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エピローグ

「俺は、結局……。」


 アイン・ダールは今はもう部屋主のいない部屋にいた。

 部屋の中は既にきれいに整理されていてそこに住んでいる人など元々いないかのように、まだ人が住む前のような新築の匂いすら醸し出していた。


 クロノスEと刺し違えたガブリエルはその後アズリト・アースの操るドレインに回収され、治療を受け退院したアインが真っ先に来たのがヴィエント・バラノフの部屋だった。


「あのとき、俺がアルバートを殺していれば。」


 初めてアルバートと実戦で戦った時のことを思い出しては悔やまれる。


 もうあの人は帰ってこない。

 自分の甘さが引き起こしたことだと後悔する。


「中尉、いる?」


 そう一人で部屋の中でたたずんでいるとアズリトが入ってきた。


「どうかしましたか?」

「少佐、いや大佐から自分が死んだときに少尉にこれを渡してくれって頼まれたから。」


 アズリトはそう言って一枚の便箋を渡す。


「これは……。」


 遺書も手書きではないことがおおいこの時代においてそれは手書きの者であった。

 そして書いた人間もアインにはすぐわかった。

 すぐに中身を読みたかったが、よっぽど読まれたくなかったのだろうか便箋はしっかりと糊付けされていた。

 苦労してきれいに開けると中には白い紙が数枚入っていた。


 アイン・ダール中尉


 これをあなたが読んでいるということは私は死んだのでしょう。

 だとしたら私が今まで言えなかった一つの言葉があります。



 私はあなたを愛しています。



 あの日、あなたに命を助けてもらった日、いやマリノアス基地で初めてあなたに会った時に好きになりました。


 そしてそれからあなたと話す日々は私の宝物になりました。


 あなたと一緒に過ごした時間は本当に楽しかった。


 これだけは本当のことです。


 だからあなたがこれから何を見ていくのかもう私には分からないけど前を向いて歩いてください。


 ヴィエント・バラノフ



「少佐……。」


 アインは心の内側からこぼれるものを耐え切れなかった。

 手紙を汚してはいけないとは思うものの涙が手紙が零れ落ちてしまう。


「アイン……。」


 アズリトが後ろからそっと抱きしめるとアインは泣くのを止められなかった。



「それでアルバートの方はどうなったんですか?」


 数分間泣いていたアインだったが泣き止むと真っ先に尋ねたことはそれだった。


「生きていると聞いているわ。」

「そうですか。」


 そのときのアインの表情はアズリトにとって読み取れないものだった。


「だからアイン。あなたは生き残りなさい。彼女のためにも。」


 アズリトはそう言うとアインにそっと口づけをした。



 ロンギヌウス要塞防衛線。

 後にそう呼ばれる戦いは一つの大戦の終わりだという意見もあれば大戦の転換期とする意見もある。

 だがたとえそれがどちらであろうがこの後に起きる戦いにこの戦争が大いに関係しているというのは後にこの戦争のことを研究する歴史学者は皆同様の意見であった。

過去編としてはこれで最後となります。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

かなりすっきりしない内容となりましたが本編にてすべて回収しようと考えております。


本編の方は来年の一月ごろを予定しておりますがもしよろしければよろしくお願いします。

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