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10.視点変更

【文字数】

 15000字ほど


【作者コメント】

 今回は前回を引き継いでの話となります。

 物語的にも話者が変わっていますし、その辺の経緯も含めて先に前回を読むことをお勧めします。


【目次】

 0.承前

 1.視点変更に関する3つの注意点

 2.では、そうすればいいのか、を考えた話

 3.締めくくり、あるいはオチ


0.


 わたしはほんの少し前まで、それなりに大きな規模の団体(合唱部)で指揮をしていた。

 ここで言う大規模というのは、部活におけるそれってことでなんとなく想像が付くかもしれない。が、一応、コンクールを基準にして説明しておく。

 某新聞社が主催している全日本合唱コンクールでは人数によりA、Bの二つの部門がある。正確にはあったなんだけど(最近規定が変わったんだよね)、前者が三十二名以下、後者は三十三名以上である。三十二名以下、混成四部合唱で一パート八名以下が少数精鋭タイプの室内合唱団やヴォーカルアンサンブルグループに分類されるわけだ。

 ひるがえって、うちの部活は、三年の先輩方が引退しても例年Bグループの最低人数を大きく上回っている。先輩方も参加する年度末の定期演奏会では百人近い生徒が参加するのだから、うちの部活の規模が知れるところだろう。あるいは、うちのマンモス校っぷりが知れる、と言ってもいいかもしれないけどね。

 そんな部活で、昨年度の定期演奏会でもワンステージ振らせていただいたわたしだ。百人クラスの部員の前でも怖じ気付くことなく話をして、指導した。わたしは、まあ、少なからず「自分は合唱を知っている」という自信があったから。それは過信だったかもだけど、そのおかげで堂々と指揮できたのだから悪くはあるまい。

 先輩方にもわたしの指導を消化して演奏に活かせるだけの実力があって、わたしのつたない指揮にもしっかり付いてきてくれたってのも、自信につながっていたよ。

 だからこそ今年度は上手くいかないことに焦ったこともあったのだけど、閑話休題。

 そんな、それなりに強心臓のつもりのわたしが今日はいつになく緊張していた。前日、夜眠れないとか、マジか。自分で自分にビックリしたよ。そんなヤワなキャラじゃないじゃん、わたし。

 午前中の授業はフラフラで、やっとのことで黒板を書き写していた程度だった。でも、うつらうつらするのはプライドに障るんだよね。趣味のために授業をおろそかにするなんて、オタクの風上にもおけないし。必死に耐えたよ。水筒に入れてきたアイスコーヒーをがぶ飲みしてるせいで、胃がむかむかする。

 昼休みは、もう食欲もなくてバタンキュウ。いつも昼を共にしている友人の誘いを謝絶して、ひたすら眠っていた。

 コンディション最悪だよなあ。物事をするとき、体調というのはとても大事な要素だ。マズいことはわかってるけど、もうどうしようもない。しかも午前中、体育あったんだよ、先週と同じでプールがさ。危うく、水中に吐瀉物的な何かを放り込んで着色するところだったよ。まあ、朝から何も食えてないから、出るのは胃液だけだろうけどね。口の中はたいそう酸っぱくなりました。

 終わったら帰ろう、帰ったら寝よう……放課後まで耐えきったわたしの中には、もうそんな気持ちしか残ってなかった。

 司書さんにまで心配されて(別に先日のことで先輩と揉めたとかじゃないんで、いや、ホント、もう話す元気ないんで勘弁してください……と逃げたわたし)、いつものように部屋をガチャリと開ける。ぬるい空気。窓を開ければ、暑気とともにすっと風が吹き入ってきた。

 ふう、とため息一つ。わたしは顔をパンと叩いて気合いを入れた。

 さっさと終わらせようなんてダラケた考えは捨てなきゃ。そんな気の抜けた状態で、先輩を満足させられるような話ができるはずない。わたしも先輩と同じで仕事をきっちりしたいタチだし、ホストはゲストを満足させてなんぼだとも思う。

 それに、正直、せっかくだからさ。良い話をして先輩に誉められたいって気持ちも、あるんだよね。

 準備はしてきた。眠れないもんだから、時間はあったしね。きちんと組み立てた内容のとおりに進めれば問題ない。自信を持てばいい。


 ところで、気合いを入れるときはこの曲を聴く、というの、あるよね。たぶん、誰にでもそういう曲ってあると思うんだけど(※1)、わたしにもある。ヘンデルの「Dixit Dominus(主は言われた)」がそれである。

 うん、まあ、あんまり他の人には頷いてもらえない曲かもしれない。合唱部員ですら微妙だ。

 でも、この曲、超熱い曲なんだ。持ち味の直球だけで四番打者に対決するかのような、そんなまさにどストレートな曲である。洗練されているのに、なんだろうか、気持ちが前面に出たような曲ばかり。荒削りであってもいいから演奏には熱さがほしい、絶対にさらっとは歌いこなしてほしくないような、そんな曲である。

 先輩はまだ来ていない。誰もいない、聴いちゃうならいまのうちだ。

 まあ、全八曲三十分を聴ききるまでには来るだろうけどさ、それまでに気分は盛り上げられるだろう。先輩、ここは空気を読んで、せめて一曲目を聞き終えるまでは待ってくださいよ。

 目をつむれば、廊下を歩く足音も、話し声も、かすかに聞こえる歌声や楽器の音も、窓の外から入る蝉の声ですらも遠い。せき立てるような弦のメロディ。叩きつけるような「Dixit」の叫び。カナル型のイヤホンがわたしを音楽の世界へ誘い込む。深く内に入り込む。

 たゆたうような空間の中にわたしはいた。


 ……ふと気がつくと、終曲も終盤に差し掛かっていた。

 聴いていたような、眠ってしまっていたかのような不思議な感覚。疲れてるとき、電車で座れちゃったりすると何駅かそういう時間があるなあ。

 曲を締める「Amen!」のコーラスは、通奏低音の豊かな響きとともに力強く歌い上げられる。うんうん、やっぱりこの曲はこうでないと。ただただ声を聴かせてほしい。技巧は二の次だ。

 ほう、と熱いため息を吐いて、わたしはイヤホンを外した。

 蝉はうるさいし、クラリネットはちょうど音外すし、図書室に来る生徒も増えてきたのか外も騒がしいし。部屋の中だって、本のページをめくるような音がする。わたし、学校にいるんだな、と実感が戻ってくる。

 わたしはんーと伸びをすると、イヤホンを専用のケースに直して鞄に入れた。入れ替えでメモ帳を取り出す。今日の資料はこの中にまとめてあるんだ。全部手書きしたんだ。

 考えをまとめるときは手書きの方がイケるんだよなあ。デジタル全盛期の世代としちゃあ逆行も甚だしいとは思うけど、この癖だけは直らん。日記は手で書くと、文字がいちいち縦にきっちりしないからムカつくし、デジタルでぜんぜん構わないんだけどね。

 そんなとりとめのない思考に歯止めをかけたのは、ポンと軽い音。


「始めるか?」


 ビクっとした。本気でビビった。

 あるよね、思いがけないタイミングで声かけられて、やたらビックリするとき。

 振り返ると、端の席で先輩がこちらを見ていた。手には本。なるほど、さっきの音は本を閉じた音か。


「……来ていたなら、一声かけてくださいよ」

「君、集中していたようだから。遠慮しておいた」

「いや、先輩が来てから始めようと思ってましたし、曲の途中で止めてくれても良かったのに」


 いつもとは真逆の位置。先輩が端で、わたしが真ん中。そんな不慣れな位置関係でも、わたしの口はするすると言葉を紡ぐ。意識が遊離しているような、浮ついた感じでもない。

 こりゃ絶好調だ。期せずして、わたしはいい感じにシエスタ(昼寝)を取れたのかもしれない。


「では、もう始めちゃってもいいですか?」

「どうぞ」


 文庫本を仕舞った先輩は、片手を挙げて促した。少しだけ笑って。

 楽しみを待ちかねたかのような、あるいはどんな質問をして困らせてやろうかと思っているかのような、いたずらっぽい小さな男の子の笑顔のようだった。




1.


 まず、わたしは先日の内容に触れないといけない。


「先輩。まずは前座ですが、昨日は神の視点の話をしましたよね」

「おう、そうだな」

「わたし、ちょっと考えてみたんですけど、神の視点は必ずしも否定されるものじゃないと思うんです」


 先輩の頷きを見てから、わたしは立ち上がった。板書をするためだ。

 ホワイトボードに「神の視点は不要なのか?」と書く。ううん、板書はしなれないだけあって、字が汚くなるし、時間もかかっちゃう。先輩はいつもさらさら書いてるけど、これ、結構大変なんだな。


「そもそも、物語って一視点でないといけないって決まったものじゃないはずです。たとえセオリーがそうだとしても、本来、書き方なんて自由なもののはずでしょう?」

「そうだな」


 どう書けばいいか、そういう約束事は存在するに違いない。先輩の言うように、経験豊かな作家が強く非難する手法ならば、それにはそれ相応の理由があると見て間違いないだろう。それも小説講座においてなのだ、単に好き嫌いで言ってるとはわたしも思わない。

 しかし、さらに立ち返って考えれば、誰がどう書こうが自由なはずだ。物語を伝える手段はそれぞれがそれぞれで好きなようにすればいい。


「わたしたちは自分の視点でしか物事を見ることができません。しかし、物語は違います。相手の気持ちを知ることができるし、主人公が体験できないことも体験できます。そこに物語の肝というか、なんというかな……『自分が体験したこと以上の何か』を体験できるわけです。神の視点はこの楽しみを提供する上で、決して劣ったツールではないと思います」

「ふむ。君はそう思うのか」

「実際の作品においてはどうか、ということはおいておいて、原則論としてはそう思いました」

「そうか」


 先輩は軽くうなずきを繰り返した。

 納得してくれたかはわからないけど、わたしの言ってることはわかってもらえたと思う。なるほど、先輩はこうやって相手の表情を見ながら、いつも話をしていたんだな。

 わたしは心の中でうなずいて、話を進めた。


「神の視点が悪い点は、結局、その物語が『誰かの想像の産物』でしかないことを強調してしまう可能性がある点にあります。あまりにすべての設定が見えすぎる、と言いますか。いわば……えっと、遊園地のアトラクションで出てきたマネキンが『僕たちはこの幽霊屋敷にとりついている幽霊……って設定さ』と言ってしまうような」


 カンペをちら見しながら例えを出したわたしは、先輩の反応をうかがった。ちょっと読めないな。なんだろ、わかりづらかったかな。先輩、こういうときはポーカーフェイスやめましょうよ。

 わたしが再び口を開こうとしたそのとき、先輩が先に口を開いた。


「しかし、そもそも物語は『誰かの想像の産物』なわけだが」

「それは……そうです。でも、読者は何も作家の妄想を知りたいんじゃないんです。物語が読みたいんですよ。物語は妄想とイコールではないはずです」

「ふむ、君はこう言いたいのかな? 加工品が望ましいと」

「加工品……うーん、そうですね、加工品というか、調理品が食べたいんですよ。妄想って、もう、そのまんまの素材じゃないですか」

「神の視点も素材のままってことか?」

「う、うーん……」


 ぐう、そこまでツッコみますか。まだ前座だってのに。

 先輩、今日は意地悪だ。あれ、これってもしかして、いつものわたしがこんな感じってことか? こ、こんなに意地悪だっけか?

 ……いやいや、そうじゃない。反省してる場合じゃないよね。えっと、神の視点は素材のままではないよね。手法としては難しいみたいだけど、たとえば出来事を並べただけの年表とは違って、きちんと物語としての奥行きは作られてるはずだ。

 この場合は妄想が生素材で、物語は調理品。なら、神の視点はなんなんだろう?


「……神の視点は、素材のままではないんですよ。ただ、そうですね、コース料理には緩急がありますし、給食の献立だって主菜や副菜がある。でも、神の視点はそのどれもが中心になるような、つまり肉料理や主菜のようなものばかりで、どこが中心かわからなくなるというか……」

「バランスが取れてないと?」

「そう、ですね。はい。バランスを取るために苦労がいる、難しい手法ではないかと。わたしもそう思います。ただ、扱い方次第では、十分に機能する余地はあると思います」


 ちょっと先輩は苦笑した。


「うん、そうか。だいたい同意見だよ」

「……あ」


 そういえば先輩、言ってたな、「個人的には、しょせん手法は使い方次第だと思う」とかなんとか。い、いまさら思い出すなよう。やっぱ、深夜に考えた話って穴だらけだ。


「えーと……」

「それで? これは前座なんだよな」

「はい、そうです。えっと、この神の視点をより整理した形が、視点変更になると思います。どの視点をどこに配置するか、スポットの当て方を調整することで物語に流れを作る。それこそコース料理のように、それぞれに役割を与えるわけです。神の視点の欠点を補って、その特徴を活かせるものじゃないかなと、昨日考えてて思いました」

「そうだな」


 先輩は頷いてくれる。ちょっと安心するな。同意してくれるだけで、だいぶ精神的に楽だ。思った以上に一対一は難しいんだな。


「この両者の関係から、視点変更の問題点を整理してみました」


 さあ、ここからが本番だ。

 視点変更の利点は、神の視点のそれと重なるところがある。難しい神の視点を実際に運用できる形にしたものが視点変更だと言い換えてもいい。

 なら、視点変更には神の視点と同じ性質の問題があるはずで、それと同時にこの方法を採ることで解決できた問題もあるはずだ。


「わたしが思うに、視点変更をする際に気をつけなきゃいけないことが三つあります」


 先輩のうなずきを横目に、わたしは再び板書する。

 「視点変更の問題」。その下に「構成力」。


「一つ目は『構成力』の問題。この問題は、先輩が昨日話していたものと似ていますが、別物です」

「ふむ」

「神の視点における構成力の問題は物語全体のおいてのものですが、今回話す問題はもう少し低いレベルでのものです」

「具体的に聞かせてもらってもいいかな」

「はい」


 わたしはうなずく。大丈夫、その辺はちゃんと用意してきている。


「神の視点は誰にフォーカスするか、物語のある部分でどの人物や事柄を描くか、というところが問題になります。伏線のつもりでとある人物の視点が伏せられていたり、大事な事柄が伏せられていた場合、その手際が悪ければ最後のオチに『卑怯だ』とケチをつけられても文句は言えません」

「十戒は守れ、ってことだな」


 十戒? ああ、ミステリーのか。(※2)


「そうですね。これはどの小説においてもそうですが、特に神の視点では誰かの視点であるという制限がない以上、卑怯に思われる割合は増えるはずです。だって、作者の都合で書かなかった以外に理由が見あたりませんからね」

「なるほどね」

「では、視点変更を伴う多視点の物語はどうかというと」


 メモを見返しながら、慎重にわたしは話を進める。


「この場合、そもそも誰かの視点であるという制限があるわけです。このシーンではAさんの、次のシーンではB君の、とそういう視点がある。である以上、神の視点ほどには卑怯と言われないでしょう。もちろん、必要な情報は提示しないといけませんけどね」

「質が違うんだな。うん、わかるよ」

「はい。ただ、多視点では、場面場面で視点を誰に置くかって、そこで構成力を問われます。誰かの視点というだけでなくて、誰かの過去の回想ということも考えられますし。どれだけわかりやすい構成を組み立てられるか、その点で実力が問われることでしょう」

「確かに、似ているようで異なる問題だな」


 うんうんと、先輩は納得したようにうなずいた。

 まず一つ目はわかってもらえたようだな。流れは悪くない。そのまま次に行こう。

 板書で「同じシーンは扱うな」。


「次に二つ目。いま、多視点は誰に視点を置くか、という問題があると言いましたが、これは同時にどのシーンを当てるか、という問題をも生み出します」

「うん?」

「一つ目と同じようなことを言ってるんですけど、板書したとおり、一つのシーンを他の視点で描き直すってやり方がネット小説にはありますよね?」

「ああ、その問題か」


 先輩のうなずきに、わたしもうなずきを返す。即座に気づくとはさすが先輩。そうです、その問題です。


「物語の時間経過を無視して、たとえば、二人の出会いのシーンを主人公視点で描いたあと、その次の更新でヒロイン目線で描くような二度手間は必要じゃあないんですよね。それこそ、ヒロインの様子をきちんと主人公の視点で描けばいい話です」

「昨日の話で言えば、むしろ描かなきゃならないよな」

「そうですね。一人称で物語を描く場合、その腕前が求められてるわけですから」


 昨日先輩が言っていた「side」の手法の問題点と同じである。同じシーンを視点を変更して、なんてしていると物語が煩雑になってしまう。

 これも本質的には「神の視点」と同じ意識の問題で、なんでもかんでも説明しようとしすぎてしまっているのだ。

 でも、まあ、わかるけどね。あれもこれもちゃんと説明しなきゃ、ってなると長々と、どうでもいい枝葉末節が増えてしまうのだ。指揮者として経験済みだし。そういうの、本読みにはありがちな話だと思う。


「繰り返すと、どうしても物語のテンポがモタります」

「モタる? モタツくってことか?」

「……あ、これ音楽用語でしたっけ。はい、えっと、テンポがモタるって、演奏が指揮者の指示しているテンポより遅くなってしまうことを言うんですよ」

「ああ、なるほど。確か速くなるのは走るって言うんだよな」

「あ、そっちは知ってるんですね」


 先輩、たまーに音楽知識があったりするんだけど、なんとも謎である。モタるを知らないで走るを知ってるって、どういうことなの……?


「ほら、続き続き」

「あ、はい。物語がスムーズに進まないと、読者はすっきり理解することができないんですよね。知ってるシーンをもう一度読まされても、読んだ感じしませんし。特にネット小説は更新が小刻みだから、なおさらマズいんです」

「わかるわかる。同じ台詞を読まなきゃならないときって、面倒くさいよな」

「同感です。後々になって『あのときはこうだった』と回想する手法はアリでしょうけど、同じシーンを連続で更新する、というのはかなりの悪手でしょう」


 この項目は、実際的な内容だからこれぐらいでいいだろう。

 さて、最後の三つ目。三つ目は「カタルシス」。


「で、三つ目は、『カタルシス』の問題です」

「一応訊いておくが、君が言うカタルシスはどんな意味なんだ?」

「なんと言うんでしょうか、物語が解放される感じです。鬱々とした展開から一変してハッピーエンドへと収束していく。推理小説で、事件が展開されていく前半から、推理によってそれがすべて一つの物語に集約される楽しみとも言い換えられますね」


 この二つは、まあ実際は全然違うんだけど、わたしの中でカタルシスという点では同じだ。物語がある瞬間に変貌し、一つのゴールへと向かっていく。解決される楽しみと言い換えてもいい。

 先輩はあごを少しなでて、ちょっと思案してからうなずいた。


「そうか。わかった。続きをどうぞ」

「はい。視点変更は、このカタルシスを生み出すために大きな役割を果たすものと思います。終盤の重要な場面で、いままで明らかでなかった登場人物の心理がわかり、伏線が回収される。物語の終結に従って、すべてが整理される楽しみです」

「うん、確かにそれはあるな」

「頻繁な視点変更は、このカタルシスを削ぐ可能性があります。見えないからこそ、見えたときの楽しみがある。二時間のサスペンスで、一時間が経ったくらいでもう犯人の動機が見えてちゃ、最後の断崖絶壁での告白が形無しじゃないですか」

「そうだな。チラリズムの精神だな」

「違います」


 即座にツッコんだわたしだったが、ふと疑問が湧く。あれれ、ひょっとしてあってるのか、これ?

 先輩も不服げに返してくる。


「間違っちゃいないと思うがな。伏線をチラツかせて釣っておいて、物語に引き込む。実際に見えちゃ台無しって、そういう話」

「ええと……そうですね、ごめんなさい、あってます。あってますけど、品がないです」


 わたしも誤りを認めますよ。あってるかもしれません。でも、その表現はいただけない。

 先輩は肩をすくめ、話を促した。


「で、ですね、最初に言ったように、必要なときに重要人物の視点を導入するのは良い使い方なんですよ。そのための視点変更ですから。ただ、そうした計算ができてない視点変更は、せっかく引いていた伏線をダメにしてしまう」

「カタルシスを生み出すために、視点変更はここぞというときに使えと、そういうわけか」

「そうですね」


 わたしは先輩のように一本指を立てて、振って見せた。


「視点変更には以上の三つの焦点があり、この点に留意して使用することが望ましいとわたしは考えます」


 ふう……。

 なんとか、なんとか予定通り話しきれたよ。わたしは心の中で汗を拭った。やっぱり、睡眠不足はきつかった。

 先輩もうなずいてくれている。ちょっと意地悪な質問もしてきたけど、おおむね同意してくれたみたいだ。話もわかりやすかったんじゃないかな、と密かに自画自賛するわたし。


「そうか。だいたい飲み込めたよ」


 先輩のうなずきに、わたしもうなずきを返した。

 ほとんど、反射的な反応だった。わたしの頭には、空白があった。

 だから、一瞬、飲み込めなかった。


「それで、どうしたらいいと思うんだ?」


 先輩のその問いが。




2.


 頭が、白くなった。

 ほとんど無意識に、返事だけが口から突いて出た。


「えっと……?」

「君が、視点変更を分析してきてくれたのはわかった。問題点はわかったよ。さて、それで、どうしたらいいと思う?」


 先輩はいつもと違い、姿勢が良い。背筋を伸ばし、ピシリとした空気をまとっている。

 その姿勢のまま、まっすぐにこちらを見て先輩は言葉を重ねる。その様に、わたしは少しだけ怯みを覚えた。いまさらだ。でも、いままではそんな先輩の様子でさえ、見る余裕がなかったのだ。

 話が終わったから見る余裕ができた、はずだった。


「問題点を読み解くのは、論点整理のようなものだな。結論は、そこから一歩踏み込んで、『どうすべき』かを問わないといけない」

「そう、ですね……」


 そうだ。先輩はいつでも対案を用意してきたし、わたしもそれを当たり前に思って、要求してきたじゃないか。

 わたしは青ざめた。考えてなかった。いや、考えても、考えついたかどうか。わたしは書き手じゃない、一介の読者に過ぎない。問題点は、読み解けなくもない。でも、どうやって書くかなんて、すんなり思いつくものじゃないよ、そんなの。

 どうしよう。考えてきたことを話すのは、できたけど。どうしたらいいんだろ……どうしたら。


「…………」


 先輩を見ると、いつもと違う位置で、いつもと違った姿勢でこちらを見えている。先輩が聞き手で、わたしが話し手。立場も違う。その違和感がどっと重たくのしかかってきた。

 わたしはただ、混乱して、メモ帳を見つめ直す。その中に答えはない。

 どうしよう。思いつかないよ。

 それは決して長い時間ではないはずだけど、無言の時間がただただ重たくて。わたしは、みぞおちに固い物を押しつけられているかのような不快に襲われていた。


「……そうだな」


 はっと顔を上げると、既視感が襲う。

 一瞬わからなかったけど、そうだ、先輩、いつもと同じように姿勢を崩して片肘突いてるんだ。その姿に、心のどこかから強ばりが抜ける。


「もう一度整理し直してみようか」

「は、はい」

「まず、視点変更の問題点を読み上げてみてくれるかな」


 促すように、ちょっとだけ笑う先輩。

 わたしはそれに釣られて、細い声で三つを読み上げた。


「『構成力』の問題と、『シーンの重複』の問題、『カタルシス』の問題です」

「そうだな、君は意識していないかもしれないが、この問題は一つにまとめられなくもない」

「一つに、ですか?」


 少し、頭に血が回り始めた。三つの問題は、まとめられる?


「構成力の問題はそのままだ。どのシーンに誰の視点を当てるか、その構成力が問われるわけだな?」

「はい、そうです」

「では、シーンの重複についてはどうか。同じシーンを、視点を変えて何度も描写するのはテンポが悪い、そうだな?」

「はい」

「それはつまり『どのシーンに誰の視点を当てるか』ということに他ならない。構成力の問題だ」

「……あっ」


 すっと先輩は結論を差し出した。その通りである。慌ててメモ帳を見返したけど、そこに書かれた文字は変わらない。当たり前だ。しかし、わたしには、先ほどまでとは同じように見えなかった。

 そうだよ、どのシーンを当てるか構成するんだ、それは当然同じシーンを当てないということも含まれる。いわば、二つ目は、一つ目のおまけみたいなものに過ぎないじゃないか。

 わたし自身、同じようなものと言ったはずだ。でも、同じものと思ってなかった。別物扱いしていた。


「さらに言えば、カタルシスの問題についてもそうだ。『どのシーンに誰の視点を当てるか』構成することで、物語に開放感を設けられる。これも構成の問題だ」

「……そうですね」


 ぐうの音も出ない。

 そりゃそうだ。カタルシスが生まれるように「構成」するのだから、これも一つ目のおまけみたいなものだ。


「だから、問題は構成力に集約されると思うが、あってるかな」

「はい……すいません、考え不足でした」


 頭が回り始めると、わたしはもうがっくりときた。さっきのような、重たさはない。ないけど、なんか、どっと疲れてきた。おかしいな、昨日は全然気づかなかったよ。

 なぜだろうか。答えは簡単だ――夜更かしして考えたようなものだったから、である。


「責めてるんじゃないよ」


 わたしが顔を上げると、先輩は苦笑いをしていた。


「元々、無理を言ったなとは思ってるよ。一日で考えてこいだなんて、ひどいことを頼んだものだ」

「いえ、でも、引き受けたのはわたしですし」

「うん、よく考えてきてくれたものだよ。それだけに、これで終わらすのは惜しいな。どうすればいいか、までいきたいところだ」


 そ、そう言われましても。

 わたしの戸惑いを察してか、先輩はもう一度、意見を繰り返した。


「問題は構成力に集約される。どう構成するかが問題なんだ。それをふまえて、君は思いつくところはないかな?」

「……構成力がなければ視点変更はやめろ、ですかね」

「うん。それも一つの手だろう。大沢さんが一人称一視点から始めさせたようにね」


 先輩がうなずくと、ちょっと、詰まっていた息が吸いやすくなったような気がする。

 緊張がほぐれてきた。頭が本格的に回り始めてる。


「ただ、それではあまりに身も蓋もない。難しいからやるな、じゃあちょっとね。視点変更を主題にした意味がない。そうだな、他に思いつくことはないか?」

「そうですね。うーん」


 考えられるようになってきた。

 どう構成するかが問題であり、たとえば、そのために重複したシーン描写はよろしくないわけだ。だから……。


「たとえば、シーンを重複されるのではなく、一連の時間経過の中で描写するのはどうでしょうか。『星界の紋章』の三巻で、ジントとラフィールが互いに気持ちを言い出せない、えっと、ラフィールを置いてジントが街に出ようとするシーンなんですけど」(※3)

「ああ、良い例を出すな。地上世界で地上出身のジントが頑張って、それが宇宙では主導してきたラフィールには納得がいかなくて、と結果として不和が生まれ口論になる次の展開へと繋がる。それぞれのシーンが物語を進展させている、良い視点変更の例だよな」

「あ、はい、そうですね」


 思いつきで言ったんだけど、一発で理解する先輩はさすがである。星界好きだもんなあ。

 なら、カタルシスでも例はないだろうか。わたしの頭は、いま、フル稼働だ。何か出てくるはず。出てくるはず……はず……。


「……えっと、カタルシスの例はちょっと思いつかないんですけど、これもまた解決はシンプルではないでしょうか。決定的なシーン、起承転結で言えば転や結で提示する。そこまで隠しておいて、ネタばらしというか、伏線消化の形で行うと効果的ではないかと」

「そうだな。前にも言ったが、頻繁な視点変更は物語の焦点がぼやける。それよりは、誰かの視点に固定しておいて、必要なところになって切り替えることで効果を狙えるだろう」


 先輩はいつものように一つ指を示す。


「視点変更とは違うが、カタルシスという点で一つ示せる例がある。君は読んでないからあんまり意味がないんだけど、『東京喰種』にそんなシーンがあるんだ」

「どんなものなんですか?」

「この作品は、人喰いとそれを狩る警察組織の対決がテーマで、両陣営の話が両輪になってるんだけど、この警察組織の側に真戸呉緒(まどくれお)という序盤の重要人物がいるんだ」

「はい」

「彼は常に手袋をして現場に赴き、人喰いである喰種(グール)を狩っている。この手袋には意味があって、彼の出番が終わる頃にそれは明らかになる。さらに、この一件で示された意味がもう少し先の展開に大きく影響してくる。それとなく示していた材料で一度カタルシスを生み、そのことがさらに先に影響してくることでさらなるカタルシスを生む。そう来たか、と読者に思わせるスマートな実例だよ。秘しているからこそ、カタルシスは生まれるわけだ」

「……先輩、もういい加減、そのマンガ借りた方がいいですよね? 話題に出すぎです」

「結構グロいぞ? バケツいっぱいのちぎれた指とか出てくるぞ?」


 う、うええ。マジですか。それは、ちょっと……うおう、胃液が上がってきたぞ。酸っぱい酸っぱい。

 わたし、あんまりグロいの得意じゃないんだよなあ。物語が良くても、そっちに目がいっちゃって純粋に物語が楽しめないというか。でも、うん、とりあえず借りてみよう。先輩の話を理解するためにも、勉強するつもりで。(※4)


「うん、だいたい出揃ったな。まとめてみてもらえるか?」

「あ、はい。そうですね。まず一つ目は、必要と認められなければ『そもそもしない』」


 あ、板書しなきゃ。えっと、「そもそもしない」。


「次は、『視点変更は同じシーンを描かず、時間経過にあわせて描く』」

「それについて、一つ訊いておきたい」

「はい、なんですか?」

「時間をさかのぼることがあるだろう? たとえば、推理小説で例えてみようか。主人公が様々な証拠から連続殺人事件の犯人を突き止める、しかしそのときにはヒロインが犯人とともにいた。二人の元に急ぐ主人公、そこでシーンが変わり、時間を少しさかのぼって、犯人に呼び出されたヒロインのシーン、という形式だ。これはこの論から逸脱してないか?」

「ああ、ありますね。むしろありがちですね。主人公が間に合うのか、あるいはヒロインが機転を利かせて逃げ出すのか、そんな緊迫の展開ですね」


 金田一少年にはよくある話である。コナン君だと、むしろコナン君の方が蘭姉ちゃんよりひ弱だという点を考えなくてはならない……じゃなかった。

 わたしはちょっと考えてみた。


「時間経過で言えばさかのぼってますので、同一時間帯と言えるかもしれません。でも、シーンが違います。場所が違いますしね。問題は同一のシーンですから、ここでは問題にはなりません」

「時間経過にあわせてはいないんじゃないか?」

「主観時間では別の時間ですよ。同一のシーンでなければ、主人公の時間とヒロインの時間は別物です。物語の時間は流れていると見て構わないと思いますよ」

「なるほどね。良い答えだ」


 少し嬉しそうに先輩は笑った。合格だったのかな。いや、それにしても、いまのわたしは冴えてる。頭がよく回っている。


「で、三つ目は『視点変更の多用は避け、重要な場面で行う』」

「そうだな」


 先輩の頷きを見てから、わたしは結論をとりまとめた。


「三つの問題から引っ張り出したこの三つのポイントを押さえておけば、視点変更において問題は起こらないでしょう。それは言い過ぎかな。起こりづらくなるとわたしは思います」




3.


 先輩がお茶を入れてくれた。いま気づいたけど、ノドからっからである。


「ありがとうございます。そういえば、今日はお茶も飲まずにぶっ続けでしたね」

「悪かったな。気づかなかった」


 謝る先輩に、わたしも頭を下げる。いえいえ。わたしも気がつきませんで。


「お疲れさま。一日で考えてきたとは思えないくらい、しっかりした話だったよ」

「いえ……考え足らずで、すいません、いろいろ詰まっちゃいまして」

「いやいや、そんなことないさ。本当言うと、今日できなくてもまた今度に回そうと思ってたんだよ。急に言ってしまったからね、思いつきで言って悪かったと思ってるよ」

「いえいえ」


 ちょっと疲れちゃったけど、新鮮な体験ではあった。

 改めて考えてみると、わたしは合唱の指揮をしていたとき、下敷きになる知識があった。それは自信に繋がっていて、どんな質問が来たって答えられると思っていたのだ。まあ、実際はどうだったかはさておき、この自信ってやつが重要なのだ。

 それと比べると、ネット小説歴一ヶ月ほどのわたしには知識の面で絶対的な不足がある。自信が持てず、事前準備にかじり付いてしまった。だいぶ頭の固い感じの話になっちゃったんじゃないかな、ああああ、いまさらながら、不安になってきたよ。


「えっと、実際、どうでした? わたしの話」

「論理的に進めようとしていたよな。それは良かったよ。でも、最初から結論ありきで、ちょっとつつくと途端に慌てていたな」

「突貫工事でしたからね……先輩、今日は意地悪でした」


 わたしが恨めしげに言うと、先輩は片手を上げて謝った。


「すまんすまん。もう少しソフトに言いたかったんだが、どうもな。君のようにはいかんようだ」

「わたしのように、ですか?」

「君は少なくとも、聞き手としては優秀だよ。意見をよく受け取ってくれるし、面白いところをつついてくる。見習おうと思ったんだが……あまり上手くいかなかったな」


 頭を掻く先輩をわたしはポカーンと見つめてしまう。

 えっと、え? 誉められてる? 見習ってくれてたってこと?

 うわ、なんか、異様に恥ずかしい。なんだこれ。今日の話、誉めてもらえなかったのに、なんか誉めてもらって、異様に恥ずかしいぞ。


「なに、初めてのことだったと許してもらいたい」

「わ、わたしも初めてだったんで、その、あんまり上手くいってなかったところは許してくださいね」

「お互い様だな」


 いたずらっぽく笑う先輩の顔が、どうも見ていられなくて、わたしは顔を伏せた。

 そうやって、談笑で緊張が解れた体が一つ、仕事をしてくれた。してくれやがったと言っていい。

 ぐううと鳴る腹。


「……聞かなかったことにしようか?」

「いいですよ……」


 蚊の鳴くような声でわたしは返した。

 恥辱選手からのコンビネーションが見事に決まった。ボディへの連発である。わたしのストマックは悲鳴を上げているよ。


「朝から、食欲なくて、あんまり食べられてないんです……」

「……それはまた」


 先輩が呆れたように言う。あ、呆れなくてもいいじゃないですか。本当に緊張したんですもん。


「無理を言ったお詫びに、おごるよ。何か食べたいものはあるか?」

「なにか、重たくないものが食べたいです」


 ラーメン以外でお願いします。




 そんなわけで、わたしと先輩は今日も今日とて街に繰り出したのだった。

 恥ずかしさは結局消えなくて、別れるまでずっと、まともに顔が見られなかったのはここだけの秘密、ということにしておきたい。先輩、気づいたかなあ……気づいてただろうなあ……。


 わたしによるネタ・元ネタ解説。


※1

 先輩によると、サッカー選手には試合前に音楽で気分を盛り上げる人が結構いるらしい。

 スタジアム入りする選手がごついヘッドホンを付けているのは、よく見かける光景なのだとか。

 どこぞの日本代表キャプテンにいたっては、移動用のバスが到着する瞬間にあわせて曲が終わるように時間調整して聴いているらしい。それはちょっと神経質すぎやしないだろうか。


※2

 わたしが知る十戒は、「古典部」シリーズの二巻「愚者のエンドロール」で解説されているそれである。

 ミステリーの作者が守るべきマナーみたいなものらしい。

 要はあれって、ミステリーは読者に対してフェアでなければならない、ってことなんだよね?


※3

 敵に追われて、敵占領下の惑星に不時着した二人の話である。

 宇宙空間では主導権を握っていたラフィールとお荷物だったジントの立場が逆転し、地上世界出身のジントが主導することにラフィールは反発を覚え……というシーンだが、視点変更によりそれぞれの心理がうまく描かれている。

 原作ファンならおなじみのシーンだろう。先輩いわく、アニメ版では次回予告にも使われたのだとか。半径うんちゃら光年の範囲に、ってアレである。


※4

 後日の話だけど、わたし、「東京喰種」は七巻でギブアップでした。一応、区切りの八巻までは目を通したけど……。

 た、耐えた方だよ? ここまではグロにも耐えたんだよ……?

 覚醒したカネキ君は格好良かったけどさ……物語もメリハリあって面白かったし……でも、あの拷問シーンのバケツは夢に見たよ。ううう。


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