女神のプライド。
「絶対に、絶対に、ありえません!」
うるさいなぁ、もう。
「加護を、最大級の加護を与えた国に、災いを呼ぶ鳥なんて……!」
いつものように、荷物を受け取りに女神様の神殿に行くと、ひどく憤慨しているようだった。
「そんな事言ったって、実際に現れたし」
「むぅ……」
私の言葉に、女神様は口を尖らせた。
子供か!
しかし、女神様のミスだったわけではなさそうだな。
だとすると。
「誰かが……」
いや、ダメだ。
人間ごときが、本気を出した神様に勝てるわけがない。
んー?
「女神様、ほかの神様にいじめられているとかない?」
「……私、いじめられているんですか!?」
神様同士の因縁が原因の可能性もあるかと思ったのだが。
「でなきゃ、妬まれているとか……」
うん、こっちの方がありそうだ。
幸運をつかさどる女神様は、どこの国でも人気がある。
フラーに襲われた町でも、農耕の神様と一緒に信仰されていた。
「妬まれるって、そんな……」
女神様は困惑しているようだった。
まぁ、ポンコツでも素直な女神様だ。
理不尽な嫉妬など、した事がないのだろう。
「……だとしたら、許せません」
「女神様?」
「だったら、私に危害を加えればいいじゃないですか。私の加護を上回れる力があるのなら、それが出来るはずです」
確かにそうだけど。
神様同士が直接争ったら、さすがにほかの神様達だって干渉してくるのではないだろうか。
「私が加護を与えた人達に、ひどい事をするなんて……」
「……」
うーん、神様にこんな事を思ったらアレなんだけど、いい子なんだよな。
……ポンコツだけど。




