闇と仲間
それは、学校に向かって歩いているときだった―
「すいません、そこのあなた。」
「はい?なんです…か?」
この…男って…まさか…!
「おや?その様子だと覚えているようですねぇ。どうもー。あなたの家族を殺したものでっす!」
「あ…あんたが…」
「そうですよ。そこであなたに一つ提案。あなた、高校は遠いところにいってください。」
「……は?」
「ですから、高校は闇龍のみなさんとは別の所にいってくださいと申しあげているんですよ。あ、もちろん周りの人にはないしょでね?」
「なんでそんなことしなきゃいけないんだよ。」
「あなた、伯母さんにちゃんと借金払って欲しくないですか?あなたがこちらの提案を受けるなら伯母さんに借金の取り立てをしに行きますよ。どうです?悪くないと思いますが。」
「別に、そんなことしなくていい。わたしは闇龍と一緒にいたいから。」
嘘だった。闇龍と一緒にいたいのは本心だけれど、伯母さんにはちゃんと借金を払って欲しかった。
「そうですか…あなたがこの提案をのまないとなると…そうですねぇ…闇龍のみなさんに危険が及ぶかもしれませんね。あなたの家族のように。」
「なっ!ふざけるなよ!闇龍は関係ないだろ!」
「まあまあ、落ち着いて。あなたが遠い高校に誰にも気付かれないように行けばいいだけじゃないですか。あなたがこの提案をのむのなら、もう二度とあなたとは関わらないと約束しましょう。」
わたしは元々高校なんてどこでも良かったし…みんなを危ない目に会わせたくない…
「…分かった。その提案をのむ。そのかわり、絶対に闇龍のみんなには手を出すな、関わるな。」
「もちろん。では、契約成立ですね。」
「あぁ。」
「あ、いい忘れていましたが、挨拶は手紙ならいいですよ。もちろん、こちらで一度読ませていただきますが。」
「分かった。」
「では、明日の卒業式までごゆっくりお過ごしください。」
そのあと謎の男は去っていった。
「明日…か…」
なら今日は思いっきり遊ばないとな!
☆☆☆
― 学校―
ドドドドドドドドドドドドドド……
「沙羅ーーーーーー!!!」
スッ…
ドッシーンッ
「いったーい!もう!酷いよ沙羅!なんで避けるのさ!」
「いや、那奈のタックルなんて受けたらわたし朝から保健室行きだよ」
「そうだよ、那奈。もう少し落ち着きなよ。」
「あ、友香おはよ。」
「おはよ、沙羅。」
「おーい、俺たちもいるぞー?」
「雪!陸斗、海、龍、昴、雷、おはよう!」
この男子たちも闇龍のメンバーなんだ。わたしの大切な仲間。龍は龍之介のことだよ。長いから龍ってあだ名なんだ。
「あ!そうだあたし、みんなでいく高校決めて来たんだよ!」
「お、まじか!見せろよ。」
「雪は昨日あたしのプリン食べたから見せてあげなーい!」
「はぁ?なんでだよ!そもそも、あんなとこに置いとくのが悪いんだろ!」
「なにぉー!」
「はいはい、二人ともうるさい。那奈、パンフレット見せて。」
「沙羅っでばー少しは雪のこと怒ってよね!ま、いいや。で、これがそのパンフレット!全寮制だし、綺麗だからいいかなって。ここなら頭もそこそこいいし!校則は緩いから暴れても大丈夫!」
「へぇーまあいいんじゃねぇの。」
「珍しく海が賛成したー!じゃあこれで決定ね!」
「いいと思う。」
「どーでもいい。」
「楽しみだな~♪」
「……眠い」
「沙羅と一緒ならどこでも。」
「わたしもいいよ。」
上から海、那奈、友香、陸斗、雷、昴、龍、わたしで賛成?なのでここで決まり。まあ、わたしは行かないんだけどね。
「あ、そうそう。みんな今日の放課後空いてるよね?」
「空いてるけど、どうかしたの?」
「たまには思いっきり遊びに行こーかなと思って。明日卒業だしさ。思い出作りみたいな?」
「いいね!さっすがあたしの沙羅♪」
「俺らもいいぜ。」
「じゃ、放課後わたしの教室集合ね。」
「らじゃー!」
「「「「「「了解!」」」」」」
「……ん。」
わたしたちはわたしだけクラスが別なんだよね。だからわたしの教室に集合にしたんだ。移動めんどくさいからね★
☆☆☆
――授業は全部寝て過ごす沙羅であった――
「お昼か…手紙書いとこ。」
☆☆☆
――そして放課後
「沙羅ー!きったよーん♪」
「遊びにいこーぜ!」
このあと、わたしたちは夜遅くまでいろんなところで遊んだ。
わたしは伯母さんの家を出たので、友香の家に泊まることになった。
「沙羅ーお風呂空いたよ。」
「ありがと。」
「沙羅…なんかあったの?」
「え?何にもないけど?どうしたの、友香。」
「そう…ううん、何もないならいいの。」
「そ?じゃあわたしお風呂借りるね!」
「うん、どうぞ。」
バタン――
「はぁ…やっぱり友香は鋭いなぁ…困っちゃうよ。でもごめん、話せない。みんなをよろしくね、友香。」
そのあとわたしと友香は明け方まで他愛のない話をした。とても、楽しくて幸せな1日だった。これからの元気をもらえた気がする。
「おやすみ、友香」
「おやすみ、沙羅」
――もう、この仲間の声を聞くことはないけれど。