あるぅ日、森の中…
設定…もうちょっと考えればよかった…
退治したグレイウルフを解体してる姉弟の動きを観察…ふむふむ、おなか側からナイフの刃を入れるのね。
「手伝うよ、ナイフ貸して」
「あ、はい」
ログくんから予備のナイフを借りて【念動】でナイフを動かしホーンラビットの皮剥ぎと角取って、魔石取り出し…首の血管を切って逆さにし、その辺の枝に掛けて血抜き…狼は牙と爪も魔法の材料に使えるらしくて傷をつけないように丁寧に採取。血抜きが済んだウサギ肉を回収して袋に詰めて荷台に載せ、狼の肉は一箇所に集めて。
…っと、どうやら周りを囲まれてるみたい。レーダーで確認しつつ警戒
「ヤバい!囲まれてる。二人とも、乗れたら乗って」
「うん!」
「は、はい」
解体に夢中になりすぎちゃったか、でも襲いかかって来ない…様子を見てるのか?1発ぶちかます?二人ともハッチから席に戻ったし…よし【障壁】を強化して…
「ギ…ギィ、チョ、チョットマテ」
茂みの中から一匹、汚れてるけどローブを着たゴブリンが出てきて両手をあげる、その後についてゾロゾロと…周りを囲んでるゴブさんが10匹ぐらい…意外に少ないな
「はあ、なんでしょ?」
俺が答えたら余計にビビった。そりゃそうか、鉄の大きな魔獣が喋ったら驚くよな。でもこっちもチョット驚き、ゴブさんとも会話出来るんだね。
「ナンデ、オラタチ、オソウ」
襲うって…まあ彼らからしたら俺たちの方がモンスターだよな。
「なんでって、お前たちが村を襲うからじゃないかー!」
あっちゃー、ミミムちゃんハッチから身を乗り出して…そんなふぁっくゆーなんてしてはしたない。
「僕達小さい時に村を魔物にやられて、それで…」
と、ログくん。まあそうだろうね、しかしこうなると…
「カリノジャマスルナ!」
睨み合いになるよねーどうやら農耕を主にする人間と狩猟で生活するゴブリンとの生活圏のぶつかり合いみたいになって来たんじゃ?
「まあまあ、ここはひとつ、みなさん冷静になって…狩りって、我々が獲物を横取りしちゃってました?」
借りてたナイフをふよふよ漂わせ、さっき積み上げた狼さんのお肉を指してみる。
「ア、アア、ソウダ」
めっちゃビビったままだけどなんとか答えてくれたゴブさん。そっかーだからこの周辺に獲物が固まって居たのか…ウサギを餌に狼を呼び寄せてたのか狼を使ってウサギを追い立ててたのかわかんないけど…どちらにしても悪い事しちゃったな。それなら!
「じゃあこの獲物の肉はそのまま差し上げますよ、それでここは勘弁して頂けませんか?」
「な、なんで!」
「イイノカ?」
ミミムちゃん怒らないで。これが一番穏便な策でしょ
「ええ、どうぞどうぞ、ウサギのもありますからいかがですか?」
さっきのウサギ肉を詰めた皮袋を1個【念動】で差し出して。キョロキョロおどおどしながら受け取るローブのゴブさん。
ガガァーッ!ゴフ!ゴフッ!
な!レーダー完全に見てなかった!3時方向距離100mに…熊?デッカ!なに?あの大きさは
「レッドベアー…」
呆然と熊さん見て固まってるミミムちゃん、ゴブさん達も慌てて転んでる、そんなにヤバいのか?のっそのっそやって来る奴に…目標至近、徹甲弾!よーい…てぇっ!
ドン!
グガァー!
…命中!突然の砲撃に棒立ちのレッドベアー。ふっふっふ、舐めてるからこうなるクマよートドメ!
ドン!
ズズーン!…あらら、あっさり倒れた。しかしデカイなー、3mぐらい?地球のヒグマの倍ぐらいか…まあそれでも装甲板ブチ抜く(いくら貧弱って言われてても)37mm徹甲弾ではひとたまりもないかぁ?あっはっは…はあ、なんか周りの皆さんも姉弟も固まったまんま。
「な、な、な…」
「おーい、固まってないで解体お願ーい」
「なんでレッドベアーがあんな簡単に倒せるのよっ!この非常識!」
しょげなこと言われてもー、怪我人無しで倒せたんだからいーじゃんねぇ?そんな怒ってばっかだと美人さんが台無しだよ?ミミムちゃん。
「はいはい、まぐれまぐれ。とっとと解体して狩りを継続しましょ?…あ、ゴブさん達も肉要ります?手伝ってくれれば分けますよ?」
やっと硬直からなおった皆さんにもそう言って、ギュラギュラと地響き立てて倒したベアーの方へ…うーん、熊の手のひらとか肝とかって薬の材料になるんだったっけ?
◇◆◇◆◇
それから…姉弟とゴブさん達、自分もナイフを振るってクマさんを解体。血抜きは俺が【念動】で逆さに吊るだけで良かったけど皮は固くてなかなか歯が立たない、大きいもんで解体もひと苦労だよ。みんなで掛かってなんとかかんとか解体を済ませ、毛皮と大きな魔石、牙と爪と手のひらと肝を自分達で貰って、その他肉はゴブさん達に分けた。
「コンナニモラッテ、イイノカ?」
「もちろん、手伝って貰ったし…何よりこんなデカイの持って帰れないよ。」
3号L型に【変形】して荷台になんとか荷物を括り付けた、さてと…
「ところで…この森を出たところに人間の村が出来ちゃったんだが知ってますか?」
「ソウナノカ?サイキン、ヨクミカケル」
「危ないからもうちょっと奥に隠れた方が良くない?」
「ウム、ソウスル。レッドベアーニ、サトヲオワレテ、ニゲテキタカラ」
「うん、戻った方が良いよ…気を付けてね」
「ニク、アリガトウ、コレ、ヤル、キズニハルトナオル」
…ゴブさんから受け取った袋の中身は…薬草、ログくんが見てくれたけどなかなか貴重なものらしい。後で鑑定しとこ。
「こちらこそありがとうございます。」
「イイ、オマエ、ナマエハ?」
「トリーと申します」
「ソウカ、オボエタ、デワ、カエル」
「はーい、お気を付けて、バイバイ♪」
「…バイバイ」
振り返りつつ肉を抱えて立ち去るゴブさん達を見送って…あ、ゴブリン討伐してない!けどまあ良いかぁ。追い払って安全を確保出来たし…討伐証拠は狼のから似たような魔石をログくん達に選んで貰って提出すれば誤魔化せるだろ、うん。
◇◆◇◆◇
それから…周辺をパトロールしたけど普通の鹿がいるだけだったので撤収。村まで帰ってきました。
村の入り口では門番やっぱりスルーで村長宅まで戻って来れたけど、村人のみなさん家に入って隠れてしまった。はあ…とりあえず村長さんに報告。ミミムちゃん担当ね。
「おお、もう帰ったのか…で、首尾は?」
「ええ、無事追い払えました。これが討伐証明の魔石です。」
引きつった顔で魔石を受け取るヒゲオヤジ。もう解決するとは思ってなかったのだろう、ふっふっふ。
「それと、レッドベアーが出たので報告します。背中に載ってるでしょ?」
「レッドベアー!あ、あの…毛皮とか譲ってくれんか?」
「街で売りさばきますーその方が高く売れるでしょ?…討伐した魔物は討伐した冒険者の物、でしょ?問題ないよね?」
「それでも…村の森から採れた物だから…」
「はぁ?」
報告担当ミミムちゃん、メンチ切って人が変わり過ぎ。見ててコエーよ。
なんとか依頼終了のサインを貰って。さあ帰るか。再び二人を乗せて今度はノンストップで1時間半。門が閉まる前にメルカリウスに帰って来ました。許可証で無事…いや、背中の熊の毛皮にみんな興味津々だったみたいだけどなんとか躱してギルドへ。
「いやー到着ー」
「よっと!」
「ううー疲れたぁ」
ギルドの前で姉弟を下ろして到着を知らせてもら…わなくてもギルド長飛び出してきた。そんな心配だったか…
「お疲れ、しかしなんだコリャ?」
「森で狩ったグレイウルフ、ホーンラビットの皮とか…レッドベアーの毛皮とか諸々…あ、依頼は無事クリアしましたよ。」
「ほれ、終了証、楽勝楽勝♪」
「素材は、やっぱり倉庫に?」
ミミムちゃんに終了証をギルド長に手渡して貰って。ログくんは買い取り係の人と話して…背中の荷物をギルド職員何人かで降ろしてます。
「れ、レッドベアー?そんなモノまで」
「あーそいつの魔法でドン!で終わりだったぜ」
「それはとても興味深いですねぇ」
振り返ると…腕組みしてこめかみに青筋立ててるヨークシャー師匠でございますです。
「随分御活躍のようで…出来ればこの目で見たかったですね」
「い、いやぁ…あっはっは」
だってミミムちゃん突然走り出すんだもん、魔石の交渉とゴーレム研究のため俺の能力確認の為にと冒険者ギルドまでついてきてくれたヨーキーさんの事はうっかり…忘れちゃってました、てへ♪
「屋敷で詳しく聞かせて下さいね、お二人にも一緒に来ていただいて」
「ゲ、マジ?」
「はあ、買い取り手続きは済みましたから…支払いは明日だそうです」
ネコミミ姉弟も連行です。まあゴハンも出してもらえれば喜ぶかな?あ、ヨークシャー邸に引き上げる前に。
「そうだ!ギルド長さん、私にも冒険者証下さいよ、いちいち門の通過許可証出してもらうの面倒」
「わかった、検討する。明日また来てくれ…その時素材の代金を支払おう」
「了解!では今日は失礼します。」
ヨーキー氏とミミムちゃんログくんを乗せて、ヨークシャー邸へ戻りますかぁ。
[現在のステータス]
Name:トリー
種族:戦車
性別:♂
レベル:9
Type:【III号L型】、95式チハ
HP:270/270
MP:260/270
STR:200
INT:170
DEF:210
SPD:140
LUK:19
FUEL:150/390
兵装 主砲:84/84 機関銃A:3500/3500 機関銃B:3500/3500 スモークディスチャージャー:3/3
装備 ゴム貼り履帯
魔法:修理・補給、念動、補助魔法《初級》、攻撃魔法《初級:火・水・氷・風》
技能:簡易鑑定、周囲索敵、改造・パーツ召喚、魔力感知、障壁
耐性:耐火、耐熱、耐冷、耐衝撃、毒無効、麻痺無効
称号:渡来人
進化ポイント:110
暴れ足りないよー