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ばあちゃんに抱きついて泣き続けから又寝たらしい。
恥ずかしいけど、三歳児なら大丈夫だろう。
あれから朝まで寝て、気づいたら日常になってた。
葬式後ってどれが正しいか分からないけど、疲れはて寝てしまった私には今何をして良いか分からない。
葬式は3日3晩飲み明かすと思っていた。
しかし、今ばあちゃんが黒づくめな格好じゃなく見慣れた姿だし、葬式としては終わったみたい。
お母さんの葬式をきちんと最後まで参加出来なかった、不本意だ。
もっと早くに私であれば…
って何でそんな事を思っているんだろう?
お母さんは事故死だ。
三歳児には何も出来ない。
「起きたのか?」
ボーとしながら朝ごはんを食べていると、じいちゃんが聞いてきた。酒臭い。
仕方ないか、じいちゃんにとって娘が亡くなったのだ。
父ちゃんも、母ちゃんが亡くなってからずいぶんと長い間酒臭かった。
何がきっかけでお酒止めたんだっけ?
父ちゃんはどこにいる?
じいちゃんが私の頭をぐしゃぐしゃになでた。
ばあちゃんと違って痛い。
でも、父ちゃんの撫で方に近くイヤじゃない。
父ちゃんの顔は思い出せない。撫でた手の感触はおもいだせるのに、あれ?
「じいちゃんおはじょ」
舌が回らない。三歳児ヤバい。
返事の代わりに、じいちゃんの片手があがる。
会話がない~、この幼児の記憶を呼び起こしても家の中で、お母さんしか喋ってなかった。
だから、私は言葉を知らない。
イヤ、今喋った言葉はなんだ?頭と喋る言葉が違う事に気付く。
パニックになりそうなになるが、違和感はない。
そうか、お母さんが亡くなる前も、この微妙な違和感はあったからか…
何を話しをしているか分からないから、話しを聞いてなくて。
今、言葉の違いを理解したのか…
今、考えている言葉は、喋った言葉とは違う厄介だ。
前の言葉がふいに出てきて変な顔されないか?
前も言葉や常識を知らなくていつも怒られた。
前って、前世ってやつだろうか?
ななと呼ばれて、違和感はないし、何回も私の顔を見ながら言うので、私の名だとは知っている。
朝ごはんを食べてからばあちゃんが散歩に行こうと言う。
返事をする前に、抱っこをされ、靴を履かされ、外に出される。
されるがままだ。
仕方なく、ばあちゃんの後を追う。
三歳児の足が短い。
トテトテと駆け足のように歩くしかない、ばあちゃんは後ろを振り向かず歩いて行く。
いつもなら手を引いて歩幅を合わせて歩いてくれるのに、一人で歩いていく。
どうしたんだい?ばあちゃん?