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13 ミオの家族

ばあちゃんが昼に漁港の仕事を終えて帰ってくるまで集中した結果。

ガラスを細い線で再現する繊細な魔方陣は、どうにか、作業を細かく分断すれば魔方陣として成立しそうだ。


身体強化の魔方陣は、少しずつ作成しよう。

取り合えず、今日の午後からは家にばあちゃんがいるし、脚力強化の魔方陣で金剛石に一度に込める魔素の量の実験だ。


ガラスで作る魔方陣のお守りは手間がかかる。

まず、魔方陣をガラスに刻み込み、何種類かの魔方陣のガラス板を重ね合わせ、小さな金剛石と共に強化と、金剛石への魔素吸収の加護を1つまとめて錬成するのだ。


すごーく、面倒なんだが…

中にある魔方陣を刻んだ跡が光を複雑に反射させて、とても見た目がキレイだ。

さらに強度もあり、水にも強い。


魔方陣用のインクと紙がほぼ完成して喜んだは良いが、致命的な欠点があった。

紙に魔方陣を書いたお守りは…人にはあげられない。


自分でも出来たら持ちたくない。

少し臭いのだ。


魚の臭い?ポケットに入れてても、持つのはキツい。


何回も防臭してもインクや紙の相性なんだろう、じんわりとくる。


いずれ、魚の血を使わないインクや紙を作ってやる!


紙に書いた魔方陣は簡単に作れるようになったので(やっぱり臭いが)実験がしやすくなった。


金剛石の魔素が入っているを確かめる。


取り合えずはマヨネーズタイプの魔方陣がキチンと作動するか、実験だ!

脚力強化だけの魔方陣を取り合えず作った。お守りとしては完成してないが、実験は必要だ。


そして、同時進行で、身体強化の魔方陣に耐えれるだけの基礎体力が必要だ。


力強く決意をする私の足下に猫のミオがまとわりつく。

やっぱり臭い?


まあ、ミオだったら大丈夫かな?


『私が臭くても怒らないでしょ?』


「ミャー」


ミオが優しく返事をくれた。

何故だか、私が前世の言葉で喋ると、返事をしてくれる。

もしかして、意味分かっている?と思えるように返事をくれるので、ついつい止められない。


ミオはケンカもするが、とても優しい、3才から親友になった、私の全てを知っていると言ってもおかしくない。


お昼の残りの、おかか御飯をあげる。


『ミオ、ちょっと山を探検したいんだけど、良い?』


「ニャー」


あれ?返事が変だ。ちょっと困ってる?おかか御飯を食べずに、私を見る。


『持って行きたいの?』


私は残りの、おかか御飯をお握りにする。


『まだいる?』

「ミャー」


私はおかか御飯を足しお握り三個つくる。

何とはなしに、魔方陣を書いた紙と水筒をおにぎりの包みと一緒にリュックに入れる。


ポケットに脚力強化の魔方陣と魔素の排出量を調整した金剛石を入れる。


ミオが畑の横にある山に向かって歩く。

私は軽くジャンプをする。脚力強化の魔方陣がキチンと作動するのを確認する。


『ミオ、ちょっと走りたかったら走って良いよ。』


ミオが首をかしげて、少し戸惑うが走り出した。


私はミオの後を追いかける。


明日筋肉痛になるかもしれないが、この速度なら許容範囲だろう。


筋力2倍の時は何処まで速く走れるか知りたくて、速く走るのが楽しくて森を走り回った。

その時より、多分半分くらいの速さだ。


ミオが手加減してくれている、私より分かっているかも…


ミオが止まった。ここは来たことあるかな?山の中腹で木々から日の光りが溢れ、明るく、風通しも良く、心地よい森だ。


しかし、昨日の嵐みたいな風で荒れた跡が残っている。

根元が腐ってたのか、1本 木が倒れている。


倒れた木の下から数匹の猫の声がする。


『ミオの家族?』

「ミャオ」


どうやら、昨日の夜の強い風で倒れたみたいだ。


幸いな事に直撃は避け、住み処の出入り口を塞いだだけ?血の匂いはない、怪我はないかな…木を少し動かしたら大丈夫かな?軽く押してみるがびくともしない。


リュックの中から魔方陣の紙をだす。

しまった、リュックの中が臭い…無意識に入れたけど、匂いが染み付くのは嫌だ!


ショックを受けつつ魔方陣をめくる。大木だし、筋力2倍でも難しい。


この収納の魔方陣はどうだろう?


大きいから危険かな?予備の金剛石の魔素はそこまでない、しかし、今ある魔方陣なら移動出来るのはこれくらいだ。

今から帰って、魔方陣を新たに書き起こす?あるいは大人を連れてくる?


木の下から聞こえる声は弱々しい。


どうやら、早く助けないと危険そうだ。


収納の持続は出来なさそうだし、収納したら、すぐ近くに出そう。

巣の横からあるキツメの傾斜を登り、遠回りをし、横たわる大木の上、巣穴のすぐ近くにずり落ちる。


ここなら、木を出した時、木が転げても大丈夫だろう。

回りの木がどう生えているか確認して、出した時のイメージをする。うん、大丈夫!


金剛石に入れてある魔素を練る。

少しの魔素でこんなに大きな木を収納するのだから、慎重に丁寧にしなくては!


深呼吸をし左手を木に添え、右手で魔方陣の紙の上に金剛石を置き、魔素を魔方陣に流し込む。

大木を収納できた。しかし、ビシビシと破れそうな気配がある、魔方陣が厳しい!魔方陣ごと慌ててずり落ちると、


『排出!』


ずり落ちた時魔方陣の角度がずれたのか、木がすぐそばに出てきた。

ヤバイ。あと数センチずれてたら、木の下にいてた。


木の向きを変えただけ?横を斜めにずらした結果になった。

予定とは違うが、結果は成功だ。うん。


しかし、ここに、ばあちゃんや前世の先生が居なくて良かった。絶対怒られる…


「ミャオー」


『大丈夫だよ、取り合えず成功だね。ミオの家族は大丈夫?』


「ミャオ~ン」


ミオが私の足に頭を撫で付ける。私はミオの頭を撫でた。


『どういたしまして』


振り向いて巣穴を見る。猫でもこんな場所に巣を作る事があるの?

巣穴には母猫と、生まれて直ぐ?の小さい子猫が四匹いた。


子猫は意外に元気だが、始めて見る私にも反応しないくらい、母猫はグッタリしている。

怪我はないようだか、水筒を取りだし、母猫に水をあげる。


『ミオは一緒にすんでないの?』

「ミャン」


『そうなの?猫の家族はよく分からないけど、でも一緒に居なくて今日は良かったね、お陰でミオがみんなを助けられたから』


ミオとの会話を見て、気持ちを開いてくれたのか、水を飲んでくれ、母猫は少し元気になる。


『おにぎり食べられるかな?』


おにぎりには魔方陣の匂いは付いてなかった、良かった。

包んだアルミ箔を広げ地面に置く。


母猫はクンクン匂いを嗅ぐとおにぎりにかじりつく。


お腹が空いてたんだね?勢いよく食べる。

あっという間に二個のおにぎりを平らげる。赤ちゃん達はおっぱいだよね?

流石にミルクまでは持ってきてないので、水だけあげる。大丈夫そうだね。


おにぎり、後一個はミオ?さっきミオは食べなかったから、食べるよね?


「ミニャー」


『いらないの?ママさんにあげたいの?優しいね』


私は母猫の前にもうひとつおにぎりを置いてアルミ箔をひろげて置く。


『まだ食べられる?後で食べても良いよ?包みはゴミになるから、持って帰りたいけど、どうする?』


「ミャー」


うん?母猫さん考えている?横からミオが鳴く。


「ニャー」


『ミオがゴミを持って帰ってくれるの?』


ならアルミ箔は包んで置いとくね、開け方わかるかな?ミオがダメなら取りに来て良いし。


『変な事を聞くけど、ここでエサはあるの?』


ここは、港からも離れていて、魚とか取れないよ?


「ニャン」


『大丈夫なら良いけど、難しくなったら、ばあちゃんに頼むから言ってね』


「ニャン」


大丈夫みたいだけど、またミオと来よう。

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