後書き
蛇足ながら、後書かせていただきます。
真面目に連載小説を書いて終わらせたのは初めて、なんて初心者作家の戯れ言でございます。
本作は2013年の、おそらくは夏以降に構想された作品であり、主な執筆時期は、たぶん11~12月頃でした。
詳しいことについては残念ながら記録が残っていないのですが、2013年12月半ばから始めた日記を見返してみますと、中旬には12~15話を書き上げていたようなので、おそらくそのようなものであったのでしょう。
そして投稿が2014年12月から始まり、完結が2015年1月上旬。
お前いったいナニがあったんだと、自分でも突っ込みたいところです。
これ(一年の空白)はどうしたことかと申しますと、ひとえにモチベーションの低下と、ただ単純にいろいろと忙しかったり病気をしたり演奏会に出たりと忙しくなって執筆に集中できなかったためです。
長期連載ですと、そうしたイレギュラーが発生するものでしょうが、それにしても2014年前半は忙しかった。その時期を過ぎてしまえば時間もあったのですが、とうの昔に執筆の感覚は薄れ、pomeraを前にしてもちっとも手が進まない有様でありました。
事実、恐ろしいことに13話、14話、15話は一週間の間に仕上げていて、年末までに17話まで書き上げています。年が明けてから、残った18話からの4話を終わらせるのに十ヶ月掛かりました。
いかにモチベーション低下が影響を与えるのか、実体験として理解した貴重な体験でした。
それはさておき、本作を書くに当たって念頭にあったのが、この小説でどんな利益を読者に提供できるのか、ということでした。
突き詰めると、小説から得られる利益は二つです。つまりは、「面白い」か「タメになる」かです。
もちろん、エンタメでなければ他にも様々な要素が絡むでしょうが、あくまでエンタメという土俵ではこの二つの要素を志向することが必要なんじゃないか、などとほわほわ素人ながら考えてみた次第です。
面白い小説を書けるか。書けたらいいんですが、たぶん、それは難しい。
なら、タメになる小説は描けないか。
自分のやたらと長いネット小説読者歴が、なんらかの形で読者の皆さんの参考になるのではないか。
そうした発想から書かれたのが、この「心象エスキル」でした。
その上で、いくつかの約束事や設定を整えて、そのままほったらかしにしていたのですが、ネタを腐らすなと脳内のともちゃんからお叱りを受けて、なんとかかんとか書き始め、ひいこら言いながら書き上げました。
当初はもう少し短くコンパクトにまとまるつもりが、最終的には三十万字を超えてしまって、我ながらなんちゅーもんを書いたのかといまさら愕然としております。
また、作品の性質上、本編で語られること(ネット小説論)を主軸に、「わたし」と「先輩」の物語は添え物として、匂わせるだけで回収されなかった諸々もあります。その点は、せっかくお読みくださった方には申し訳ないところです。
その点は、「わたし」には彼女なりのドラマがあったように、「先輩」にもいろいろな経緯や思惑があったのだと、そう納めてくださいますと助かります。
雑然といろいろ書かせていただきましたが、拙作をお読みくださって本当にありがとうございました。
「自分で言っていることが自分で守れていない」なんてことも多々あった、そんな拙(つたな)い作品でしたが、それでも楽しんでいただけたのなら、作者としては本当にありがたいことです。
作者が想定したような、執筆の足しに少しでもなったのなら、この上ない喜びです。
では、これで筆を置かせていただきます。重ね重ね、お付き合いくださってありがとうございました。




