地下迷宮。
「ここが、地下迷宮か……」
洞窟のような入り口をのぞくと、ゆっくりとした下り坂になっていた。
先の方は、暗くてよく見えない。
「りゅうたろう、大きくなって」
肩からひらりと飛び降りたりゅうたろうが、虎ほどの大きさに姿を変えた。
ひもをつけられるように、ナロクに炎鉱石の明かりを加工してもらった。
それを、りゅうたろうの首にぶら下げる。
触っても熱くないから大丈夫だ。
「せりと一緒に、先を歩いて」
せり、真っ黒だから見失いそうなんだよな……。
猫達は暗くても大丈夫だから、さっさと行ってしまいそうだし。
「よつばは、りゅうたろうの後ろを歩いて。罠があったら『解除』してね」
よつばは、もふもふのしっぽをぴんと立てた。
私は片手に炎鉱石の明かりを持った。
念のため、ナイフはすぐ使えるように腰に下げてある。
草刈り鎌の方が、本当は使いやすいのだが……。
「せり、サナとナルシを『気配察知』」
さて、行くか。
せりはひげをぴくぴくさせながら歩いている。
その横を、明かりを首から下げたりゅうたろうが歩く。
天井が高いせいか、思っていたより圧迫感はない。
んー?
どう見ても、自然に出来たものじゃないよな……。
壁なども加工してあるようだ。
ナロクに聞いたが、ドワーフ達が火山の麓に住み着くより前からあったらしい。
道が、三ツ又に別れていた。
せりは迷わず、真ん中の道を進んだ。
「サナ達、迷わなかったのかな……」
地下迷宮の中では、マップ機能も使えない。
さっきから、やたらと分かれ道ばかりある。
まぁ、うちにはせりがいるから何の問題もないけどな。
せりとりゅうたろうが立ち止まった。
「扉か……」
扉の前には、幾つかの小さな像がばらばらに置かれていた。
なるほど、像を正しい位置に置かないと扉が開かない仕組みか。
…………。
「よつば。『解除』」
すまんな、名も知らぬ製作者よ。
チートで、無理矢理まかり通らせてもらう!
よつばが前足をちょいちょいと動かすと、がこんっと扉が開いた。
気のせいか、像が恨みがましい表情になったように見えた。
「さあ、どんどん行こうか!」




