11章までの『キーワード事典』
※ ネタバレを含みます。
本編11章をお読みいただいてからご覧下さい。
※ ★と「UPDATE!」表記があるのは、
すでに登場した事柄の情報更新案内です。
― 夏祭り ―
日本全国津々浦々と同じように、広隅市でも色んな地区で行われているが……特に千紗の家の近所のものは、以前から市の地域振興課と協力する形になっており、広隅の夏祭りの代表格として、毎年結構規模が大きい。
とは言え、特別何か珍しいことをするお祭りというわけではなく、ベースは盆踊りと出店という、いかにも基本的なもの。
そして地域振興課は、今年も、より多くの人に楽しんでもらうため、この夏祭りをさらに盛り上げていこうと考えているようだ。
【 開催時期:お盆の頃 】
― 七夕 ―
ご存じ、織姫(織女星:琴座のベガ)と彦星(牽牛星:鷲座のアルタイル)が、年に一度だけ会うという7月7日の夜に、星を祭る行事。棚ボタ、とは似て非なるもの。
今でこそ笹に書く願い事は何でもアリだが、もともとは芸事――特に裁縫の上達を願うものだった。
あと、どういう経歴で今のスタイルになったのかとか、地方によってどう違うのかとか、いろいろあるけど、マジメに書くとどえらい文章量になるので割愛。
〈天の湯〉でも、7月7日の2日ぐらい前から、待合スペースを使って様々なイベントを行っている。
その内容は、大きな笹を飾って、短冊とペンを置いて願い事を吊してもらったり、本来の意味合いに寄せて、プロアマ問わず広隅在住のアーティストの作品を展示したりなど。
しかし、薄い本は無いらしい。
ちなみに、7月7日は梅雨の時期と被るせいで、晴れる日の方が少ないぐらいだが……これはもともとの七夕は『旧暦(陰暦)の7月7日』であるため。
そちらにちゃんと合わせると、現在の陽暦では8月17日前後となり、逆にこの辺りは晴れの日の方が多くなる――とのことである。
昔の人はちゃーんと考えていたのだ。
【 〈天の湯〉の客足:家族連れが増える 】
― 補習組の頂点 ―
我らが摩天楼イタダキが極めようとしたもの。
――しかして、人、それを底辺と言う。
ともあれ、幸いにしてか残念ながらか、イタダキは赤点スレスレで補習は回避したようである。
【 赤点ライン:30点 】
― ハテンコー ―
なに? マテンローだと?
……そうか、違ったか。うむ、すまんな?
【 同意語:フケンコー 】
― 最終決戦 ―
裕真とハイリアが揃って、用事があるから――と、いつものメンツの遊びの誘いを断った際、沢口唄音が疑った『用事』の内容。
やはり勇者と魔王とくればこれ。
「むしろ、それを終わらせたから今がある」とは、口には出さないが裕真の弁。
そして実際には、決戦どころか、七夕イベントに向けての『共闘』であった。
【 目標レベル:千差万別 】
― 流しそうめん ―
言わずと知れた、樋の上を、水とともに流れるそうめんをすくい上げて食べるアレ。
ぶっちゃけ、普通にそうめん食うのと変わらんはずなのだが……別物のようにおいしそうに見えちゃう不思議。ロマンを感じずにはいられない。
〈天の湯〉の七夕では、イベントの一環として、適当な時間に何度かお客さんに向けて振る舞われる。
使われる樋は、竹細工職人の手に成る本格的な……しかもなんと、ウォータースライダーよろしく螺旋を描いている特殊なものである。
イベント準備を手伝った高校生も小学生もみんな、ノリノリで参加した。
【 求められるもの:器用さ・素早さ・貪欲さ・人望・運 】
― 『目立ちませんように』 ―
ウタが七夕の短冊に書いた願い。
……さもありなん。
【 隠密度:70(見えにくい場所にひっそりと吊されていた) 】
― 『彼女が出来ますように』 ―
衛が七夕の短冊に普通に書いた願い。
……普通である。
【 普通度:ノーマル 】
― 『身長がぐんぐん伸びて――(以下略)』 ―
おキヌが七夕の短冊に書いた願い。
全文は、『身長がぐんぐん伸びて、ナイスバデーになる未来が、予定よりちょ〜っとだけ早く来ますように!』。
……不憫な……。(ウタ談)
【 展望:言わずもがな 】
― 『甘いものがい〜っぱい食べられますように〜』 ―
見晴が七夕の短冊に書いた願い。
「いっしょに食べに行こう!」(女子勢)
【 展望:確定的 】
― 『軍そうゲームでかてますように!』 ―
武尊が七夕の短冊に書いた願い。
脱字があること、字が汚いこと、そして『勝つ』ぐらい漢字を使えと亜里奈に怒られた。
【 展望:1000年早いですね!(軍曹談) 】
― 『書道上達』 ―
凛太郎が七夕の短冊に、自前の筆ペンで書いた願い。
その字がすでに恐ろしく達筆らしい。
【 不思議ちゃんレベル:+5 】
― 『夏休みまでに、肝試しっていう(中略)なくなりますように!』 ―
亜里奈が七夕の短冊に書いた願い。
肝試しというイベントが、いかにムダでおバカなもので、いっそなくなるべきかを、延々と呪詛のごとく書き綴っている。
「うん、もちろん怖いとかじゃなくてね! もっとみんなが時間を有効に使えればってね!」(早口)
【 肝試し:根絶 】
― 『 頂 点 』 ―
笹のてっぺんにムリヤリくくりつけられた短冊の願いごと(?)。
何をか言わんや。
【 その後:紐がほどけて落ちた 】
― 『カネに糸目はつけん! 泳げるようにしてくれ! てかしろ!』 ―
アガシーが七夕の短冊に書いた願い……というか命令。
しかしそんな傲慢な態度が亜里奈に許されるはずもなく、ひとまず、武尊たちも協力する形で、プールの授業や夏休みのプール解放日にマジメに特訓することとなった。
【 展望:努力次第? 】
― 『世界が平和でありますように』 ―
裕真と千紗が、示し合わせたわけでもないのにお揃いで短冊に書いた願い。
そんなところでも仲良しか。
「ツッコミどころの無さにツッコむわ!」(おキヌ談)
【 ネタ度:20(むしろゼロより悪い) 】
― 『彼の星の願いが、永遠に遍く照らし続けるように』 ―
ハイリアが、いかにも外国語っぽい見た目の筆記体で短冊に書いた願い。
しかし実際は魔族の言葉であるため、みんなには「魔王らしく世界征服と書いた」とウソを吐いた。
裕真とアガシーは当然読めたのだが、それだけでなく……亜里奈も、しばらくハイリアが憑依していた影響か、何となく読めてしまったようだ。
そしてそのことについては、亜里奈に憑依の件を秘密にするため、『魔力の素養があれば読めることもある』と、それっぽく言いくるめた。
本来の意味は、故郷アルタメアが永遠に、人と魔の融和を願う〈星〉が理想とした通りの、平和な世界であるように――といったもの。
【 ガチ度:100 】
★ 〈呪疫〉 ★ UPDATE!
普段なら、せいぜい多くても10体程度しか同時には出現しないはずが、ちょうど七夕のその日は――クローリヒトにクローナハト、シルキーベルに能丸、サカン将軍にブラック無刀と、三陣営が揃い踏みで共闘することになるほどの大群が現れた。
総数は定かで無いが、50を優に超えていたとも。
また、その中には、人間に近い四肢を備え、腕を剣のように変化させ……さらに、熟練の剣士めいた動きをする、赤みを帯びた強力な個体(裕真が〈剣疫〉と名付けた)が混じっていた。
さらに数日後には、ほとんどが〈剣疫〉である大群が再発生。
そして――そのうちの1体、明らかに他とは違う、漆黒の大剣を携えたような〈呪疫〉が現れたが……それこそが、〈邪心剣グライファン〉であった。
アガシーが見立てたところに拠れば、グライファンが自らの学習能力により得た、歴戦の戦士の戦闘データ――それがコピーされたものが、〈剣疫〉の正体であるようだ。
【 〈剣疫〉モンスターレベル:推定30〜40前後 】
― 〈火園ノ焚城〉 ―
〈剣疫〉が大量に湧いて出た殲滅戦においてハイリアが使用した、〈貴園の位〉と呼ばれる中級クラスの〈炎の魔法〉。
業火の柱を幾つも立ち上らせ、壁のようにして周囲を焼き払う。
また、逆にその範囲を狭めることで、威力を単体に集中することも可能。
本来のハイリアなら、このクラスの魔法なら詠唱など必要としないはずだが、今のレベルダウンした状態ではキチンとした手順を踏む必要があるらしい――が、それでも、魔法構築速度は相当に早かったらしく、裕真をして「さすが」と言わしめた。
〈 本編中に詠唱された呪文 〉
「……火の園、才にて災断つ師、厄灼きて遣らう――」
「其の名、聳焔! 燔燎の塞、炮烙の顎、藩の啖……!
――〈火園ノ焚城〉!」
※優れた術士が、城塞のごとく聳える業火で、災いを焼き追い払う様を表している。
【 使い勝手:威力・範囲ともに融通が利くため良好 】
― 〈閃剣・臥竜冥逆咆〉 ―
大量の〈剣疫〉相手の殲滅戦において裕真が使用した、アルタメアに伝わる秘剣の一つ。
地面に剣を突き立て、大地のエネルギーと自分の闘気を同調させることで、それを強く励起――振り上げる剣撃とともに、逆巻くエネルギーを天へと解き放ち、広範囲を攻撃する大技。
その様は、臥した竜が、天へと反逆の咆哮を上げるようであるとして、この名が付いた。
多数を相手取る上で非常に強力な剣技だが、その性質上、発動に時間がかかる上に消耗も大きいので、おいそれとは使いづらい。
本編でハイリアがそうしたように、サポートがあってこそ光る技である。
これら剣技にはいくつかのカテゴリ分けがされているが、〈閃剣〉は剣そのものでなく、そこから放たれる闘気による遠隔攻撃系の技が分類される。
カテゴリモチーフは主に竜。
【 剣技レベル:超必殺技級 】
― 〈迅剣・煌顎〉 ―
邪心剣グライファンを相手に裕真が使用した、アルタメアに伝わる秘剣の一つ。
斬り下ろしと斬り上げを、素早く連続で繰り出す剣技。
技としては基本的なものだが、達人クラスの剣士ともなると、その連撃はほぼ同時と言えるような速さとなり、名の通り、まさしく『刹那の煌めきの間に相手を食い破る顎』と化す。
カテゴリとしての〈迅剣〉は、連続技など、特にスピードを重視した技が分類される。
モチーフとしては、狼や豹など、機敏な獣が多い。
【 剣技レベル:通常必殺技級 】
★ メガリア術法のマーシア定式 ★ UPDATE!
裕真が初めて〈勇者〉として召喚された魔法世界メガリエントの、魔法理論・術式の一つ。
〈メガリア術法〉というのが、そもそも同世界においての魔法を指す。
マーシア定式は中でも最も難解だが、かつてサカン将軍が作り上げたものだった。
そして、そんなメガリエントの魔法術式は、裕真が『数学的』と評したように、極めて記号的なところがあり、たとえば……。
〈メガリア術法マーシア定式F7型AF−A−15『燎原を成す炎風』〉
――ならば、『マーシア定式』はM式と略せ、属性複合(AとF。風と火の頭文字から)と強度を表すF7(強度の頭文字とレベルを表す数字)も省けるとのことで……。
結果としては、〈M式AFA15〉だけでもいけるらしい。(Aは攻撃魔法というカテゴリ分けを表し、15は一種の分類番号となる)
それがいかにも「兵器っぽい」とのことで、アガシーは一瞬目を輝かせるものの……しかしこれが、強度レベル8を超えると安定性において改良の可能性が高くなるため略称にはXを付ける決まりがあるとか、さらに古式のマーシア定式となると、また別の法則が適用される――などと裕真から追加で説明されると、「ややこしい! いやがらせか!」とすぐに熱が冷めてしまった。
【 難解なマーシア定式:魔王は興味津々 】
【お得じゃない4勇コラム】
・武尊がアガシーと亜里奈を守って戦うイベン
トはなかなかの難所だけど、どうしてもクリ
ア出来ないときは、ポーズをかけて次の隠し
コマンドを入力してみよう!
『↓R↑LYBXA』
……すると、〈呪疫〉の動きがゆっくりにな
るから、かなりカンタンになるぞ!
ただし、〈勇者ポイント〉が減点されてしま
うから、高評価を目指すときは要注意だ!
……勇者ポイント?