理由。
「全てを、元に戻したいらしい」
そう言って、ミーコさんはやれやれという風にため息をついた。
「それ、誰なんですか……?」
一瞬、神様達は目を合わせた。
「運命神だよ」
運命神……って、確か、山岳都市オニキスにさびれた神殿があったよな?
何だっけ……。
「『全て、運命だと思って受け入れろ』……?」
いやいや、言っている事とやっている事が違いすぎやしませんかね!?
しかも、元に戻すって言いながら、村を魔物に襲わせてどうするんだよ!
「暴走していると言えば、分かりやすいかのぅ」
農耕神様が、困ったような表情を浮かべている。
「言っている事は前から変わっておらんのじゃが、手段を選ばんようになってしもうた」
……まさかとは思うが。
「真珠国の御神体や、エルフ達の虹雲の卵が盗まれたのは……」
「あやつが、そそのかしたんじゃろうな」
やっている事がメチャクチャだろ!
いや、待て。
守護するものを奪ってから、黒い霧で魔物をおびき寄せるつもりだったのか?
じゃあ、何で、普通の村が魔物に襲われた……?
「今じゃ、この世界の半分は異世界にルーツを持っていてねぇ」
まさか、それを全滅させるつもりだった……!?
「すでに、やつは《ことわり》を書きかえてしもうたようじゃからな」
「《ことわり》って、何の事ですか?」
「分かりやすく言えば、運命神の書いた筋書きってところだな」
んー?
運命神には、この世界の未来を決める事が出来るという力がある。
そして、世界の半分を滅ぼそうとしている……。
うん、分かった。ここまでは理解した。
多分、前にラーラ達が言っていた「《ことわり》をはずれたもの」とは、運命神にとって滅ぼすべきものという意味なのだろう。
「さきみ」の力を持っているラーラには、未来が見える。
だから、隠れて住んでいたのか。
「神様達で、どうにか出来ないんですか?」
私の言葉に、ミーコさんは顔をしかめた。
「運命神が書きかえてしまったようだからねぇ」
「神同士が干渉すると、力が大きすぎての」
「ほかの世界ごと消滅しかねんのじゃよ」
つまり、手の出しようがない……?
「だから、必要だったのさ」
そう言って、ミーコさんはじぃっと私の方を見た。
いや、ミーコさんだけではない。
海神様も農耕神様も火の神様も、みんな私の方を見ている。
まさか……。
「猫が」
……………………。
やっぱり、メインは猫だったのかよ!!




