第3話:チェンジってできますか?
今回から文章の書き方が若干変わります。
読みにくかったらごめんなさい。
登場人物詳細
(前回の話までの内容しか書きません)
主人公
西条 勇介(16)
ニート。彼女居ない歴=年齢。
ゲームを買いに来た所をテロに遭い死亡。
後に魂纏者として異世界へ転移。
(順次追加予定です。)
<死後の世界>
勇介が旅立った後。
どこからともなく表れた二人の天使がゲートを見つめながら話している。
「――貴女の思惑通り。彼は《忌の賢者》である彼女を選びましたね」
「しかしなぜ貴女が直接、彼に会わないのですか? その位の権利はあるはず……」
顎に右手を置き首を傾げて、腑に落ちない表情をする【白髪】の天使。
「私は彼に会うことはできないわ。彼をひどい目に【二度】も遭わせたのだから」
もう一人、茶髪の天使は何か大事なものを失ったような顔をして下を向いて答える。
「ということは、やはり財布がリュックに入っていたのは?」
「私がやった。と言ったら?」
少しの間考えるようなそぶりをしてから口を開く。
「天使である我々が、生者を私情で意図的に殺す……なんて上にバレたら消されますよ?」
「あら、あなたの仕事ぶりが上にバレる方が先だと思うけど?大体なんなの?あの天然キャラ似合ってないわよ。」
呆れた口調で話してはいるが、話を逸らそうという意思が伝わってくる。
「勘弁してくださいよ……それに最近の若い子にはああいうキャラが受けるんですよ?それよりいいんですか?オリテルシアに転移させて。結果的に彼等を危険に晒す事になると思うんですけど」
一瞬困ったような顔をしたものの、すぐに元の真剣な目つきに戻り、心配する。
「大丈夫よ。きっとユウスケとクレアなら上手くやるわ。今は見守りましょう」
「まぁ、ここの総轄責任者でもある貴女がそこまで言うなら大丈夫ですね」
二人の天使はそう言い残すと、またどこかへ消えていった。
◇
「いててて、ここはどこだ……? そうだ! あの後意識を失って……」
服についた砂埃を払いながら立ち上がる。
硬い地面で中々目が覚めなかったのか、体の節々が痛い。
どうやらここは森みたいだが……
所々に咲いている、目が痛くなりそうな色をしている草花。
それに群がる挟まれたら怪我じゃ済まなそうな大きさのクワガタみたいな虫。
眩しい日差しを降り注いでる空には、船の様なものが浮かんでいる
どれも見たことが無い!
「おい、嘘だろ。本当に来ちまったよ異世界……」
俺はその景色に思わずポカンと口を開けて興奮し呟く。
『――そう。ここがオルテルシアよ。その無知でアホそうな顔と発言、君転移してきたタイプでしょ』
「うおっ! ビックリしたぁ!」
思わずビビって転ぶところだった……危ない危ない。
それにしても今の声の主はどこだ? 周囲を見渡しても誰もいないぞ?
『あのねぇ……そんなにキョロキョロしても誰もいないわよ。君魂纏者になって死者選んだんでしょ? 私がその死者よ! そんな事も分からないなんて、ちゃんと説明聞いてきたの? それとも記憶喪失?』
あー、そういう事ね。そう言われると確かにテレパシーみたいだぁ…………。
――ってことは!?
「貴女があの美人な死者の人ですか!?」
『あなたが間違えてなければね。美人かどうかはおいといて、その死者って呼び方やめてくれない? なんかアンデッドの同類みたいで嫌なんだけど。名前見てきたんでしょ?』
ええぇぇぇぇ!
この喋る事一つ一つがなんとなくメンタル削ってくる人があの写真の女の人!?
イメージと真逆なんだけど。
人は見かけによらず、とはまさにこのことですね。
「すみません。実は名前を確認するのを忘れてしまったですが、教えてもらえませんか?」
『はぁ!? 普通自分の死者、つまりパートナーを決めるのに、名前も確認せずに決める奴がいる? 君転移してこの世界に無知なだけじゃなくて、そもそもの頭までおかしいんじゃないの? ていうか人に名前を聞くときは自分から名乗りなさいよ! じ ぶ ん か ら!』
ンンンンンンンンンンン!
こっちから丁寧に話せば普通に話すかな~っと思ったけど、全然変えてくれねえ! むしろ悪化してる気がする!
名前確認してないのは俺が悪いんだけど!
……お、落着け。も、もう一度だ。
優しい顔の彼女がこんな性格なわけがない……きっと俺を試してるんだ!
「僕の名前は《西条 勇介》と言います。元の世界では自宅警備の仕事をしていました。よろしくお願いします」
べ、別にニートって言うのが恥ずかしいわけじゃないからな?本当だぞ?
『西条勇介……ね』
ん? なんか今若干間があった気がする
「僕の名前がどうかしましたか?」
『……なんでもないわ。知り合いに似た名前の人がいただけよ。それにしても君ニートだったのね。道理でそんなに弱弱しい体つきな訳か。自宅警備ってw素直に言えばいいのに「僕はニートでした~」って』
『あ~あ。ツイてないな~。まさかニートの! 異世界人に選ばれるなんてね!』
こいつ……人を何回もニートって! 気にしてるんだぞニートだったこと!
天使さんが優しい人だけを選んでくれたはずなのになんで、こんな毒舌女なんだよ……
あーもう我慢の限界だ。こいつに敬語使っても無駄な気がするし!
「さっきから下手に出てれば。やれアホそうだの、ニートだの、頭おかしいだの好き放題言いやがって! 俺だって生きてるんだぞ! 初対面の人にその言葉遣いとかそっちの方が頭おかしいんじゃねえの!?」
『はああぁぁ!? その、私と違って生きてるのに何もしてこなかったニート様にいわれる筋合いはないわよ! 大体異世界出身ってだけでいちいち説明したりしなくて面倒なのに、おまけにガリガリで頭も体も弱そうだったら文句の一つや二つ言いたくなるでしょ!』
「そ、そりゃ悪かったけど……」
ちくしょう言ってる事は真実だから何も言い返せねえ。
『元々君が私を選んだんでしょ? 文句言ってくるんじゃないわよ』
「性格がこんなのだって知ってれば、俺だって選ばなかったよ!」
「……あーあ。選びなおしたいなぁ」
俺はため息交じりに呟いた。
『人をはずれクジみたいに言うのやめてくれる? むしろこっちのセリフなんだけど。先に言っておくけどね、あたし君に魔法使わせる気一切ないから。そのポッキーみたいな体で一人で! 頑張ってね!』
非協力な態度と、【一人】を強調する話し方につい腹が立つ。
「あぁ! 言われなくてもそうしてやるさ! 今後一切あんたの魔法の力は借りないからな!」
やべぇ。ついカッとなって言ってしまった。
この魔族とかモンスターとか、虫ですら人を殺しそうな世界でこいつの魔法なしで生きていくなんて無理な気がする。
まぁ、もう言っちゃったから後悔しても遅いんだけどね。
ずっとその場で口論してても無駄なので、俺は街道的なものを歩きながら話す。
看板を見る限り、こっちへ行けば〈シュレリア〉という町があるようだ。
「そういえば結局、あんたの名前は何て言うんだ?結局教えてもらってないんだが」
『教えたところで、すぐ死ぬから意味ないと思うわよ? まぁ一応教えてあげる。私の名前は《シャルロット=クレア》死者とかあんたとか呼ばれるの好きじゃないから【クレア様】って呼びなさい。君には名前で呼ばれたくもないけどね』
クレアは心底嫌そうな声で答えた。
名前で呼ばれるのがいいのね……俺は名前教えたのにずっと【君】って呼ばれてるんですけど……
それにしても【様】って、俺はお前の子分か何かですかー?
「クレアは、生きていたころは何をしてたんだ? 魔法たくさん使えるみたいだけど、やっぱり冒険者的なので有名な人だったりしたのか?」
『【様】をつけろって言ったでしょ。いきなり呼び捨てって非常識にも程があるわ……魔法は母に教えてもらったのよ。冒険者とか、あんな非効率で危険な仕事やるわけないじゃない。まぁ確かに有名ではあったけどね……』
やっぱりあれだけ魔法が使えると有名なんだな。
優秀で美人。これであとは性格がどうにかなれば最高の相棒なのに。
『……良く考えたらなんで、わざわざこんな事話さなきゃいけないわけ?私に聞いたんだから、今度はあなたが話しなさいよ。前の世界での事、なんで君がニートになったか。とかねw』
…………。
俺は前世でなんでニートになったか、とかPCゲームとは何か、向こうの文明について大まかに話した。
クレアは喋るたびに俺を馬鹿にしてきたが、異世界の話に興味があるのか割と真面目に聞いていた。
逆にクレアからはこの世界について教えてもらった。
ここは〈オリテルシア〉という世界。
昔は一つの大陸で種族など関係なく暮らしていたが、突如現れた魔族によって大陸は分断され、それぞれ
北は魔族が占領している、悪魔や化け物そして魔王の住む魔の地〈アグラバイド〉
東は魔法を得意としない、過激な性格の獣人達が多い国〈アテラルド〉
西は魔法を使い、多種族と協力し魔族を退ける温厚なエルフの国〈エルシオン〉
南は特に秀でた能力はないが、比較的高度な文明を持つ人間の国〈ハイデンベルク〉
という魔の地と3つの国に分かれたという。
中でも魔の地に近い東と西の国は協力し、ここ数百年間魔族と争い続けてるそうで、比較的安全な南の国は、優秀な冒険者や物資などを送り支援している状態。
クレアの母は冒険者で戦いに向かったそうで、なんと魔法で魔王軍幹部の一人を討ち取ったらしい。
しかしクレアは10年ほど前に亡くなってしまったそうだ。
「――それじゃあクレアのお母さんは、有名な魔法使いで魔族との戦いで大活躍だったのか!」
「クレアのお母さんかぁ……どんな人だろう? 一回会ってみたいな――『それ以上言わないで。母の話はしたくない』
クレアはさっきまでとは違う。背筋が凍るような冷たい口調で話す。
しまった。無神経な発言をしてしまった……
そもそもクレアのお母さんが今生きてるかどうかも分からないのに。
雰囲気からしてもう亡くなってしまったのだろう。魔族との戦いで戦死とか。
「部外者の俺が首を突っ込み過ぎた。悪かった……」
『分かればいいの。だけど二度とその話はしないで。あと今は人がいないけど、それだと誰もいない所に頭を下げてる変な人に見えるわよ。変な人って所は間違ってないけど』
余計な一言だが、さすがに言い返す気にもなれず静かな時間が流れる……
「誰かぁ!助けてえぇ――ッ!」
その沈黙は、森中に響き渡る誰かの悲鳴によって破られた!
初投稿で粗雑な文章を、
ここまで読んで頂きありがとうございます