私は貝。
「つかささん、お話があるんですけど……」
いつものように荷物を受け取りに行くと、女神様がもじもじとして言い出した。
「……今度は、何をやらかしたの?」
「違います! っていうか、私、やらかした事なんかありませんし!」
ほほぅ?
チャビの暴走に巻き込まれでもしたかな、女神様?
「転生しょっぱなに、猫達を逃がしたのは誰だったかなぁ?」
「うぐ……」
「世界が滅びなくて、よかったねぇ?」
女神様が、ジト目で私を睨んだ。
「つかささん、今日意地悪です」
「……ごめん、八つ当たりしました」
加護持ちになってしまったくぅ達が、うっかり世界を滅ぼす夢を何回もみたので寝不足なのだ。
「で、話って?」
「つかささんと話をしたいとの事で、仲介を頼まれまして」
女神様に仲介を頼む……?
何か、嫌な予感しかしないんだが。
「海神と、農耕神と、火の神です」
「……………………」
私は何も聞いていません。
「つかささん!」
聞こえない!
私は耳をふさいだ。
「私にも立場があるんですよ!」
知らん!
「私は神の中では若い方だから、海神や火の神に頼まれたら断れないんです!」
神様って、縦社会なのか……。
「農耕神はオパール王国を守護しているから、よつばさんやフラーの事がありますし」
うーん、よつばがオパール王国の食糧を食い荒らした件は、飼い主である私にも責任はあるけどさぁ……。
だけど、私はもう厄介事に関わりたくない!
聞こえない、聞こえない。
「つかささん、お願いします!」
私は貝。




