ドラゴン狩り。
さて、これからどうするかな。
魔炎石との合成には、一週間ほどかかるらしい。
ガーネットに宿を取って……。
いや、ダメだ。火の神様が押しかけてきかねない。
んー?
「お、まだいたな」
ギルドマスターが声をかけてきた。
「……」
「どうした、渋い顔をしやがって」
「いや、ギルドマスターに声をかけられる時は、大抵ろくな事がないもので……」
私の言葉を聞き、ギルドマスターはにやりと笑った。
「いい勘だな」
「……で、なんですか?」
「ドラゴン退治を頼みてぇんだよ」
本来、ドラゴン退治は百人規模の体制で行うものだ。
しかも、ドラゴンも冒険者達もぼろぼろになって、ようやく決着がつく。
「私に声をかけたという事は、素材目当てですか」
りゅうたろう達が狩ったドラゴンは、かみちぎった翼以外全て素材として使えるようだった。
「無論、それもあるんだけどよ」
ギルドマスターが、あごを撫でながら言った。
「噴火騒ぎの時に地下迷宮から逃げ出した魔物を狙って、現れたらしくてな」
魔物を狙うという事は、かなり狂暴なドラゴンだ。
「今、この街にはそんなドラゴンを相手に出来る冒険者は数がいねぇしな」
んー? どうするかな。
キャットハウスから、くぅが顔を出した。
「にゃお!」
……分かりましたよ。
りゅうたろう達に先を越されたくぅは、どうしてもドラゴンを狩りたいらしい。
「ドラゴン退治、引き受けました」
「なるべく綺麗な状態で頼む」
「猫に言ってください」
それもそうだと、ギルドマスターはくぅの顔をのぞき込んだ。
「黒焦げとかは、やめてくれよ?」
「にゃお!」
くぅは、そわそわした様子で私を振り返った。
「ご飯、食べてからね?」
でないと、「魅了」スキル持ちになったよつばが何をするか。
いや、食べ物を貢がせるだけだな。
「場所を教えてください」
ドラゴンの出現を待ちながら、テントを張ってご飯にすればいいだろう。
ガーネットにとどまっていると、また火の神様の話を聞かされる気がするし……。




