それでも。
「あれ? でも、チャビさんの暴走に巻き込まれると、記憶も消えるんじゃ……?」
ナロクが若返った話をすると、女神様は首を傾げた。
そうなのだ。
ドワーフの寿命がいくら長くても、記憶は消えてしまう。
けれど。
「サナとナルシ以外の事は、百年くらい覚えていないんだって」
「お二人の事は覚えていたんですね」
愛ですね! と女神様は目をきらきらさせて言った。
愛、ねぇ……。
サナ達が、火の神の娘の血をひいている事も関係あるかもしれないが。
それでも。
自分にとって一番大切なものだけは、残るのかもしれない。
魔導の塔の連中には、何もなかったんだろう。
「私だと、猫か……」
大体、転生の理由も猫だったしな。
「女神様。猫神様に会えないかな?」
「ちょっと、難しいかもしれませんね……」
猫神様は、気まぐれにほかの世界と行ったり来たりしていて、所在がはっきりしないらしい。
それで、決まった神殿もないのか。
大体、どこの街に行ってもそれなりに信仰はされているようだが、クリスタルにある女神様の神殿のような立派な建物はなかった。
「どこの神殿でも大丈夫ですよ」
女神様が、にこにこしながら言った。
神様なので、どこからでも祈りは届くらしい。
ただ、聞いてくれるかどうかは、猫神様の気分次第との事だ。
人には、真珠国の神様の件を勝手に押し付けておいて……。
まぁ、仕方がない。
神様といえど、猫だもんなぁ……。
第四部 完
これにて、第四部終了となります。
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「うなぁぁぁおぅぅぅ!」
「くぅ、それはダメだ! それは!」
「くぅさん、そ、それはさすがにアウトだと思います……」




