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アイツがカスミばあちゃんと散歩しているのを見た。それも俺の家の前だ。


今まで気付かなかったのが不思議なくらいだ。

俺がこんな時間に外を見ていないからかな?


カスミばあちゃんの歩みに合わせゆっくりと、楽しそうに歩いている姿は、ウソつき呼ばわりした俺の罪悪感を刺激する。


あっ学校に行くクソ姉ちゃんと挨拶している。なんだよ!俺だけがアイツの事を知らなかったのかよ!


朝早くに起きてるんだよな…

島の朝は早い、漁に出る人は朝は遅くとも5時には漁には出てる。


船に乗って高校とか出勤とか行く人は早くて6時45分の定期船に乗る。姉ちゃんは家から通える学校に受かったから通学しているが…

俺はいつもその時間、寝ている。


「あら、アキラ早いね?昨日ふて寝したから、早く起きた?」


かあちゃんは朝早くてもウルサイ。うるさくない時ってあるんかな?

俺はさっさと朝御飯食べると、家を出た。


カスミばあちゃんの姿を探す。家の前には白線が書いて歩行者用に歩く場所は確保されているが、お地蔵様の方に行くと曲がり角のせいか歩行者用の幅は狭く感じる。

朝の空気は秋めいていて、少し肌寒さがある。


あっいた。お地蔵様の近くにいる。

お地蔵様の裏手は雑木林で、落ち葉が多い。父ちゃんは木を切ってしまえって言ってた。落葉が危ないからだって言ってた。


二人で掃除してる。


もしかして毎朝?最近事故を聞いてない気がする。

俺が小さい時には小さい事故がいっぱいあった気がする。


子供心に恐いって思ってた。今でもお地蔵様の近くには行かない。

なんか恥ずかしくなった。


俺はドキドキしながら、お地蔵様の近くに行くと二人の会話が聞こえる。


「やっぱり、涼しくなると落葉が多くなるね、あらあら、今日もお花がキレイだね、ななちゃんが育てているだろ?上手だね~」


「肌寒いけど大丈夫かい?」


「そうかい?私も大丈夫だよ、ななちゃんがくれたお守りがきいたおかげだよ。すっかり大丈夫だから、ありがとう。」


カスミばあちゃんの声しか聞こえないが、会話が成立しているみたいだ。

カスミばあちゃんが顔を上げて、俺に気付く。


「あら、おはよう、アキラちゃん散歩かい?早いね。」

「おはよう、カスミばあちゃん、ちゃん付け止めてって何回言えば良いの?」


カスミばあちゃんは耳が遠いからか、俺が何回もちゃん付け止めてって言っても聞いてくれない。

アイツは落葉を掃いて、俺に反応しない。


「ななちゃん、アキラちゃんを知ってるかい?」


アイツがうなずく。


「あら、知ってるのかい?良い子だから、苛めないであげてよ。優しくしてあげるんだよ」


アイツが首をひねる。


「あら、あら、良い子なんだよ。いつも挨拶してくれてねー」


ニコニコ笑って、カスミばあちゃんがアイツに話しかけてる。

アイツは掃除しながら、相づちで反応して会話が成立している。


耳が遠いから、仕方ないコミュニケーションだが、よくやると感心する、俺には無理。

しかし、カスミばあちゃん、俺が苛められる前提?

何気にショック…


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