ってしまったから、話を聞く事は出来ない。
「……」
情報が少なすぎるし、私一人では手が足りないよな。
猫の手も借りたい……。
つい、目の前にあったよつばの肉球をぷにぷにしたら嫌がられてしまった。
いや、真面目に考えよう。
普通ならギルドに頼るところだが、元凶が神様となると難しいところだ。
おまけに、運命神が誰を滅ぼそうとしているかもハッキリしない。
違う世界からきたものを、《ことわり》をはずれたものとして排除しようとしている事は分かっているのだが。
誰がそうなのか、という事はもはや本人達にも分からないくらい、この世界に馴染んでしまっているのだとミーコさん達が言っていた。
だとすると。
ハッキリしている人達に、忠告がてら、協力を求めてみるか。
んー?
まずは、サナとナルシ。
魔導の塔の出身の父親と、火の神の娘の末裔の血を引いている。
この二人がいなくなると、地下迷宮の魔方陣は無力化され、火山が噴火してしまうらしい。
多分、火の神様からある程度事情も聞かされているだろうし、腕のたつ冒険者だ。
二人の養い親であるナロクもドワーフだから無関係ではないし、協力してくれるだろう。
それと、エルフ達だな。
「とおみ」の力を持つみうなら、何か分かるかもしれないし。
虹雲の卵の事で、私達に恩義を感じてくれているようだし、頼めば翡翠の森全体が協力してくれるはずだ。
なにより、一度黒い霧に覆われているから、こちらの話も信じてもらえるだろうし。
問題は、エルフ達が意外と頭に血がのぼりやすい事なんだよな……。
事情を知ったら運命神に直接殴り込みをかけそうだが、まぁ、そうなったら、うちの魔王様に(力ずくで)止めてもらうとするか。
あとは、真珠国か。
エルフやドワーフ達と違って、この世界の誰もが、真珠国が違う世界からきたという事を知っている。
私も、こちらの世界の絵本を読んで真珠国の歴史を知った。
エルフやドワーフ、こちらの世界に馴染んだ人達と比べれば、真珠国は比較的新しいのだ。
それに、真珠国はまだ黒い霧に覆われていない。
さすがに、国レベルを私達だけで守るのは無理がある。
滅ぼすなら、数時間もあれば十分なんだろうけどな……。
すやすやと眠るくぅとチャビを見ながら、私はため息をついた。




