第三の猫、参上! って、どこから?
「りゅうたろう、痛いってば!! よつば、それ食べちゃダメ!!」
次の目的地に向かって出発した私達は、途中の森でテントを張って休んでいた。
目的地といっても、具体的な場所が分かっているわけではない。
世界はやっぱり広いし、猫達は自由に移動しまくっている。
女神様にも把握しきれないらしい。
それでも近くまでいけば、テイマーである私には気配が分かる。
多分、こっち……? という女神様のあやふやな情報にもとづき、オパール王国から東に向かっていた。
「東の方には、海があるんだねぇ」
コーヒーを飲みながら、マップを確認する。
りゅうたろうは私のひざの上に座ってくつろぎ、よつばはまた食べている。
……まさか、無限収納の中のご飯まで食べ尽くす気じゃないだろうな。
「さて、そろそろ出発しましょうか」
翌朝、テントをしまって再び歩き始めた。
森の中には魔物がいるかもしれないので、りゅうたろうには虎くらいの大きさになってもらっている。
よつばはキャットハウスの中だ。
無限収納とは別のスペースなので、勝手に食べたりは出来ない。
ちなみに、女神様はよつばのもふもふにまたしてもメロメロだ。
……その猫、あざといんだから騙されるなよ!!
しばらく歩いたけれど、まだ当分森の中を抜けそうにない。
りゅうたろうに警戒しているのか、魔物達も全く姿を見せない。
森の中なので、見えるのはうっそうと茂った木のみ。
「……平和だ」
平和すぎて、暇だ。
……もしかして、私、スローライフ向いてない?
少し、休憩を取ろう。
「あー、もふもふ最高」
横になったりゅうたろうのお腹にもたれかかり、私はだらっと座った。
自分が腕枕されたいりゅうたろうは、少しだけ不満そうだ。
このソファーは人をダメにする……。
異世界って、素晴らしい。
「なんか、眠くなってきた……」
うとうととした瞬間、
「ぐえっ!!」
お腹の上に衝撃を感じ、私は目を覚ました。
「え、何?」
りゅうたろうはまだスピスピ寝ているから、魔物が襲ってきたわけではないだろう。
周囲を見回すと、とてとて足音を立てながら走っていく黒猫が見えた。
ビミョーにお腹が出ている中年太り風の体型。
何より、あのブサイクな走り方は。
「福助!!」




