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Secret Girl  作者: 美龍
過去を知る
13/18

目撃者

――月曜日

はぁ…昨日は散々な目にあったなー。そういえば笑霧桜町に行ったんだった。こんな大事なこと忘れるなんてわたしは馬鹿か。

「これから見つからないように気を付けなきゃ。」

これ以上わたしの総長時代を知ってる人に会ったりしたら面倒になる。

「さーらっ!朝から何難しい顔してんの?」

「あ、愛莉。おはよ。なんでもないよ。ちょっと昨日夜更かししたから眠いんだ。」

「そうなの?ならいいんだけど。」

「うん。心配してくれてありがとう。」

「いえいえ。」

―そんなことを話しているうちに学校へついた。

ガラッ―

わたしたちが教室のドアを開けると、なぜか夕霧が一斉に振り返った。

「沙羅、お前に少し話がある。」

意外にも、そうわたしに声を掛けたのは悠希だった。

「わたしに?どうしたの?」

「大事な話だから少し場所を変えよう。お前ら、行くぞ。」

悠希は夕霧全員が頷いたのを確認するとわたしの手を引いて廊下に出た。

「え?ちょ、悠希!愛莉は?」

「一緒にくればいい。」

「あら、あたしは最初からそのつもりですよ。」

その言葉の通り、愛莉はさも当然のようにわたしたちと一緒に歩いていた。

そうしてわたしたちがたどり着いたのは屋上。普段は誰も来ないから話をするのにはもってこいだ。

「で?話って何?」

そうわたしが聞くと、

「あぁ、そろそろお前が何者なのか聞いてもいいか?」

ドキッとした。確かにだいぶ心の整理はついていたけれど、できればまだ話したくなかった。

「急にどうしたの?」

すると、今度は健斗がこたえた。

「悠希が、沙羅が笑霧の総長と話してるのを見たらしいんだ。知り合いなの?」

あぁ、あれを見られていたのか。全然気付かなかった…

でもあれを見られてたならこれ以上黙っててやっかいな誤解をされるのも嫌だし言っておこう。

「分かった。話すよ。長くなるけど、いい?」

「あぁ、構わない。」

そう言った悠希の言葉に背中を押されるように、沙羅は話し出した。

自分が3歳のとき、伯母の借金のせいで家族全員が殺されたこと、闇龍の総長だったこと、笑霧との関係などを詳しく話した。なぜ桜町に来たのかも。

話をしている間、あの遊までもが黙っていた。

「っていうわけ。分かった?」

夕霧のみんなと愛莉は、黙っているというか、驚いて固まっているといった感じだった。

「やっぱり、沙羅が闇龍の総長だったんだ。」

「今はもう違うけどね。」

「ありえねぇ!お前があの闇龍の総長だなんて!

「いやいや、ありえなくないんだって。」

「なるほどな。沙羅は闇龍の総長だったから笑霧の総長と知り合いだったんだな?」

悠希が問いかけてきたので、

「まあ、知り合いといえば知り合いかな。でも闇龍と笑霧のケンカには決着がついてるし、今はわたしがどこのチームにも入ってないからまず争うことはないよ。そういえば、夕霧は笑霧との関係ってどんな感じなの?」

と答えれば、悠希は僅かに笑みを浮かべて

「お互い干渉しないと決めているから大丈夫だ。」

と答えた。

それを見ていた他の夕霧のメンバーは全員間抜け面になっていた。

「ぷっ…」

思わず吹き出してしまうわたしに対し、

「うわあぁぁぁ!!」

「沙羅、やっぱりすごいよ!」

「ありえない…」

「う、う、嘘だろっ!?」

と様々な反応を見せるのだった。

「なににそんなに驚いてるの?」

「なにって…そりゃあ悠希が女の子と話してることに、だよ。」

「それがなんで驚くことなの?」

「沙羅、最初に言ったでしょ?夕霧の総長は極度の女嫌いで、女の子とは話さないって。」

あぁ、確かに言ってた気がする。

「その総長が、沙羅相手だとこんなにも話して、その上微笑まで浮かべちゃってるもんだから、周りはみんな驚いてんのよ。」

なるほど、と愛莉の説明にやっと納得したわたし。

「悠希、わたしとはどうして話してくれるの?」

「あ?あぁ、なんでだろうな。でもお前には拒絶しようとかそういう気持ちが一切わかない。」

「そうなんだ。なんか嬉しいね、それ。」

そんな二人の様子をみた遊以外の周りは、

(この二人、お互いすっごい鈍感!!?)

と思ったのだった。

「あ、そうそう。話したように、わたしに関わるといいことないから、もう関わらない方がいいよ。今までありがとう、とっても楽しかったよ!」

これは最初から決めていたこと。もう二度と、大切な人をなくしたくないから、わたしの過去を知ったら夕霧と愛莉とは距離をおこう。そう、わたしは決めてたんだ。なのに、

「なにいってんのよ、沙羅。夕霧はそんなに弱くないし、あたしだってケンカはできなくてもそこら辺の女よりは強いわよ!」

「そうだよ、沙羅。俺たちと距離をおくことなんてないよ!」

そう、言ってくれるみんなに、わたしの心は揺れた。そして、

「沙羅、俺たちと一緒にいろ。俺が守ってやる。」

その悠希の言葉に、わたしはとうとう泣きだしてしまった。

「あり…がとう…っ」

うまく言えなかったけれど、みんなにはちゃんと伝わってたみたいで。優しく微笑んでくれた。わたしはこのみんなの笑顔を、忘れることはないだろう。

――忘れなかったからこそ、辛いことになったのだけれど…

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