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私はバカだ、いつもまわりに助けてもらっていた。
いつまでもガキでまわりを見てなくて、迷惑かけてばかりだった。
あれ?でも誰に?
考え出すと、堂々巡りが止まらなくなる。
しかし、今私はどうしたら良いのだろう?
気が付けば昼ごはんを食べていたから。いつ戻った?
ばあちゃんと帰ってきた記憶はないが、ばあちゃんは隣に座ってご飯を食べている。
ばあちゃんを見ながら、手に付いたご飯粒を口をとがらせ取る。
このご飯美味しいな、パンやイモに比べたら柔らかくて歯ごたえがないが美味い。
そう言えば、朝ごはんも甘いイモだった。この世界は美味いものが多いのか?
家の中を見渡す、絶対上流家庭ではない。家具も使い古した傷がある。
壁も汚れか経年劣化かくすんでいる。
しかし、靴を脱いで家の中にいるのも、草を織った床も意外と居心地が良い。
そして前の子供の頃の記憶にはこんな甘いご飯はなかった、そもそもお昼ご飯なんて食べてたっけ?
朝に不思議な素材の歯ブラシを見てびっくりし、どこから水を汲んでた?
自分の背が低くて見えない所も多いが、見える所でも不思議な事がいっぱいだ。
ななとしての記憶では全然変ではないが、前の自分の名前…なんだっけ?
人の顔だか言葉がはっきり思い出せない。
変だと思っているが、何が変かはきちんと言えないもどかしさがある。
しかし、さっきの魔素だまりは何だったんだろう?
あれくらいの魔素があればダンジョンかできるか、魔素嵐が起こるか、
魔獸が集まるか、何が起こるか分からない。
っていうか、あそこまで溜まるまで何も起こらないっていうのがおかしい。
ばあちゃん達のが使う言葉が全部理解出来てなく、どう聞いたら良いか分からない。
「ばあちゃん、ナンマイダーは?」
ああ、言葉が足りない。
「ナンマイダーしたいのかい?じゃあ、お母さんにしようか」
えっ?お母さん?引き戸を開けて隣のじいちゃんとばあちゃんの部屋に呼ばれる。
ツンと鼻腔を煙が襲う。目がショボショボする。
白い布地の小さな箱の前で煙が漂う。
お母さん?
葬式の時は棺の中にお母さんは寝ていが、今、棺はない。
「はい、お母さんにナンマイダーしよ」
白い箱の前のクッションをぽんぽんと叩くばあちゃん。
そこに座れと?薄いクッションだから座って良いのか?
おずおずと座る。隣に座ったばあちゃんが白い箱に手を合わす。
ばあちゃんの真似をする。
よく分からないが白い箱をお母さんとして扱うのだろう。
横のばあちゃんを見るとさっきみたいにキラキラしてない。
魔素がないから?
「ばあちゃんさっきの」
私は顔を上げたばあちゃんに外を指差し言う。通じて欲しい。
「お地蔵さんにかい?今日はもうごめんね、足が痛いから又明日」
あう、やっぱり通じない…
「お地蔵さん、ナンマイダー?」
足が痛くてもお地蔵さんにばあちゃんはわざわざ行ったのか。
「あそこでお母さん亡くなったの、自転車乗ったお母さんがね…」
えっ?あそこで?ばあちゃんはもう言葉が出てこないのか、口元を押さえている。
ごめん、ばあちゃん言いにくい事聞いたみたい。
でも、聞いて良かった。行って良かった。
もしかしてお母さんが事故ったの魔素溜まりが原因?