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どうしたら良いだろうか?
ふいにお腹がなる。お腹が空いた。
ダメだ、下手にもう何も考えられない。
とりあえず、指輪を片付けて。ごはん食べたい。
部屋を出ると、魚が焼ける臭いがする。
やった!お魚だ!
台所を覗くと誰もいないから、庭に行くと昨日と違って、七輪じゃなく大きな焼き台?があった。
焼き台の上には魚やら貝やらエビやら乗っている。
興奮して前の言葉で叫びそうになり、慌てて口を閉じる、変な子供に見られる。
「ばあちゃん、なに?」
ばあちゃんがこちらを見て、にっこり笑った。
「じいちゃんが船出して、朝からいっぱい獲ってきてくれたのよ」
「じいちゃん?船?」
「ななちゃんは知らないかもね、じいちゃん漁師やのに、船の手入れをちゃんとせえへんから最近は乗ってなかったのよ、でもななちゃんの食べっぷり見て漁に出たのよ。」
ばあちゃんがニコニコだぁ。
じいちゃん船あったん?ななが知らないってどんだけさぼってた?
ばあちゃんが喜んでいるから突っ込むのは野暮だからしないけど。
「じいちゃんありがちょう。」
「ふん」
じいちゃんは鼻息とも不機嫌な感情ともとれる返事をした。
「へへへ」
じいちゃんの不機嫌そうな照れ隠しは面白い。
普通の幼児には、怖そうに見えるだろう、ななはじいちゃんが怖かった記憶がある。
今は、素直に感情を出せない、じいちゃんの不器用さを理解できる。
お母さんが亡くなって、悲しみに暮れるのを紛らわそうとしているだけかもしれない。
船を出す事は、ななの為と言っても大変だろう。
ななはお魚を食べた。
やっぱり魔力がある魚は旨い。
しかし、今日は魔力があるのとないのが混ざっている。
魚に魔力が有ることが絶対ではないようだ。
前の記憶でも、マトモに魔力検知が出来る人に出会った事はない。
魔法の存在が見当たらないこの世界で魔力検知が出来る人がいるかどうか…
食べた魚の骨にも魔力が残っている。
これは魔道具に加工できる?そう思い付きウキウキしてくる。
彫るタイプ魔道具を創ったら魔方陣を書く事が出来るかも!
魔方陣を書く、インクを作るには魔石がないので、難しいかな?
イヤイヤ、どうにかするよ。
あの魔素溜まりは良くないし、撤去と迄は言わないが、魔素を薄めるか、流れを作り溜まらないようにするか!
魔力がない私には、魔方陣か魔石を使うしかない、やる事いっぱい!
魚の骨を持ってニヤニヤしていると、ばあちゃんに骨を奪われた。
何で?って思って抗議しようと思ったら、片付けるって?
ダメ!まだ食べる!
慌てて口の中にごはんを詰め込んだ。ごはんの途中は考えないとこう。
ばあちゃんご免なさい。私がわるうございました。
ばあちゃんには逆らったらダメだと理解しました。
だから、怖いオーラは抑えて!
私は片付けられないよう、お皿を片手に抑え食べ続けた。