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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

深夜臨時列車『地獄行き』。通過する駅名と同じ苦しみを味わう恐怖!

初めてホラーらしい最後を書きました。

目の前で終電が出て行く。


ああ、間に合わなかったわ。


思わぬ残業で疲れ切った体をベンチに横たえる私。


そのうち駅も閉まるから、ここで寝るわけにはいかないわね。

深夜にタクシー使うと高いからどうしましょう?


すると、さっきのが終電だったはずなのに、ホームに列車が入ってくる。


『深夜臨時列車』


こんな時間に臨時列車ですって?!


でもこれはまさに地獄に仏だわ!


私はろくに行き先も確認せずに乗り込んだ。

なにしろ私の降りる駅はこの路線なら必ず止まる大きな駅だもの。



カタンコトン

カタンコトン


ああ、疲れたわ。


カタンコトン

カタンコトン


心地よい音と振動が私を眠りに誘う。


カタンコトン

カタンコトン


しかし完全に寝てしまっては乗り過ごしてしまう。

終電でそれは致命傷。

ましてやこの列車は終電のあとの臨時列車。


寝て乗り過ごしたら大変だわ。


カタンコトン

カタンコトン


カタンコトン

カタンコト…






………コトン

カタンコトン


ん?!


しまった!完全に寝ていたわ!


『次は~ゆびぎりー、ゆびぎりでございます』


『ゆびぎり』ってどこの駅?


ここの路線は結構な田舎まで行くけど、そんな駅あったかしら?


キイイイ。

プシュー。


駅に停車してドアが開く。


『ゆびぎり、ゆびぎりでございます。ご乗車ありがとうございました』


ここでほとんどの人が降りていく。

しかも何かに急かされるように急いで。


私も降りようと思ったが、急ぐ乗客に押されてしりもちをついてしまう。


『扉閉まりまーす』


プシュー。


カタンコトン

カタンコトン


降りそこなったわ!


車内に残ったのは私と寝ている2人の男だけ。


窓の外を見ると駅の名前が目に入った。


指切ゆびぎり


ゆびぎりってあんな字を書くのね。


ズキッ!


「うっ!」

「うぐっ!」

「あうっ!」


私と私以外の男たちが声をあげる。


見ると私の右手の指から血が滴っている。

転んだ時に何かにひっかけた?


それにしてもなんでみんな同時に私と同じような声を上げたのかしら?


見るとみんな手を抑えて青い顔をしている。

何があったの?




『次は~すねおり~すねおり~』


変な名前の駅だけど、今度こそ降りるわ。


キイイイ。

プシュー。


駅に停車してドアが開く。


『すねおり、すねおりでございます。ご乗車ありがとうございました』


降りようと思った時、一人の男が私ともう一人の男を突飛ばすように割り込んで降りていく。


『扉閉まりまーす』


プシュー。


カタンコトン

カタンコトン


ああっ!また降りそこなったわ!


そして窓の外を流れる駅名表示が目に入る。


脛折すねおり


凄い痛そうな駅名ね。


「あああああっ!」


突然悲鳴を上げる男。


「どうしたんですか?!」

「降りられなかった!今度は、今度は俺のすねがっ!」

「脛が?」


バキイッ

ボキイッ


「「ぎゃあああああああ!」」


私と男は声を合わせて叫び床を転げまわった。


足が!私の足の脛が!いきなり折れた?!


私の左足が変な方向に曲がっている。

もう一人の男の左足も同じように折れている。


「次こそは絶対に降りないと!」

「いったいどうなってるの?!」

「あんた知らずにこれに乗ってるのかよ!」


この列車に何があると言うの?


「この列車は『深夜臨時列車』の『地獄行き』。早く下車しないと通過した駅名と同じ苦しみを味わうんだ!」


何ですって?!


地獄に仏どころか、地獄そのものに行く列車なの?!


『次は~、地獄門~地獄門~。地獄門まで他の駅には止まりません』


私は慌てて路線図見た。



【…→指切ゆびきり脛折すねおり耳削みみそぎ腹裂はらさき頭喰あたまくい地獄門じごくもん地獄じごく


「いやだあ!俺は降りるぞ!」


男は叫びながら窓を開けようとしているが、この列車の窓は開けられるようになっていない。


「確か緊急停止ボタンがあったはずだわ!」


私は緊急停止ボタンの所に足を引きずりながら行きボタンを押す。


しかしどんなに押してもボタンはびくともしない。




そうこうしている間に次の駅を通過していく。



耳削みみそぎ



ビシュッ!

バシユッ!


嫌な音が二つ聞こえて、私の右耳と男の右耳が床に落ちる。


「きゃあああああっ!」

「ぎゃあああああっ!」


つ、次は腹が裂けるの?!


「窓を破らないと!」


走っている列車は速いけど、腹を裂かれて頭を喰われるよりはマシなはずよ!


私と男は二人で窓ガラスをガシガシ叩く。

カバンの中のペンやらスマホやら固いもので殴る。


しかしびくともしない。


「そうだ!スマホで助けを呼べば!」

「そんな暇はないっ!見ろ!」


また次の駅が通り過ぎていく。



腹裂はらさき



ブシャアアアアアッ!


私たちの腹が同時に裂けて血が噴き出す。


「ぐぎゃああああ!」

「うぎゃああああ!」


私と男はまたしても激痛で床を転げまわる。


「あと一駅、俺たちは『頭を喰われて』死ぬんだ!」

「そんなの嫌よ!」


しかし非情にも次の駅が通過していく。



頭喰あたまくい



ああ、もう駄目だわ。



あれ?

なんともない?



『まもなく、地獄門~地獄門~。ご乗車ありがとうございました。お降りの際、乗車券やお荷物、『くい忘れ・・・・・』のございませぬようお降りください』


「くい忘れ?」



キイイイ。


駅に停車する。


駅名は『地獄門』。


『地獄門、地獄門でございます。ご乗車ありがとうございました』


しかしドアは開かない。


『ここで5分間停車いたします。しばらくお待ちください』


何で開かないのよ?!


「忘れてるんだ…」


男がぼそっとつぶやいた。


「え?」


見ると男はうつろな目をしてこちらに近づいてくる。


「『喰い忘れる』とドアが開かないんだ」

「どういうこと?」


その男はカッ!と目を見開く。


「『頭』を『喰う』とドアが開くんだ!」

「え?!」


オマエノ


アタマヲ


「喰ワセロオオオオオッ!」


男が私に飛びかかってくるのをとっさにかわす。


「や、やめてっ!」

「頭クワセロ!」


もう正気の眼をしていない。


私は足を引きずり、血の吹き出す腹を抑えて隣の車両に逃げ込む。


そこでは…別の男が女性の頭をかじっているところだった。


「ガッガッガッ!」


頭は半分くらい喰われ、その女性は明らかに死んでいる。


「いやあああああっ!」


するとその男がこちらを向いた。


「オマエの頭も喰っテヤル!」

「いやあああっ!」


何とかかわすと、その男は私を追っかけて来た男と抱き合うように床に転がる。


「喰うゾ!」

「喰ってヤル!」


目の前でお互いの頭を食おうとする男たち。


「どうしたら…」


そして目の前には頭を半分・・喰われて死んでいる女性。


「まだ半分・・残ってるわ…」


私は…

私は…

私はっ!






列車が地獄門駅を出て行く。


ここに降りられたのは私だけ。


頭を喰っていた男の目の前でドアが開き、男が出ようとしたところで私はその男を突き飛ばして駅に降りた。



そして慌てて駅を飛び出し、タクシーを拾って家まで帰った。


そして恐ろしさに医者にも行かずベッドに飛び込んだ。







チュンチュン


朝。


夕べはひどい目に遭った。


目を覚ますと指に傷は無く、足は折れておらず、耳はちゃんと有り、腹は裂けていなくてきれいだった。


ベッドに血も付いていない。


「夢?」


それにしてはリアルすぎる夢だわ。



会社は今日も忙しい。

休みたいけど休むわけにはいかない。





いつもの駅について定期入れを出そうとすると見当たらない。


まさか昨日、駅を出る時に慌てて落とした?!



私は近くに居た駅員さんに聞いてみる。


「落とし物なら駅の事務所で聞いてください」


私は事務所に行って聞いてみる。


「定期券を落としたんですけど」

「名前は?」

風間かざま美月みつきです」


駅員は台帳を調べていたがすぐに


「あった。これだな」


と言って奥の部屋に行く。


そして私の定期入れと縦横奥行き30センチずつはありそうな大きな箱を持ってきた。


「風間美月さんの落とし物と忘れ物ですね」

「え?これは私の物じゃあ…」

「中を確認してください」


私は箱を開ける。


「いったい何が…きゃああああっ!」


どすんと落ちた箱の中から、私が夕べ突き飛ばした男の『頭』が転がり落ちる。


「な、なんでこんなものが!」

「いやだなあ、お客さん。これは…」


駅員さんは頭を拾って私に差し出してくる。



「あなたが『喰い忘れた頭』ですよ」

お読みいただきありがとうございました。

感想とかいただけると嬉しいです。

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