プロローグ
始めましてMSといいます。この作品は前に一度投稿したものを設定以外はほぼすべて書き換えたものです。まだ文章になれていなくて読みづらいかもしれませんが読んでいただければ幸いです。
因みにこのプロローグは一部から二年半くらい後の話です。
「どうだい、中佐? 機体の調子は。」
長いまつ毛と華奢な体、長い茶髪と声変わりしていない高い声のおかげでパッと見は美少女である男、イオク・リェーエフ大佐が尋ねてくる。
「まぁ、普通といった感じですかね。」
「そう、ならいいけど。僕としては何かあって君を死なせることになったら命がいくつあっても足りないような状況になっちゃうから。」
「まぁ、でも確かに同シリーズはあるものの僕の機体と大佐の機体だけですもんね、リミッターが外されているの。」
虚空を見つめている大佐を見て、すぐに話題を変えた。
「そういうこと。だから絶対に死なないでね。本当に僕の血が一滴も残らないほどの事態になるから。」
だが話題の転換が下手だったせいで変えられないことに舌打ちを抑えるので精いっぱいだった。
「嫌だなー、それじゃまるで僕が普段無茶しているみたいな言い方じゃないですか。」
だからそんなことをする気なんて一ミクロンもないことをアピールするために最後にハハハと笑いを付け足して答える。
このままではお説教が始まるのは確実だ。
そのお説教が上からガツンと来るものなら嫌なものではあるがまだマシだ。
だがこの大佐のだけは別だった。
「まさか、今まであれを無茶していないという気なの!? あんなに被弾して! 機体を何機か壊して! 一体今まで僕らがどれだけ怒られたと思ってるの!?」
大佐の大きな声に思わず耳をふさぐ。しかし顔を見ると可愛らしい姿形と相まってまるで小動物にお願いされているような感じでなんとも言えない罪悪感が湧く。
だからこの大佐のことは苦手だった。
「すみません……。」
そうしおらしく謝ってみる。
「声が聞こえない!」
「すみませんでしたぁ!」
だが駄目だったようだ。
「ちょっとそこに正座!」
「はい!」
素直にその指示に従って土下座するかのような勢いで正座する。
「そんな暇はありません。」
もう一人誰か来たようなので誰が来たのか確認する。
すると黒髪を肩のあたりでショートにした美少女、ルーシー・メーチェ少佐が大佐の頭をはたいていたので助かったととりあえず心の中で安堵した。これで機体に乗って自分勝手なことができる。
「全く、どうしてあなたはいつも戦闘前にそんなに不安になるのですか! 少しは堂々としてください!」
そう、どちらが上官なのか分からない、いつもの二人の光景を見ながらそろそろ正座を崩して逃げ込もうとする。
「大体、そんなに中佐のことが不安ならば司令に熨斗つけて突っ返したらいいんですよ!」
いや、助かっていなかった。
「確かに、それはいいかもしれない。多分、司令も喜んで中佐を大事にするかもしれないし!」
しかも大佐がそれに同調している。
不味い、それはとても不味い!
体中の震えが止まらない。
下手すると大切にされ過ぎてペットのように一生どこかに閉じ込められてしまう!
「あの、流石にそれは……冗談ですよね?」
ちょっと泣きながら尋ねる。
「冗談だと思いますか?」
けどルーシーの目から本気だと分かってしまう。こいつは本当に俺に熨斗付けて司令に返すつもりだと。
「はい、次からは無茶しません!」
そう今までで一番いいと思う敬礼をして、下の階級だけど丁寧語を使う。
どうしてこうなった!
そう心の中で思いながら……。