あざといとは、こういう事だ!
「りゅうたろう、追いかけて!!」
肩から飛び降りたりゅうたろうは、着地する前に虎ほどの大きさに姿を変えた。
「うわ、何だ!?」
「魔物か!?」
オパール王国の皆様、お騒がせして申し訳ありません!!
よつばが食べ散らかした分は、のちほど弁償させていただきます!!
心の中で謝罪しながら、私はよつばとりゅうたろうを追って走り出した。
大きくなったりゅうたろう相手では分が悪いと思ったのか、よつばは私のいる方向へと逃げてきた。
今までの私と同じだと思うなよ!!
猫達に振り回されてゼーハーいっていた、運動不足のアラサーだった私はもういない!!
……いや、まぁ、アラサーなのは変わってないけどさ。
予想外に俊敏だった私の動きに驚いたのか、よつばは慌てて逃げ出した。
「よつば!!」
私とりゅうたろうに追われて、よつばが逃げ込んだ場所は行き止まりだった。
「よつば、ダメでしょ!」
追い詰められたよつばは、最終手段に出た。
くりん、と首をかしげて「にあん」と可愛い声で鳴いてみせたのだ。
「くっ……」
あざとすぎる、この猫!




