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引き出しから袋をゆっくり取り出す。


手に持つだけでは何も起こらない。


優しい大切にしたい感情が胸に広がる。

この気持ちは誰の?私?お母さん?

又涙が出そうになる。


私はこんなに泣き虫じゃない。

きっと私ではない、しかし、お母さんは泣いてた?


ああ、泣きそうな顔で袋を握りしめる姿は見た記憶はある。

あれは、私が熱でうなされてた時、熱を見る為か私のおでこを触るお母さんの姿だ。

いつも笑顔で一人で喋り、たまにばあちゃんと喧嘩している姿が思い浮かぶ。


ああ、イケない、又思考の堂々巡りをしそうだった。

袋を開け、中を覗きこむ。


指輪が入っていた。

金色の縁に透明な石が光る綺麗な指輪。


下手に触る勇気がでず、袋から机の上にそっと出す。


シンプルなデザインで、透明な石が繊細なカットで光を反射させている。

いや、シンプルに見えて、金のリングには滑らかな流線形で洗練された飾りが彫られてある。石のカットも光の屈折を計算してカットしているし、技術が発達した世界なのか分からないが凄い技術だ。


錬金術師として、指輪を作る時はデザインより性能を一番に考えるが…


ズルいと言うか、勿体ないと言うか、羨ましいと言うか、石をどう魅せるかだけを考えて作ってある。

こんな透明な石を見た記憶はない、水晶か?金剛石か?又は未知の石か?


そっと人差し指で指輪を触る。

何も起こらない…


触るだけでは大丈夫。

じっと見つめるが、袋から感じた力以外には感じない。


手をかざし魔力があるか調べる。


魔力はない?でも魔素を使った後がある?


どう使った?知っている魔法の力ではない?


この世界の言葉がキチンと分からないから使った力の把握は無理か?

じっと集中する。ああ、違う魔力検知でも解析でもない。


違う力なのに、こんなアプローチではダメだ。

袋から何を感じた? 気持ち? 感情? 願い? 祈り?


そうだ、ばあちゃんは何をして煌めいた?


悼んでた?望んでた?あの時ばあちゃんは何を思った?


すると、目蓋の裏にキラキラとばあちゃんの出した光が見えた。


怒り?激励?叱咤?その光は強く激しく私を励ましてくれた。


言葉は聞こえない、しかし、優しく、背中にカツを入れてもらったような…


目を開ける。光は消える。


今のはなんだ?石が見せてくれた?石の記憶を見た?力を使った時の記憶?

では、ばあちゃんはあの時私に頑張れと言葉にすることなく祈ってくれてたのか…


言葉にするのは簡単だけど言葉として聞くよりも、強い気持ちで励まされた気がした。

こんなに強く私の事を思ってたなんて…


ばあちゃん有り難う。


見て下さり、ありがとうございます。


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