竜殺し。
「……お疲れ様でした」
そう言って、女神様はうかがうように私を見た。
「大変、でした」
私は、大変、のところに力を入れて言葉を返した。
「すみませんでした!」
「神様達はみんなアレだし、猫達はエラい事になるし」
「すみませんでしたってば!!」
だから、こうしてお詫びの品を用意していたでしょう、と女神様が言う。
わざわざ向こうの世界から取り寄せた品物が並んでいる。
チューブ入りのわさびもあった。
「そういえば、つかささん、新しい通り名がついたんですよね?」
「……」
りゅうたろう達だけではなく、キングにまで先を越されたくぅの機嫌が悪くなり、一声鳴くだけで世界を滅ぼしかねなかったのだ。
仕方なく、あちらこちらのギルドで狂暴なドラゴンの情報を仕入れて現地に向かったのだが。
どういうわけか、くぅの前にだけドラゴンは現れなかった。
ほかの猫達がドラゴンを狩るなか、くぅだけは一頭も取れず、機嫌は下降する一方だったのだ。
結局、くぅが今までで一番大きなドラゴンを狩るまで連戦するはめになり、ついた通り名が「竜殺し」だった。
いや、狩ったのは猫だし!
私は、地面に木の枝で落書きしてただけだし!!
「でも、ドラゴンの気持ちも分かりますけど」
「え?」
「怒り狂っているくぅさんの前に姿を現すなんて……」
いえ、雄姿は見たいんですけど、ものすごく、と女神様は悶えている。
そうか、ドラゴンさえくぅには恐れをなしていたのか。
魔王様、ご健在です……。
第五部 完
これにて、第五部終了となります。
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