神様。
いや、待て。
あの時、この村の人は何て言っていた?
ラーラの予言は、確か……。
《九つの猫の魂が救ってくれる》
うちの子達は八匹だったから違うと言ったけど、なら、これが九匹目の猫……?
だとしたら。
「ラーラ達は無事かもしれない」
もう一匹の猫が、助けにきた可能性が出てきた。
「せり、この猫の気配わかる?」
せりはふんふんと足跡の匂いをかいだ。
しつこいくらいにかいで、それから首を傾げた。
なんだか不思議そうな表情をしている。
「……?」
どういう意味だ?
ただ、気配を追う事は出来ないようだった。
んー?
せりが無理なら……。
その前に、女神様に連絡しないと。
心配してるだろうし。
『誰も、いないんですか……』
私の話を聞き、女神様は言葉を失った。
『私の結界も加護も、意味がなかった……?』
泣きそうな声だった。
「落ち着いて!」
『でも……』
ラーラ達は無事でいる可能性がある。
あの足跡の持ち主が助けに来たのなら。
「女神様の力があったから、それまで持ちこたえのかもしれないでしょ!」
『つかささん……』
「これから、翡翠の森に行ってくる」
エルフ達が住む翡翠の森。
その長の娘であり、「とおみ」の力を持つみうなら何か分かるかもしれない。
「何か分かったら、連絡する」
『はい……』
いつもの元気がない。
……この先、もし、彼女の守護するクリスタルの人々に何かあった時、女神様は耐えられるのだろうか。
オパール王国で会った農耕神様の事を思い出した。
海神様や火の神様はふるき神らしいから、色々な事を見てきただろう。
それらを全て飲み込んで、神様達は笑ってみせるのだ。
「……」
私が、口を出すべき事ではない。
「キング、翡翠の森へ『空間転移』」
私が今しなければならないのは、ラーラ達を探す事だ。




