卒業式
今日はいよいよ卒業式だ。
でもわたしは卒業式にはでない。なぜなら、みんながいないうちに闇龍の溜まり場へいって手紙を置いてこなければならないからだ。手紙のチェックは朝受けた。あとは置くだけだ。
「掃除でもしてくか。」
わたしは感謝をこめてこの溜まり場を掃除した。たくさんの思い出を思い出しながら…
「ここともさよならか…寂しくなるな。」
最後に、みんなでいつも囲んでいたテーブルに手紙と総長という証のネックレスを置いた。
「今まで、ありがとうございました!」
深く頭を下げてから、わたしは外にでた。このままこの街を出るつもりだ。
「では、約束通りあなたには遠い高校へいっていただきます。」
「分かってる。もう二度とわたしの前に現れるなよ。」
「分かってますよ。それでは、お元気で。」
お元気で。なんて、ふざけやがって…
――みんな、大好きだよ。元気でな…
☆☆☆
――卒業式のあと沙羅がいるだろうと闇龍は溜まり場を訪れた
「ねぇ、ここってこんなに綺麗だったっけ?」
「確かに!もっと汚かったよね!」
「あぁ、確かに様子が変だな。」
「とりあえず中に入ってみようぜ!」
キィ――
「沙羅ー?どこにいるのー?」
「沙羅ー!来たよー!」
「寝てるのか?」
「沙羅の気配が…ない…」
「おい!あれ見ろよ!」
「え?あれって…ネックレス…?」
闇龍のみんなは慌てた。まさか、そんなはずないと思いながらテーブルに駆け寄った。
「間違いない、これ…沙羅のネックレスだ…」
「どういうこと?沙羅…どこにいったのよ!」
「おい、手紙があるぞ!」
陸斗の声にみんなまさか!と思った。
「開けるぞ。」
ゴクリ――みんなが息を飲んだ。
手紙には、こう書かれていた。
闇龍のみんなへ
突然いなくなったりしてごめん。
訳あってわたしはこの街を離れる。
探さないでほしい。
友香、総長としてみんなをまとめてくれ。
みんなも、これからも元気でな。
わたしのことは気にしなくていいから。
みんなが幸せなら、わたしも幸せだよ。
なんて、わたしらしくないな。
まあ、お前らはお前らで頑張れっつーことだ!
この世界に巻き込んどいてほってくなんて無責任だよな。ごめん。
でもわかってほしい。詳しくは言えないけどみんなのためなんだ。頼む、これからも無事でいてくれ。
最後の総長命令だ。
全員、笑って生きろ。
泣くんじゃないぞ。闇龍の名が泣くぞ。
みんなと過ごした時間、本当に幸せだった。
もう二度と、死のうとしたりするなよ。
せっかくわたしが助けてやったんだ。
お前らはわたしのためにも生きろ。いいな。
大好きだよ。お前らはわたしの最高の仲間だ。
じゃあな!
沙羅
「馬鹿…野郎…」
「泣かないよ!沙羅の命令、守るよ。」
「沙羅…ごめんね、気付いてあげられなくて。辛かったよね。」
「沙羅…」
「沙羅が…」
「みんな、一緒の気持ちに決まってんだろうが。」
「沙羅、」
「「「「「「「「大好きだ」」」」」」」」
「2代目総長として命令する。」
そう言った友香の目には、力強さと少しさ雫が浮かんでいた。
「初代総長の命令をいかなるときでも守れ…!」
「「「「「「「うす!」」」」」」」
――沙羅…あなたの残してくれたものを、あたしたち闇龍はいつまでも忘れません。どうか、お元気で。また会えると信じています。
☆☆☆
――その頃の沙羅は…
「あいつら手紙読んだかなぁ…怒るだろうな…」
でもきっと大丈夫。わたしの仲間は強いから。わたしはいつかまたみんなに会えるまでこっちで頑張る。
「よし!いざ、桜町へ!」
こうして、わたしの中学時代は幕を閉じたのだった――