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走れ!ヒーローズ  作者: ねこまげ
5/5

4話

 三人と別れ家に帰る。

 あれからは今のブラックドールの状況などを聞いた。

 そして、俺が手助けするつもりがないこと伝えた。美鈴ちゃんは不満だったようでほっぺたをパンパンに膨らませていた。

『そう、わかったわ。それなら今まで通り力は使わない方がいいわ』

『超能力のことは友達に隠しているんだっけ?じゃ、このまま内緒にしてくれる。ちょっと気になることがあるから……』

 梨々花と士郎は何か引っかかるような物言いだったが、気にしないことにした。

 たぶん、もう関わることはないだろうし……

「うー疲れた」

 ベットに倒れこむ。その気はなかったがそのまま眠りに落ちてしまった。



「おにーちゃん!」

 下の階から母親に呼ばれる。

 外は明るくなっていた。朝まで寝てしまったみたいだ。

「おにーちゃん、お客さんよー」

 思いっきり伸びをする。どうせ、和樹だろと愚痴りながら部屋を出る。

「お兄、やるねぇ」

 部屋の外では妹がにやにやしながら出迎えていた。

「はぁ、意味わかんねーし」

 その横を通り過ぎ、階段を下る。

「もう、早くしなさいよ!あんなかわいい子待たせちゃだめよ」

 ハイハイと軽くあしらいながらリビングを通る。

「ん?かわいい……!?」

 茫然としてしまった。なんで彼女がここに……

「安吾くん遊びましょ!」

 のほほんとした口調

「んー、それパジャマだよね。パジャマ派なんだね。はは」

 肩までのストレートの黒髪を片方だけ耳にかけている。

「遊びに行くのにその恰好はないよね。1時間後に迎えに来るから準備しといてね」

「ちょ、おい」

 愛莉は言いたいことだけ言って家を出て行ってしまった。

「え……えぇぇええええええええええ!!!」

「安吾!うるさいわよ!」

 母親にいさめられ我に返る。頭の中が混乱しながらも一気に部屋まで駆け上がる。

「お兄ぃ、さっきの人だぁれ?」

 二階では妹が部屋の前で待っていた。

「俺だって聞きたいわ」

「なにそれ?」

 妹はまだ何か言いたそうだったけど、部屋のドアを閉める。

『8:47分、土曜日、26℃』

 デジタル時計を見る。

「にしてもまだ早いだろ……」

 半そでシャツにジーパンを棚から引っ張り出し着替える。

 リビングに行くと母親がテレビを見ながらお茶を飲んでいる。

「あれ、さっきの子は?」

 無視してご飯と味噌汁をよそって椅子に座る。

「なぁ、父さんに隠し子っている?」

「あははは。何言ってるの。あの人にそんな解消あるわけないでしょ。あはは」

 えらい言われようだけど俺もそう思う。

 食事を終え、食器をシンクに持っていく。そのまま部屋に戻り身支度を済ませ玄関の外に出る。

 出てから気づいたが、1時間しないとあの子は来ないのだ。

「急ぎすぎたか……」

 ブロック塀に寄りかかりながらしゃがみこむ。もう一度家の中に戻る気にはなれなかった。

 空を見上げると青空が広がっていた。

「あ!準備できたんだね」

 何も考えずぼーっとしていたら時間が来たようだ。

 愛莉が目の前に立っている。

「さ、いこ!」

 腕を引っ張られ、立ち上がる。 

「その前にお前は……」

「そんなことより、ちゃんとお金持ってるよね。行くよ」

「ちょ……行くってどこにだよ!」


 そして到着したのが

「遊園地……だよな……」

 そのまま強引に押し切られ、ここにいる。

 電車の中では愛莉はその遊園地のパンフレットを熟読していた。

 どこにそんな読むとこがあるのかわからないぐらい熟読していた。

「スターランド!来たかったんだ」

 観覧車が見えた時から小学生のようなはしゃぎようで一緒にいるのが少し恥ずかしかった。

「スターランド!知ってる?スターランド」

 知ってるもなにも今まで出てきた学校で必ずや遠足で訪れるぐらいお世話になっている。

 どこにでもありそうなウサギのキャラクターがマスコットで一番の売りが絶叫マシーンだ。

「知ってる。あまりいい思い出はないけど……って聞いてない」

 愛莉は入場ゲートの前で手招きしている。

「早く!時間は待ってくれないんだよ!」

 入る前からジェットコースターの悲鳴が聞こえる。

 お姉さんに見送られながら中に入る。

「さて、道順は私に任せてもらおうか!」

 親指を自分の方に向けてかっこうを決めている。

「はいはい、確かに熟読してたもんな」

「じゃ、コーヒーカップからね」

 愛莉はスキップをしながら歩き出す。俺も後をついて歩き出す。

 それが地獄の始まりになるとは知らず……


「お、おまぇ、思い切り回しやがって……」

 地面が揺れる。頭が回っている。

 愛莉はどこ吹く風だ。どんな三半規管してるんだ。

「次はメリーゴーランド!」

「はぁ?」

 場所としては正反対の位置にある。つまり遠い。

 そんなの関係ないように愛莉は走り出してしまった。

「おい、走るな!危ないぞ」

 仕方ないので小走りについていく。

 そこそこの距離があった。息が切れている。

「ほら、遅いよ」

 改めてみるとこれに乗るには抵抗がある。

 てか、また回るのか。まぁ遊園地なんて回るものしかないのだが……

 先に馬にまたがっている愛莉の横の馬に座る。そんなに間もなくベルが鳴る。

「あ、私、あれがいいや」

 愛莉はちょっと離れたとこにある馬車に移ってしまった。

「ちょ、待て」

 俺も移ろうとしたが、すでに周り始めてしまった。

 これって、男が一人でメリーゴーランドに乗ってるように見えてるのだろうか……

 メリーゴーランドが止まり愛莉のもとに詰め寄る。

「お前なぁ……」

「次!」

 愛莉は聞く耳を持たない。

 また、走り出す。

「なんでお前は場所を考慮してないんだよ!」

 仕方ないのでついていく。

「さあ、次はこれ」

 愛莉の指さしたのはスターランドの名物。一時期高さか何かでギネスにも乗ったという

「ジェットコースター」

 見上げるとちょうど機体が頭上をかけていく。悲鳴が響く。

「ちょっと、なんで微妙な距離で止まってるの?」

「え……あ、いや」

 焦れたように愛莉が戻ってきて、右手首をつかみ左右に揺らす。

「ねー、どうしたの?」

 顔の前で手を振る。

「あ、わかった。怖いんだ」

「ち、怖い訳……」

「じゃあ、行こうよ」

 右手を引っ張る。俺の足は動かない。

「やっぱり怖いんだ」

 愛莉の顔が意地悪に笑いだす。

「怖いんだったら仕方ないよ。あーあ、私、すごく楽しみにしてたんだけどなぁ。一人で乗るのも味気ないしぃ。でも、怖いんだったら仕方ないよねぇ。うんうん仕方ない。怖いんだもん。そうそう誰でも怖いものあるし仕方ないよ。ふーん、乗りたかった……」

「うるさいな!怖くないって」

「じゃあ乗ろう」

「え……」

 嘘です。すみません。本当はすごく怖いです。

 しかし、後に引けない状況になってしまった。こうなったら腹をくくるしかない。

 30分並ぶかどうかのところで順番が来た。

 機体に乗り込む。愛莉は隣で係のお姉さんに手を振っている。

「楽しみだね」

 機体がゆっくりと動き出す。

「お、動いた」

 恐怖を倍増させるようにゆっくりゆっくりと上っていく。

「安吾、大丈夫?」

 だんだん頂上に近づいてくる。

「ちょ、本当に大丈夫?」

 目の前からレールが消える。

「あっ!」

 あとは落ちていくだけ。

 楽しそうな悲鳴が辺りに響く。


 だた1名を除いては……


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