20.ハッピーエンドとバッドエンド
【文字数】
16000字ほど
【作者コメント】
これで本編は最後になります。最後までお付き合いくださった方に、心からの感謝を。
と言いつつ、番外がもう一つありますが、それはまた別のお話と言うことで。
【目次】
0.承前
1.ハッピーエンドとバッドエンドについて
2.問題提起:バッドエンドは是か非か
3.締めくくり
0.
珍しいことに、今日は商店街で先輩と出会った。
駅を出てから商店街を抜けて、そこからちょろちょろ歩けばうちの学校だ。これって通学路としては定番ルートだから、出会ったところで不思議ではないんだけど、学校外でばったりってのは初めてだった。
「およ、先輩じゃないですか。さすがお早いですね」
「君こそ早いな」
驚いた様子の先輩に、わたしはぺこりとご挨拶。
「今日は母が出かけてまして、外で昼を取らなきゃダメなんです」
「ああ、だからついでにこっちまで出てきたと」
「そうですそうです」
うちの方面って完全なベッドタウンだから、たいした店がないんだよねー。
「あ、そうだ。せっかくだから先輩イチオシのお店連れてってくださいよ。先輩もお昼、まだですよね?」
「ああ、これから取るところだったんだ」
うなずく先輩に、わたしは心の中でガッツポーズを取った。
お昼前の、ようやくお店が開き始める頃合いだ。店も込み合ってないだろう。その上、先輩の紹介付き。ベストである。よっしゃーである。
それにしても、セーフだったかもだよ。先輩ってば、ともすれば「もう済ませてきたよ」とか、どこで食ったんだよみたいなこと平然と言いそうだからねー。
そんなうきうき気分のわたしに、先輩は冷や水をぶっかけた。
「なら、最近開店してばかりのラーメン屋にしようか」
「ちょっと待て」
と真顔でストップをかけるわたし。
「先輩がラーメン好きなのは知ってますけど、ここでラーメン屋行ってどうしますか」
「君がお勧めを、って言うから」
「部活は一時始まりなんですよね? まだ一時間以上あるんですよ? 十分、十五分で済んじゃうラーメン屋行ってどうします」
先輩はにこやかに答えた。
「安心しろ。たぶん、待ち時間でちょうどいい」
何を安心しろと言うのか。っていうか、待たせる気やったんかい。
そんなこんなで「ラーメン屋はやめて、外で待つのなんて暑いしイヤだよ」というわたしの訴えが通って、お昼もやってるバーで食事を取ることになった。
先輩、どうしてこんな店知ってるんだ。あ、おじさんに連れて行ってもらってるんですか、なるほどねえ。
「おじさんと仲良しですよね。先輩って」
「生まれた頃から世話になってるからな。いまさら、仲良しも何もあったもんじゃない」
「生まれた頃からですか!」
あ、でも親戚ってそういうもんかなあ。そっか、おしめ換えてもらっててもおかしくないわけだし。
でも、その頃からずっと仲がいいってのはうらやましいかな。うちの伯父さんなんて、わたしの中での立ち位置がブレブレである。いや、昔はシュッとしてはったんですよ。実は初恋だったんです。
それがいまは、あんな見るも無惨な年がら年中妊娠八ヶ月になりはってね……。わたしに肥えたとか言うからだよ。天罰だよ。
そんな無念を偲びつつ、サラダをむしゃむしゃしてるわたしに、先輩は話を続けて聞かせてくれた。
「最近、『ほにゃららに大切なことはみんななんちゃらから教わった』的なタイトルの本をよく見かけるが、まさにあれだな。生活面で大切なことはほとんどあの人から教わったんじゃないかな」
「えっと、その、ご両親からは……?」
家族の事情って、ちょっと手を出しづらいんだけど、思いきって訊いてみた。
いつものように先輩はあっさりと答えてくれた。
「父は仕事が忙しくてね。だから昔から、妹と二人でおじさんの世話になってたんだ。母は、まだ幼い頃に亡くなってる」
「ああ、それは……ご愁傷様です」
「いや、気にしなくていいよ。本当に幼い頃で、母のことはほとんど記憶にないんだ。父やおじさんから写真なんかは見せてもらってるし、どんな人だったかは聞いてるんだけど」
うーん、本当にあっさりと言ってくれる。むしろこっちが気にしちゃうくらいだよ。
そんなわたしの気兼ねを感じ取ったのか、先輩は話を元に戻した。
「おじさんから教わったことは本当に多いよ。特にありがたかったのは、勉強についてかな」
「勉強ですか」
「勉強を軽視するような意見ってあるだろ? なんのために複素数なんて習うんだ、将来使わないだろ、みたいな」
「あー、そうですね」
いや、うん。そのへんはわりとわたしも疑問なんだよね。虚数なんてどうすんの。第十二使徒でも新東京市に来ないかぎり(※1)、使い道ないと思うんだけど。
まあ、そうは言っても、音律(ドレミにもいろいろなドレミがある、という話)について調べてたらナチュラルに対数の話が出てて、つい見て見ぬフリしたんだけどさ……。なんで趣味でまで数学見なあかんねん。
そんなわたしの超個人的な話はともかく、先輩はいつもの一本指で説明してくれた。
「そのへんで迷ってるときに、おじさんが言ってたんだよ。勉強することには二つの意義があるって」
「ほう」
「一つは勉強癖をつけること。その内容如何は別にして、大人になってからも勉強しないといけないことはいくらでもある。そのとき、この癖は絶対に役に立つと、そういうことだそうだ」
「なるほど。いまいちイメージ湧きづらいですけど、言いたいことはわかります」
大人になってからのことは想像しづらいけど、昇格試験やら資格やらなんやらがあるってのは聞くしね。勉強が必要なのは間違いないところだろう。
「学生時分でも、たとえば文章を読み慣れてないと携帯の説明書なんて読むのが大変だろ? そのことで損をするのは自分だ――なんて前におじさん、言ってたな」
「あー、なるほど。わかります。『読まない』じゃなくて、『読めない』ってわけなんですね」
「そうそう」
選択肢の幅が狭まってしまうってことか。なるほどねえ。
わたしも数学が苦手だけど、この苦手意識を消せたなら理系もイケるわけだ。そっちの進路に行くかはさておき、選択肢の幅が広がる。
当然と言えば当然だろうが、ううむ、これは良い話を聞いたかもしれない。
なるほどしてるわたしを見ながら、先輩はもう一回一本指を立てて説明を続けた。
「で、もう一つは環境とコストパフォーマンスの問題だな」
「と言いますと」
「大人になってから勉強するなら、独学で勉強しないといけない。それも、せっかくの休日や帰宅してからの多少の余暇を使ってな。それと比べればわかるが、学校は勉強する上で理想的な環境なんだよ。そういう場所なんだから当たり前だけど」
「ふむふむ」
「コストの問題も大きいよ。たとえば英語の勉強をするとしようか。その手の英会話学校や通信販売を利用するなら、かなりのお金がかかる。学校でしっかり勉強しておけば済むような内容でさえ、大層なお金がかかるんだ」
「あー……」
「資料だって、教科書として買ってる分には気兼ねしないが、手持ちのすべてを買おうと思ったらどれだけお金がかかるんだか」
「確かに、あんなしっかりした本を揃えたら初任給くらいは軽くすっ飛びそうですもんね」
合唱の資料でもね、お高いのがちょくちょくあるんだよ。万はいかないにしても、ウン千円はするようなの。そういう本ってなかなか手が出ないよねー。
一番の趣味でも出し惜しみしてるってのに、ましてや仕事で必要だからって昔習ったようなことを覚えるために本買うなんて絶対イヤだろうなあ。浪費感がハンパない。
いやーな気持ちで、わたしは味噌汁をすすった。うむ、味噌汁って案外冷製もイケるもんなんだな。正直トマトってどうなの、って思ってた。すまん。
そんなわたしに、先輩はとどめを刺す。
「どうせ使わないだろ、と高をくくっていて、もし必要になったらどうする? 一から勉強するのか? プロの教師から教わって何十時間もかけて、それでも学べなかったようなことを独学で勉強するのか? とまあ、おじさんにそう言われて、真面目に勉強しようと思ったんだよ」
「うわ、そう言われると……」
それはちょっと、ね。
でも、そうだよね。覚える系の五教科もそうだけど、家庭科の裁縫みたいな実践系も独学でやるとなると相当時間食うだろうし。真面目にやらないとなあ。
「使わないなら使わないで構わないんだよ。問題は、必要になったときに知識が備わってない場合だ。ただ真面目に勉強してるだけで、この問題は解決できる」
「なるほど。納得しました。いいこと言うじゃないですか、おじさん」
わたしがうなずくと、先輩はちょっと嬉しそうにうなずき返してくれた。
本当に好きなんだなあ、おじさんのこと。
ちょっと、うらやましい。
「今日でネット小説の話は終わるが、これからはこういう他のことへ話題を広げていきたいな」
「とすると、次からは勉強の話ですか?」
「いや、男女の違いについてやってみたいんだ。せっかく男女がいるんだし、そのへんを洗ってみてもいいだろう」
こらこら先輩。
「ちょっと先輩、セクハラですよ」
「セクハラだと思う君の発想がおかしい」
1.
神妙な面もちでわたしは先輩の第一声を待った。
ゴクリ、というやつである。(※2)
「いや、そんな顔をされても困るんだが」
「ええー」
せっかく雰囲気出したのに。最終回でしょ、今回。
のんびり昼食を終えて、そのまま図書予備室に赴いた先輩とわたしは、いつものようにお茶の準備をしてから部活を始めたわけだけど。先輩はいつもどおりのテンションでなんだか面白くなーい。
「別に今日が最後の部活ってわけでもないんだ。そんなに緊張感を出されてもな」
「でも、最後は最後なんですよね。ネット小説の話」
「まあ、そうだが」
本当に困り顔の先輩である。どうも先輩とわたしの間に意識の差があるらしかった。
先輩的にはそう大層な代物ではないみたいだ。わたし的には、先輩とこうして話し始めてからずっとこの話題だったわけだし、思い入れ深いというか。
ううむ、ちょっと思い入れが強すぎるのかもしれない。ここは普通のテンションに戻すかな。
「じゃあ、先輩。いつものテンションで今日のテーマをどうぞ」
「それじゃあ始めるか。今回は『ハッピーエンドとバッドエンド』について少し話をしようと思う。物語の終わらせ方についてだな」
終わらせ方について、か。そっか、最終回なら、エンドマークの付け方についてってのは妥当だよね。
板書を済ました先輩は、そのまま席に戻ってくる。
「今日の話題は、正直そんなに話すことがないんだ。最後の最後で悪いんだが」
「終わらせ方ってすごく大事だと思うんですけど、先輩的にはそんなに重視すべき部分じゃない感じなんですか?」
「そうだな。起承転結で言えば、一番の盛り上がりは転の部分だ。後は流れに即したエンドマークを付ければいい。ハッピーエンドにせよ、バッドエンドにせよ、そこまでの流れの方が大事だと思うよ」
「ふむふむ」
これはつまり、より大事なのはストーリーであって、結末はそれ次第ってことかな。うん、そりゃそうだよね。
先輩は早速片肘突いて、話を付け加える。
「聞くところによると、ラストシーンのイメージは早い段階からできている場合が多いらしいんだ。作者の脳内にね。となると、大事なのはそこまで上手く繋げることだろう。やっぱり、苦労するのは流れを作る方じゃないかな」
「結末ありきで組み立てるわけなんですね、ストーリーって」
「そうだな。伏線なんてまさにそういうものだしな。特にラストが重要になるような、最後にひっくり返す類の――たとえば叙述トリックを使ったような作品なんかでも、そこまでの下拵えの方が難しいんじゃないかと思うよ」
なるほどね。先輩がエンディングを軽視する理由はわかった。結局、そこまでの流れや、展開がイマイチなら、どんな良いエンドでもイマイチってことなんだろうね。
「終わり良ければすべて良し」とは言うけど、途中が悪かったらネット小説なんてそこで切っちゃうだろうし。読み続ける理由がないしね。
わたしがうなずいているうちに先輩は板書を済ませ――いわく、「終わりは流れに従うものである」だそうだ――、席に着いてからちょっぴり首をかしげた。
「とはいえ、そのエンドがどんなものかは考えないとな。特に、今回のテーマの通り、ハッピーエンドかバッドエンドかは重要な案件に違いない」
「それはそうですよね」
うなずいてから、一つ質問。
「ちなみに先輩は、どちらの終わらせ方がお好きなんですか?」
「物語次第だが、基本的にハッピーエンドの方が好きだな。多少出来が悪くても、綺麗に大団円を迎えてくれた方が嬉しいよ」
あー、そっか。そりゃそうだよね。先輩ってばエンタメ好きで、エンタメって基本、そういうものだしね。
ただし、と先輩は但し書きを付け加える。
「結局、どっちのエンドが選ぶのかは趣味の問題に過ぎないと思うよ。要はその物語がどちらに向かって進んでいるか、そのエンドできちんと物語が締まるかどうかが大事だから。もっと踏み込んで言えば、どっちの終わらせ方の方が面白くなるか、ということだな」
「えっと、つまり、昨日の話で言えば、宝探しの旅で宝を発見、みんなでバトルロワイアルして全滅エンドでも面白ければオッケーと」
「いや、それは違うよ」
と、はっきりと否定されちゃうわたし。え、違うんですか?
「物語の方向性から結末が逸脱しちゃダメだ。これは昨日も話したが、皆で協力して宝を見つける友情物語、なんてストーリーを組んだ以上、そこからのバトルロワイアルではどうあっても物語が壊れてしまう。一貫性がない。そういう手法もあるだろうが、エンタメ小説としてはお勧めできないな」
そうだったそうだった。昨日の今日で間違えちゃったよ。
「ふうむ。つまり、ハッピーエンドの流れを裏切るのはエンタメ的ではないと」
「そうそう。まさに君の言うように、裏切りなんだ」
「裏切り、ですか?」
「おうとも。流れを壊すようなエンドは、意外な展開ではなくて、単なる読者への裏切りなんだよ。読者にはエンドへの期待がある。苦難を乗り越えてハッピーエンドにたどり着くことを期待していたのに、主人公が悲惨な目に遭って死んでしまえば納得はしがたい」
あれ? でも、それって。
「それじゃあ、バッドエンドって成り立たないんじゃ……」
わたしの疑問に、先輩は片手を挙げた。なんですか、そのペットに待てと躾(しつけ)るような仕草は。
「そのことが今回の主題になる。順番に行くから、ちょっとその点は置いておいてもらえるか?」
「あ、はい。わかりました」
でも、ここは素直にうなずいておくわたし。順番って大事だよね。
「ひとまず、最初から話を見直すぞ。物語のエンドマークの付け方はそこまでの流れに従う。それを踏まえた上でどちらのエンドを選ぶかは作者の趣味の問題だ。しかし、読者に期待を持たせておいて、それを裏切るのは意外なエンドではなくて単なる裏切りに過ぎない。話の流れはつかめてるか?」
「はい。そのへんは大丈夫です」
「そうか。なら、次に進むぞ」
先輩は一つうなずいてから、いつも通り一本指を示す。
「ここで改めて指摘しておくが、ハッピーエンドとバッドエンドは二者択一じゃない」
「と言いますと」
「なんというかな。ph値のように、どちらの性質が強いか、という見方が正しいんじゃないかと思うんだ」
そう言って、先輩は一本指で宙に横線を引いた。
ふむふむ。酸性かアルカリ性か中性か、みたいに偏りがあると。
「中性もあるんですね」
「そうだな。むしろ、完全無欠なハッピーエンドや恐ろしく救いのないバッドエンドなんかよりも、その中間が一番多いんじゃないかな」
「その中性的なエンド、具体的に教えてもらえます?」
「たとえば、何度か話に出している『GS』のアシュタロス編などは好例だろうな。バッドエンドに少し寄っているが」(※3)
そこ出しますか。えー。あれ、どっちかに分類したらバッドエンドに思えるんだけどなあ。
敵一味のルシオラと主人公格の横島の恋愛は、結局ルシオラの死で終わるわけだし、あれってバッドエンドなんじゃないの? ルシオラを救うために横島ってばアシュタロスと戦ったわけなんだし。
「うむむ。あれでバッドエンドではないのですか」
「そりゃあな。敵の親玉であるアシュタロス自身は倒しているし、主要登場人物に死者はいない。ただ、恋人であるルシオラと世界のどちらを選ぶか、横島が選択を迫られ、その結果悲恋となった。あれはバッドエンド的だが、そのルシオラだって将来的に横島の子供として復活するかもしれない、という救いもある」
「……とすると、微妙なさじ加減で中性を保っていると、先輩はそう判断したわけですか?」
「そんなところだな。ルシオラ自身も、最後に『今回は譲る』と言ってるからな。来世でお待ちしてます、ということだが、あの台詞でいろいろなことが上手く納まっている」
「えー。でも、それってルシオラばっかり割食って、救われないじゃないですか」
本気で納得しかねるんだよね。本っ当に素敵なカップルだったしさ、親子になるって急に言われても。来世でオッケーって言われても。それがほんまに救いになるんかい、って思っちゃう。
……なんてわたしの主張に、先輩は(意外にも)うなずいてくれた。
「女性なら、彼女に感情移入するのは当然だろう。納得がいかないのは理解できるよ。物語としては上手くまとまってるが、彼女に割を食わせて整理した感は否めない。そのことが納得できないのは、何も君だけじゃないしな」
「あの後、なんでもなかったかのように横島がギャグしてるってのも、なんか釈然としないですしね」
「だからこそ、程なく連載も終了したんだろう」
なるほど。そういう見方もあるのか。
確かに、あれだけのことがあって、その後にギャグ漫画なんて成り立たないよね。
「この話題は一度納めるが、後で蒸し返す。これも棚上げしておいてくれ」
「はい。……あの、それなら、他の例えを使った方が良かったんじゃないですか?」
「言うな」
あ、先輩もそう思ってたんだ。
わたしがまじまじと見つめると、先輩はばつが悪そうに目線をそらした。
「他に何か良い例はあったか……そうだな、具体的じゃないが、推理物で罪を犯した犯人には実は悲しい過去の経緯があって、というパターンがあるだろう? あれも、ハッピーエンドかバッドエンドかで計れない中性だろう」
「ああ、二時間ドラマの定番のパターンですね。確かに、どっちとも言えないですよね」
ミステリーなドラマは、そういう経緯を加えてくるよね。殺された人は脅迫してたりして、仕方ない一面もあったんだよ的な。
前に観ていたドラマで、亡き父へ金を貸してくれなかった銀行家に土下座させる倍返しな話(※4)があったけど、あんなにわかりやすいハッピーエンドはなかなかないよねえ。
「硬派な物語だと、途中で重要な登場人物が死んだり大事な何かを失ったりすることは、往々にしてあるものだ。『スターウォーズ』でルークの養父母が殺されたようにな。ああいう展開を挟むかぎり、単純にハッピーエンドとは言い切れないだろう」
「あー、そうですね」
「しかし、ハードなバトルが続いた後、クライマックスで主人公が行方不明になって、エンディングで再び姿を現すパターンもあるが、あれはハッピーエンド的な終わりと言えるだろう?」
「ああ、それは確かに。先輩が前に言ってたネット小説がまさにそのパターンでしたね」
「そうだが、読んだんだな。やめておけと言ったのに」
だって。だってだって、面白いって聞いた小説を読まないなんて読書人の風上にもおけないじゃないか。実際面白かったし。思った以上に官能小説で、途中で何度もビックリしたけど。主人公、ちょっと掘られすぎやで……。
「そっちは置いておけ。君は読んでないだろうが、『ヘルシング』という漫画がまさにそうだな。死んだと思われた主人公が、最後にひょろっと出てくる」
「ああ、『ヘルシング』ですか。OVAは観ましたよ」
「……君、グロ系はダメだったんじゃなかったか?」
いや、下の兄がそれでリビング占領してたもんだから。仕方なく付き合った次第である。
さすがOVAって感じで絵が綺麗だったのを覚えている。グロかったけど。
そんな余談は脇に置いて、先輩は話をまとめた。
「エンディングには様々な形式があって、単純にはハッピーかバッドか判定しがたい物も多い。どちら寄りか、程度にしか言えないのが実際のところだろう」
「誰も彼もが完全無欠なハッピーエンドやバッドエンドを書けってなっちゃうと、物語の幅がだいぶ狭まりますもんね」
「違いない。今回、ハッピーエンドとバッドエンドとを大きく分けて見ているが、一概には言えない点は確認しておきたいな。一つの目安程度に考えて欲しい」
2.
どうやら前座が終わった様子である。ここからが本論なのかな?
先輩はお茶を飲み干して、改めて話を始めた。
「ここで一つ説明しておきたい言葉がある。『カタルシス』だ」
「つまり、カタルシスがエンディングに関わってくると」
「いや、そういうわけじゃないんだが。とりあえず聞いてもらえるか?」
おおっと、無駄な合いの手だったか。わたしはぶんぶんと頭を振った。
「君は以前、カタルシスという言葉を伏線消化というか、それまで積み上げられてきた物語が一気に解決されることと言っていたが、本来は違った意味を持つんだ」
「ほうほう」
なんか言ってたような。あ、そうだ、わたしが担当した「視点変更」の話の時に、先輩から意味を問われたんだったか。
カタルシスって、鬱々とした展開が見事に解決される感じを言ったものだと思ってたんだけど、本来は違うんだ。
「前にちょっと調べたことがあるんだけど、カタルシスという語をアリストテレスは悲劇の効用として説いている」
「あ、アリストテレスさんっすか……」
いきなりの御登場である。えっと、誰だっけ。なんかお偉いさんだよね。エジソンが偉いってくらい常識的な、確か、ギリシャだったかメソポタミアだったかの……。
いかん、我ながら適当すぎる。
「ど、どなたさんでしたっけ」
「古代ギリシアの哲学者だが……ああ、ここではアリストテレスの話をしようってわけじゃないから。そんな、混乱した顔をしなくてもいいよ」
「うえ、そんな顔してましたか」
「ちっとも答えがわからないのに先生に当てられたときみたいな顔をしてたぞ」
先輩がくすくす笑う。め、面目ないです……哲学はわたし、全然興味なくって……。
「要は語源の話だよ。アリストテレスは悲劇の効用としてカタルシスを説いた。悲劇を観て、深い悲しみや強い同情心を持つことで、喜劇では得られない深い浄化が得られる」
「うむむ……?」
「語弊はあるが、簡単に言えば『感動的な物語で思いっきり泣いて、それで気分すっきり』というわけだな」
「あ、その表現はわかりやすいです」
なるほど、確かに純愛物なんて病気だ事故だと救われない話が多いもんな。ああいう悲劇的な物語で思いっきり泣いてすっきりするのがカタルシスってわけか。
「空気系とされる作品では得られないような楽しみがそこにはある。映画の宣伝で『泣けた』だの『感動した』だの、その手の謳い文句が尽きないことからもわかるように、カタルシスの本来的な意味は現代にも通用するものだよ」
「とすると、バッドエンドには強い効果があると言うことですか」
「違うぞ、それは」
うおっと、またもや合いの手がおかしかった。これが餅つきならわたしの手は素敵な形になっていることだろう。
反省するわたしに、先輩はにこやかにツッコんだ。
「君は少し、結論を急ぎすぎるな」
「うう、申し訳ないです」
構わない構わないと先輩は手を振り、話を続けた。
「最初に言ったとおり、カタルシスそのものが終わらせ方と直接関わるわけじゃない。悲劇的な物語だからといって、最後に救いがないとは限らないしな。ギリシア悲劇は救われないバッドエンドばかりのようだが、そういう縛りがあるわけじゃないだろう」
「先輩が言っていたように、最後の最後で死んだはずの主人公がひょっこり顔を出しても構わないわけですね」
「そう。ハッピーエンドとして締めても、浄化は成り立つと思う。いや、むしろそうでないと、成り立たないと思うんだ」
さて、と先輩は仕切り直す。
「カタルシスの本来的な意味を踏まえて、あえて問いたい。『バッドエンドは有りや否や』とな」
「おお? ここまでの話の流れで、その問いなんですか」
「そう。だから、あえてだな」
うむむ、とわたしはちょっと考えてみる。
先輩は、カタルシスの効用を認めている。悲劇にはプラスの作用があると認めているわけだ。しかし、アリなのかナシなのかとあえて問うのは、その存在意義に疑問を持っているからだろう。
さっき、先輩は流れを裏切ってはならないと言っていた。たぶん、これが鍵になるはずだ。先輩はこのバッドエンドへの問いかけを前提にここまで話を展開しているはず、だから先の話題も関連してるはずなんだよ。
この鍵がはまる鍵穴は何か。
って、ああ、もうわかっちゃったよ。今日のわたし、冴えてるのかボケてるのかハッキリしてくれ。
「……なるほど」
「おや、説明する前から、何を話すかわかったのか?」
「いや、わかったかはわかんないですけど。先輩はひょっとして、エンタメでバッドエンドを用いるのが、本当はナシなんじゃないかって、そう思ってるんじゃないんですか?」
先輩はニヤリと笑った。
「ドンピシャだ。お見事」
「もともと、そういう話ですもんね。ネット小説で、小難しい感じじゃなくてエンタメ的な小説が主題ですから」
「そうだ。読んで楽しく、読み終わって満足する。それがエンタメの本質だと思う。だから、バッドエンドで読者の心に爪痕を残すような真似はよろしくないと、そう思うんだよ」
一本指を立てる先輩は、片肘突いたまま楽しげに話す。
「物の本にはそういう、読み手の読後感に爪痕を残すような、生涯忘れられないような作品を描けと、まあ、そんな風に言う創作本もある。だが、それはエンタメに求められている機能かと言うと、そうとはとても思われないんだ」
「悲劇の効用そのものが、エンタメでは場違いだと」
「そう、それだ。今日の君は本当に良い表現を選ぶな。場違いなんだよ」
およ、誉められたぞ。今日はわたし、冴えてるんだかなんなんだか、本当によくわからんな。
「ここで話を蒸し返すが、先ほど話した『GS』のアシュタロス編も難しいライン上にある。あの作品は元からハードな展開を含んでいるが、それにしても長大すぎるエピソードで、ハードすぎる展開だ。しかも悲恋に終わるバッドエンド的な結末。シリーズ単体で見れば質は高かったが、あれで決定的にそれぞれの関係は変化してしまって、物語の図式自体が壊れてしまった」
「物語の図式、ですか?」
「エンタメ的な機能を失った、と言ってもいいがな」
一つうなずいた先輩が、細かく説明してくれる。
「あの作品のベースは美神除霊事務所の三人――所長の美神と丁稚の横島、幽霊のお手伝いさんであるおキヌちゃんが様々な妖怪・幽霊を退治するというもので、三人の関係性が大事だろう。だがあの悲恋で、サブキャラとして恋愛面で機能していたおキヌちゃんはその役割を完全に失ったし、バトル展開の連続で実力的に格上だった美神を横島は完全に抜いてしまった」
「上下関係も、恋愛関係も全部が壊れてしまったと、そういうわけですか」
「そうそう。まあ、実際のところおキヌちゃんなんかは、その前の幽霊から復活するエピソード(※5)でもう役割を失っていたとも言えるけど」
「あー」
確かに、ほのかな恋愛臭は脱臭されてしまった感はあった。
幽霊っていうある意味で異性として範疇外に居たからこそ、横島との幼稚な恋愛が可能だった――何しろ、生身の美女がいればルパンダイブするのが横島というキャラクターである――わけで、そこで一度、先輩の言う「物語の図式」が壊れているわけだ。
「あのおキヌちゃん復活エピソードは作者が考えていた最終回候補だったそうだから、それは仕方のないところだろうが。あれもまた、単体のエピソードとしての質はともかく、物語の機能を解体しているな」
「えー。でも、わたし、何も出来なかったおキヌちゃんがネクロマンシーとして戦えるようになる後々の展開、結構気に入ってますよ」
やっぱりおキヌちゃん、なんだかんだでお荷物な感はあったし、ああいう戦える能力を得るのはアリな展開だと思うけどなあ。学校通って、新キャラと仲良くなって、って展開も良かったし。
と思ったら、ありゃ、先輩もうなずいてくれた。
「ああした展開自体を否定しているわけじゃないよ。戦力外のキャラが新たな能力を得て戦いに参加していく展開そのものは、胸躍る熱い展開だよ。ただ、本来的な役割が失われたというのは違いないと思うんだが、どうだろう?」
「うーん。ああ、でも、確かに生身になって、いろいろ制約が出ちゃった感はありますよね」
「月に向かうエピソードでは、完全に置き去りだったしな」
「あー、そうでしたね。なるほど。よくよく考えてみれば、アシュタロス編の後なんて、甘っちょろい話、一つもなかったですし……」
アシュタロス編で決定的に関係が壊れたというのなら、それは確かに、そうかもしれない。
あの後は恋愛どころか、横島の代わりに横島っぽいロボットが入れ替わっていても気づかないくらい、気にされてなかったのだ。あれは落としのギャグだけど、それにしてもヒドい話である。
大きすぎるエピソードともの悲しいエンディングが、いままでの物語を続けられなくしたと見れば、それはそのとおりにも思える。
納得顔のわたしを見ながら、先輩はさらに例を加えた。
「この話題には、テレビ版の『エヴァ』なんかも例に挙げていいかもしれないな。第十四使徒のゼルエルと戦うために碇シンジが名乗りを上げたところなんて、非常に熱い展開だ。あそこから、あのバッドエンドまでの急落下は流れがへし折れている」
「おおっと、カヲルくんの登場まで全否定ですか。結構な女性ファンを敵に回しますよ、先輩」
「いや、ああした人間型の使徒の出現や、その交流というエピソードを否定しているわけじゃないよ。設定上、非常に重要な示唆だしね」
と、一応弁解してから、先輩は説明を続けた。
「ただ、エンタメとしてみたとき、あそこで立ち向かう展開をしておきながら、テレビ版最終回、そして映画へと繋がる流れが物語的に繋がらないと、そう思うんだよ」
「あー。さあここから、ってところから救いのないえげつない話ばっかりですもんね……」
「流れが繋がらず、多くの設定が未解決のままだったからこそ話題を呼んだのだろうし、深く論考されたという一面もあるだろう。衝撃的なエンディングが人々に与えたインパクトは大きいはずだ。テレビ版の最終回を観たことがあるが、本当に意味不明だしな。そのもやもやを抱えたまま、あの映画をスクリーンで観た観客の衝撃は、ちょっと想像を絶するよ」
だけど、と先輩は顔をしかめた。
「それはエンタメ的な楽しみじゃない」
「確かに、観て楽しんで、面白かったねって友達と話せるようなエンディングじゃないですよね」
「アレを観た後にどんな会話ができるんだろうな。無言で別れるしかなさそうだが」
恋人同士や家族団欒で観ちゃったなら、最悪である。
彼氏が「エヴァ」にハマってて、付き合いで観ちゃった彼女さんなんてのも当時いたんだろうなあ。
……ああ、なるほどね。
「なるほど。いくら作品としての質が高くても、エヴァの古い方の映画を友達と一緒に気軽に観に行きたいとは思いませんもんね。それはエンタメ的じゃないと」
「そうそう。その感じからわかってもらえると思うが、そう易々と消費できないのがバッドエンドだ。自分の中で消化するのにも時間がかかるし、人にも簡単には勧めづらい。もの悲しい終わりの方が物語の質は高まるし、印象も深くなる。だが、エンタメとしての機能を失ったなら、それはエンタメとしてよろしくないだろう」
前にも話したが、と先輩は前置きをした。
「『GS』や『エヴァ』は特に二次創作が盛んだった作品でもある。それだけインパクトを残したとも言えるが、これはこうも言えるんじゃないかと思うんだ。結末を受け入れられなかった人が多かった作品だ、とね」
「もやもやした気持ちが残ったから、自分で理想的な結末を描いてやろうと。そういう創作意欲を駆り立てられたってわけですか」
「おや、よくわかってるじゃないか」
と先輩は感心顔。おお、なんとなく言っただけなんだけど、正解だったらしい。
「多くの場合、二次創作の発端はそういう『もっとどうにかならなかったのか』というやりきれなさからくる。もちろん、好きな作品の世界を書いてみたい、というのもあるだろうが、あの二作品からもわかるように、納得のいかないエンドであればあるほどリアクションの数は増える」
「逆に、綺麗な大団円ならそこまで二次創作は出てこないんですね」
「それで完結してるからな。エンタメにおける不幸や苦労は、最後のハッピーエンドに向かう道程なんだ。どん底は這い上がるためにある。だからある意味、バッドエンドというのは完結していないと言ってもいい」
「うおう、極端ですね」
「まあ、確かに極論だけどな」
先輩は苦笑いしてから、一つ付け加えた。
「そうそう、君はゲームをするんだったよな」
「それなりには触れてますよ」
「なら、ドラクエを題材にして描かれた『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』というマンガがあるのを知ってるか?」
首を横に振るわたし。いや、知らないっす。っていうか、マンガの話でどうしてゲーム歴を訊いたんだ、先輩。
「おや、知らないのか。なら、軽く触れるだけにしようか。この作品は結末で、主人公が敵の最後の攻撃を防ぐために行方不明になってしまう。自分が犠牲になって仲間たちを守った展開だな」
「なかなかのバッドエンドですねー」
「まあな。物語的にはそこまでで綺麗に納まっているんだ。その上でこういう終わり方をしたのは、実は第二部の構想があったかららしい」
「あ、なるほど。次への引きなんですね」
「そう、だから、この場合は完結していないと見てもいいだろう。先ほどの論理がすっぽり当てはまる例だな」
ふむふむ。なるほど。
どん底展開は次への伏線ってわけか。だから、バッドエンドは完結していないとも取れると。
実際、次への引きってたいがいそうだしね。倍返しさんもいきなりの左遷で終わってたし。そこは納得かな。
「主人公が行方不明になって、エンディングでひょっこり現れるハッピーエンドから、このハッピーな結末を抜く。すると、これは次回作への振りになるわけだ。次作を臭わせる効果がある」
「その論調で言えば、確かにバッドエンドはあくまで次への振りに過ぎないわけですね。なるほど」
「もちろん、いくらでも別のパターンがあるだろうけどね。でも、これがエンタメの基本じゃないかな、と思うよ」
いくつかの板書を済ませた先輩が、話をとりまとめた。
「人を楽しませることを主題にしたエンタメにおいて、バッドエンドは是か非か。これは一考していいテーマだと思う。個人的にはナシだと思うが、まあ、これは個人個人で意見が異なるだろう」
「先輩いわくだと、エンドは流れに沿うんですよね? ということは、結局これも物語を書く前に考えなきゃダメなテーマっぽいですね」
「あ、そうだな。最終的にどういう結末に到るかは考えておかないと、流れを作りようがないか」
と感心した風に先輩はうなずいたのだった。
3.
さて、と先輩は一区切りを付けた。
「これでだいたい話したい内容は終わりなんだ」
「およ。もう終わりでしたか」
一区切りどころか、終わっちゃったらしい。
「終わらせ方を重視する人なら、もっといろいろ言いたいことはあると思うよ。書店のポップには『衝撃のラストが待っている!』だとか、その類は多いし、一般的にはそういう人の方が多いとは思う」
「ただ、先輩はあまり関心がないと」
「そうなんだよ。綺麗に終わってくれればそれ以上は文句の付けようがない。まあ、そもそも、ネット小説が主題なんだから――」
「あ、先輩。その後は言わなくてもわかりますよ」
わたしは人差し指を振ってみせる。
目を瞬かせた先輩は、苦笑してうなずいた。
「まあ、そうか。わかるよな」
「ネット小説ですしね」
わたしがうなずくと、先輩は「そうそう」ともう一度うなずいた。
そうだよね。うん、まあ、ネット小説だしね。
わたしだって仮にもネット小説読者なんだから、わかるよ。うん。そこは言わぬが花にしておこうじゃないか。
先輩は板書を消しながら尋ねてきた。
「締まらない終わりで悪いが、だいたいこんなところだ。君は何か、気になったところや疑問点はあるか?」
「そうですねー」
うーんと考えてみる。
わたしもわかるんだよね。先輩の言う、綺麗に終わればそれで良いってのは。
っていうか、合唱曲ってたいがい終わりは綺麗な三和音(ドミソと考えてくれればだいたい合ってる)で終わるし。フォルテで「アー」と終わる曲がどれだけあるかって話ですよ。「アーメン」で終わる曲はごまんとあるわけですよ。あるいはフェイドアウト(音楽的に言うと smorzand)しちゃったりするんですよ。
先輩の着メロみたいに、「ギョエー」「キャー」な男女の断末魔の叫びから「イヨォーッ!」「ホッ! ハッ!」「ドン!」なんて合唱団の掛け声+和太鼓で終わる曲なんてそうそうないんですよ。
正統派の物語であればあるほど、納まるべきところに納まるし、それで読者は満足するんだよね。それこそ、先輩の言うように、流れに沿ったエンドマークってわけだよ。
「いやあ、あんまり思いつかないですね」
「おや、そうなのか。珍しいな」
たははと笑うわたし。
「先輩の話をずっと聞いてますからね。たぶん、先輩の論調に慣れちゃっったんですよ」
「なるほどね。それは、なんというかな」
と先輩はちょっと考えてから、少しはにかんだ。
「ちゃんと聞いてくれていてありがとう、ってところかな」
わたしによるネタ・元ネタ解説
※1
言うまでもないかもしれないが、「エヴァ」の話である。
いまだにあの第十二使徒レリエルの存在が理解できない。つまり、どういうことなの……?
※2
そういうアスキーアートがある。ムーミンのニョロニョロみたいなアレである。
あ、違ったか。あれはオバケのQ太郎だったか。わたしってば勘違いさんだ。
※3
何度か話題に出ているが、「GS美神 極楽大作戦!!」の中の、最大のエピソードのことである。
あんまりにも長大な物語だし、フェルマーのメモを倣ってこうしておこうか。説明するには余白が足りない。
※4
「半沢直樹」というTBSで放送されていたドラマのことである。
わたし、池井戸潤さんの原作は読んでないから、ドラマの方のことを言ってるんだけど、先輩は本持ってないのかなあ。読んでみたいんだけど。
※5
「GS」のエピソード「スリーピング・ビューティ!!」は幽霊だったおキヌちゃんが復活するまでの特に重要なエピソードである。
壮大な展開と、三人の関係が大きく揺れ動くエモーショナルな展開は、最終回(候補)にふさわしい内容だろう。
わたし、最後のところで、(復活したことで記憶を失った)おキヌちゃんに声がかけられなかった横島がすっごく素敵に思えたんだ。
おかしいよね、あんな最低なセクハラ野郎に泣かされるなんてね。わたしもガソリンが目に沁みちゃったみたいだ。




