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Secret Girl  作者: 美龍
過去を知る
15/18

芽生える気持ち

――季節はめぐって今は6月

「沙羅ー!おはよ!」

「おはよ、愛莉。」

今日は学校が休みなのでわたしたちは遊びにいく約束をしていた。今はその待ち合わせ場所で合流したところだ。

「どこにいくの?」

当日までの秘密と言われていたことを聞くと、愛莉は可愛らしく笑って、

「ふふ、この前新しくできたカフェよ!絶対に最初に沙羅と行きたかったんだ!」

と言った。

「そっか、ありがとう。」

なんだか闇龍のときとはまた少し違った楽しさがあって、わたしは自然と笑顔になった。

そのとき、見覚えのある姿が目に入った。

「っ!?あれは、まさか…!」

「どうしたの?沙羅?」

「か…い…?」

「海?海ってあの闇龍の?」

「うん。」

なんで、闇龍がいるんだろう…でも今のわたしには話し掛ける権利なんてないし、変装をしているから誰だか分からないだろう。

そう思ったわたしは、愛莉と一緒にカフェへ向かった。

「んー!このケーキおいしい!」

「ほんと?こっちもおいしいよ。」

「一口ちょーだいっ!」

「いいよ、はい。」

「ありがとー!ほんとだ!おいしい!ここ来て正解だったね♪」

本当に嬉しそうに笑う愛莉を見て、わたしも嬉しくなった。

「そうだね、誘ってくれてありがとう。」

「いーえー!それよりさ、沙羅。」

「ん?どうしたの?」

急に真剣な表情になった愛莉を不思議に思っていると、

「夕霧の総長のこと、どう思ってるの?」

愛莉は悠希のことを夕霧の総長と呼ぶ。なんでか尋ねたら、悠希なんて親しく呼べない、と言っていた。

「どうって?」

「だからー、好きとかそういう気持ちはないの?」

「好き…?」

考えたこともなかったから答えが浮かばなかった。

「そう、ドキッとしたりとかしないの?」

「んー、ドキッとすることはたまにあるし、いい奴だなとは思うよ。」

「へぇー!」

「でも、好きとは少し違うと思うな。それに、わたしそういう恋愛とかには疎いから!」

「まあ確かに疎そうよねー」

「なっ!失礼だなー。」

「自分でいったんでしょーが!ま、そのうち気付くよ、自分の気持ちに。」

「?う、うん。」

よくわからなかったけれど、とりあえず返事をしておいた。

それからわたしたちはゲームセンターやデパートに行ったりと、たくさん遊んだのだった。

――次の日

「おはよー」

わたしと愛莉がそう言って教室に入ると、

「おはよ」

と夕霧のみんなが返してくれる。

わたしが席につくと、隣からすごい視線を感じた。

「どうしたの?悠希。」

「ん?あ、あぁ、なんでもない。」

わたしが声をかけると、悠希ははっと我に返ってそう言った。

どうしたんだろう?なんだか様子が変だ。

「大丈夫?」

「あぁ、なんともない。」

「ならいいけど。」

悠希はちゃんと仲間がいることを分かっているから、何かあったら誰かに相談するだろう。

それより、今日は楽しみなことがあるのだ。そのことを考えると、自然と頬が緩んだ。

「お前こそ、なににやついてるんだ?」

「へっ?に、にやついてる?」

「あぁ、さっきからにやにやとしていて気持ち悪いぞ。」

「な、気持ち悪いって…!ひどいよ!」

「そうだぞ、悠希。女の子に気持ち悪いとか言うなよな。」

「そうだよ、悠希!沙羅なにか楽しみなことでもあるの?」

その純の問いに、

「うん!今日調理実習あるでしょ?わたし調理実習好きなんだ!」

と笑顔で答えれば、みんなは一瞬キョトンとしたあと、

「へぇー!そうなんだ!」

「意外だね。」

「沙羅が料理なぁ…大丈夫なのか?」

「失礼な!わたしこれでも闇龍にいたときはみんなのご飯とかたまに作ってたんだから!」

この失礼な質問をしてきたのは遊だ。最初こそ仲が悪かったものの、今ではすっかり意気投合していい友達だ。

「沙羅って闇龍でそんなこともしてたんだ。」

「そうだよ、秋良。メンバーのみんなは家族がいないし、一回作ったらなんだか楽しくてさ。」

「そっか。いい総長だったんだね。」

「そうかなぁ…あんなふうにいなくなったんだから、いい総長とは言えないよ。ま、こんな話はやめて!調理実習の班、どうしたんだっけ?」

これ以上闇龍の話をすると暗くなってしまう気がしたから、わたしは話を変えることにした。

「あぁ、沙羅は悠希とオレと遊と純と一緒だよ。愛莉は秋良と孝太と一緒だよ。」

「そっか。じゃあ悠希と健斗と遊は楽しみにしててね!おいしいの作ってあげるよ。」

「あぁ、楽しみにしてる。」

「楽しみだね!」

「おー頼んだぞ。」

「よろしく。」

―そして調理実習の時間

「できた!はい、どうぞ!」

「「「「おー!うまそう!」」」」

「どうぞ召し上がれ」

「「「「いただきます」」」」

「いただきます!」

そういって一口食べると…

「「「「うっま」」」」

とみんな言ってくれた。

なんだかくすぐったい気持ちになって、この町に来てよかったなと思った。

そして、そのとき悠希が浮かべた微笑に、僅かに頬が赤くなるのを感じた。わたし、どうしたんだろう…

―帰り道

「沙羅、最近どう?」

「え?どうって何が?」

「夕霧の総長のことよ。気持ちに変化とかないの?」

「変化、かぁ…んー前よりドキッとすることが多くなったかも。」

「じゃあさ、悠希が沙羅以外の女の子と仲良く話してたら、どう思う?」

悠希が女の子と仲良く話してたら…

「胸がもやもやする…かも。」

「そっか。」

「うん。この気持ちって、なんなんだろう?悠希のことを考えると胸がキュンとするの。」

「それは…恋、じゃないかな。」

「恋?」

「そう。沙羅は、悠希のことが好きなんじゃない?」

わたしが…悠希を…好き…。なんだか、しっくりくるかもしれない。

「そうかもしれない。わたし、悠希を好きになり始めてるのかも。」

「そっか。あたしは応援するよ!だからなんでも相談してね!」

そう優しく微笑んで言ってくれた愛莉がとても大事だと思った。

「うん、ありがとう。」

この気持ちを大事にしていこう。わたしはそう思った。

――お父さん、お母さん、お兄ちゃん、未桜お姉ちゃん、結菜お姉ちゃん、わたしを生かしてくれてありがとう…わたしは今、幸せです。

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