1日の中で
俺は今聖火高等神学校の一年B組の教卓の前にいる。
「神童佳輝です!よろしくお願いします!」
ザワつく教室。
先生が見当たらない。
どうしたもんか…。
俺、神童佳輝は死んで神様に黄泉に召喚されたらしい。これ以上の説明は面倒臭いのでやめておく。
聖火高等神学校、一年B組。その教室の中で沈黙が続く。
「え、えっと…」
頭をかく俺に、少女らしき声が、
「おい、さっさとあの席に付け。」
周りを見渡しても誰もいない。
くいっくいっ
と、俺のズボンを引っ張る感覚がある。
下を見ると、赤髪ツインテール、身長約一二〇㌢。シンカよりロリだ。
「あの…、どなたですか?」
「何を言ってる!このクラスの担任だ!」
「はっ、はい!」
鋭い目つき背筋を伸ばしてしまう。
「佳輝よ。あとでたっぷり話そう。」
「は、はぁ。」
とりあえず席に付いては見るが、このクラスには女子しかいない上に、人間でもない(よな?)。
「えっと、あのあの、神童くんだったけ?」
俺の隣の金髪美少女が話しかけてくる。
ホントこの世界美少女ばっかだな と思いつつ答える。
「は、はい。」
そう言うと、ニコッと彼女は微笑み
「よろしくっ!」
「よ、よろしく。」
んんー。緊張する。
なぜこんなにもどストライクなのだ?
このクラスには俺以外は女子。
そんな中一限目のは……、保健体育。
????
保健だと?
女子しかいない中で性についてだの受精にかんしてなど決してエロくはない授業の中俺は顔を真っ赤にしてうつ向く。
そんでもって女子らは一心不乱にノートに何か取っている。
もともと俺は授業は寝る様な奴だったからノートとかは取らないが、聞きはしていた。
「なんで男が俺だけなんだよ…」
ぼそっと俺がそう言うと、隣の子がこっちに向き何か喋りたそうにしている。
俺が「?」というような顔をすると彼女は何やら語りだした。
ドクン!!
跳ね上がる心臓の感覚。血の気が去ってゆく…
ドクン!!
「…くっ!!」
この…このかん…感覚には…覚え…がある…。
ドクンッ!!
「ぐはぁっ!」
あまりの苦しさに声がもれる。
吐き気、目眩、意識がなくなっていき、全身が冷えきる。
そう…この感覚は…
ドクンッ!!!!
死ぬ感覚だ…。
────。
ふと瞼を開ける。
見知らぬ天井……。
もう苦しみはない。、
「一体何だったんだ…。」
ぼそっと声を出して横を向くと、隣のベットで銀髪美少女が寝ていた。
そう。シンカである。
どうやら保健室に運ばれたらしいな、俺。
でもなんでシンカが…。
コンコン
ガラララララ
「大丈夫ですか?」
と入ってきたのは、キョウカだ。
「ああ。今は大丈夫。なぁキョウカ、シンカはなんで…?」
「はあ。シンカちゃんは授業中に倒れたのですよ。佳輝さんと同じです。」
「何が原因が分かるか?」
「いえ。何とも。さっぱりです。」
「この世界には病院とかないの?」
「ありますが、行ったところで何も分からないと思いますよ?」
「そうか…。ならどうしたら…。」
一瞬シーンとして、キョウカが喋り出す。
「えっと…。もしかしたら、もしかしたらですよ?」
「うん。」
「もしかしたら、佳輝さんとシンカちゃん、一定距離をこえると発作を起こすんじゃないかなって。」
「そんな。ありえない。」
「あの、ですからもしかしたらですよ。」
「あぁ。分かってる。検証してみたら分かることなんだが…」
「あんなことはもう起こって欲しくない…と?」
「そうだ。あんなに苦しい思いしたくない。それはシンカも同じだろう。」
そうだ。あんな思い絶対にしたくない。
すると、キョウカが考え込んだ様子で
「もしかしたらあれが…。」
ぼそっと言った。
俺にははじめの方しか聞き取れず、肝心なところは聞き取れなかった。
「何だって?」
俺が聞くと慌てた様子で
「なな、なんでもないです!」
?と思いながら俺は考える。
ピーン
謎の効果音。
「そうか。」
と言い俺はスマホを取り出す。
電話帳を開き、“神”と書かれた所をタップする。
そう。神に聞けば何かしら分かるんではないかと思った。
トゥルルルル…トゥルルルル…プッ…プープープー。
「(切りやがったァァ!!?)」
もう一回だ!
トゥルルルル…トゥルルルル…プッ…プ────プ────。
「(また切ったァァ!!?)」
「クッソ!何なんだよあいつ!」
と言いつつ保健室のベットをける。
「だぉおお!!!こゆ小指角にぶつけたァァ!!」
プルルルルル
俺のスマホに電話がかかってきた。
そこには
“神”
俺はすぐに電話にでた。
「なんで出ねぇんだよ!」
「ごめんごめん。ちょっと用事があったからね。ごめんねぇ。」
はぁぁとため息をつき、
「アンタの発言を信用していいのか心配になってくるんだけど?」
「お?神様に『アンタ』とはでかくでたね。」
「そういうとこだよ!?」
「あー、はいはい。で?なんだったぁ?」
あーそうだったと思い、
「俺とシンカなんだけど…」
「あぁー。それね。はいはいはい。」
俺の発言に被せて言ってきた。
「それで?」
「いちいちウザいよなアンタ。」
「神に対してその発言はどうかと思うけど、それは置いておこうか。続きを。」
「あぁ。俺が小さい時にだ。親父と母さんに『お前は兄貴になるんだ』って言われたことがあってな。」
たぶん俺が3歳くらいの時だろう。親父が死ぬ前だからな。
「だからだ。もしかしたら、もしかしたらだけど、シンカは俺のいも…」
「はああぁぁ。」
俺の言葉に重ねて凄く大きいため息をつく神。
「そこまで記憶力があるなんてね。」
「ってことは…!?」
「あぁそうだよ。シンカは君の妹。産まれてくればの話だったんだけどね。」
「妹は母さんの腹ん中で死んでいたと聞いた。だから俺は見たこともないし、声も聞いたことない。」
「そういう事だよ。しかしだ。君たちが一定距離を離れることにより発作を起こすのは想定外。私たちにも分からないんだよ。」
「そんな…。」
ていうことは、これから俺とシンカは四六時中一緒にいる、否、一緒にいなくてはならない。
今更だがここへ来て数日しか経っていないのに、色々なことが分かり、入り込んでこるので混乱している。
とりあえず、今俺が叫びたいことを叫んでおこう。
「なんだよこの世界ィィイイイ!!!!」