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なな目線に戻りました。
お昼を食べ過ぎて、昼寝をしてしまった。
三歳児の昼寝はヤバいです。気付いたら寝てました。
それも椅子に上半身をのせ、足はキチンと立った状態で、我ながら良く体が痛くならないものだ。
ばあちゃんが見つけて危ないからと起こされた。
ばあちゃんとお地蔵さんの所に行く。
やっぱりどう見ても魔素溜まりがある。昨日と違って冷静に見れる。
ばあちゃんはホウキでお地蔵さんの周りを掃除する。
私は花瓶の水を入れ換え、庭に咲いていた花と、萎れた花と交換する。
魔素溜まりでもこうやって動けるって、やっぱり不思議だ。
今日はばあちゃんがお参りしてもキラキラしない。
昨日は何か手に何か持ってたような?
お参りを終えたばあちゃんの手を捕まえる。
「ばあちゃん、手、ない?いま?」
ばあちゃんは不思議そうな顔をして、
「手?ない?数珠かい?今日は持って来なかったよ」
数珠?言葉の響きになんか、違う気がする。
「昨日お地蔵さんにナンマイダー、手?」
「ああ、あれかい…良く見てるね…」
ばあちゃんは気まずそうな顔をした。
「まあ、いずれ、ななのものだし…帰ってからね」
昨日持ってたものが力を使った?ばあちゃんの願いで力が働いた?
或いは、時間などの条件もあるかもしれない。
帰ってから分かるかな?
こんな濃い魔素の中で平気な自分が不思議だ、ふと空を見上げる。
空には大きな魔素流れ、そこへここの魔素が一緒に流れないかな…
ここらへんが嫌な感じがしないが、魔素が事故の原因か分からないけど…
このままで大丈夫なんだろうか?私に何か出来るかな?
いや、道具もない。魔素を保存出来る魔石くらいあればどうにか出来るかもしれないが、今の私に手に入る?子供には難しいだろう…
出来る事を少しずつしよう!
この異世界?時代や土地が違うだけって感じではない。
言葉が分からない、字も分からない、じいちゃんやばあちゃんにどう聞いたら良いのか…
魔法って概念があるのかも分からない。
調べたくても三歳児の活動範囲は狭い。
ほぼ家の中にいるし、近所を散歩くらいで、遠くても病院くらいだ。
魔法とは違う仕組みがいっぱいだ。紐を引くと明かりがともる。
魔法ではない、暖かいお風呂に入れるのも、冷たい牛乳が飲めるのも凄い。
うん、この世界を知るって、発見だらけで、ワクワクする。
気がついたら、いつの間にか又家だった。
無意識の行動は怖い!気をつけなくちゃ!