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お姫様は凄いです

皆様は、小さい頃お姫様に憧れた事はないですか?

私は憧れてました。

綺麗なドレスを着て、アクセサリーを身に付けて、舞踏会で王子様に出会う。

そんな幻想を抱いた事もあります。

本当に憧れてました。


えっ?なんで過去形になってるか?

それはですね~。お答えしましょう!

答えは簡単です。

今、体験して現実を知ったからです。


分かりやすい答えですか。

それは、すみません。

でも言わせて下さい!

本当に疲れるんですよ。

始まってもないのに、準備段階で私は本当にグッタリしてます。

そもそも現代の日本で洋服を主にしてた私が、こんなドレスを着る事態間違ってるんだ!

そうだそうだ。

コルセットってなんですか?

こんなに締め付ける必要はあるんですか?

それ以前に、こんな膨大な衣装からどうやって選べば良いんだぁ~。

世の中のお姫様と呼ばれてる人を尊敬するよ。

凄いよ。そこら辺の猛者よりも凄いよ。


「リン様。現実逃避はそこら辺にして、目の前の事に集中して下さい」

「このドレスなんてどうでしょうか?リン様に良く似合いますわ~」

「うぅ……カレンさん、目が恐いです。マキナさんもうちょっと露出の少ない物にして下さい」


侍女2人と王室御用達の商人含め、朝早くから打ち合わせが始まり早2時間。

最初は楽しんでた私も正直疲れてます。


何の打ち合わせをしてるかというと、今度行われる王妃のお披露目パーティで着るドレスを決めてるの。

まずは軽くお披露目パーティをして、次に認証式兼結婚式があって、国民にお披露目をする。そして最後に盛大な晩餐会を開催。これがリューシリア国の流れなんだって。

勿論その間に細々した手続きや挨拶回り等々もあるけど、大きい行事は以上だ。

今は、一番最初の軽くお披露目パーティに出る為の準備をしているの。

それでも200人もしくはそれ以上を呼ぶって言ってたから、軽くでは決してない。

庶民感覚の私からしたらね。


実はこの前、王と宰相、そして大臣・貴族の代表者達と私を含めての議会があって、そこで王妃として認められたの。

認証式で正式になるけど、とりあえず認められないと始まらないからね。

グレンが色々裏で手を回してたみたいだから、何事もなく終わった。

あくまでも、表面上は。

裏で自分の娘を嫁がせようと躍起になってた人達は、そりゃあもう不満だらけだったと思う。

あからさまに態度に出る人達はいなかったけど、目が認めてないって言ってた人も中にはいた。


この1年と半年の間、私は表には出ていない。

まぁ、表に出てないって言っても結構みんな知ってたけどね。

なにやら病弱のどこぞの令嬢で、優秀な医師のいる城に滞在しているなどと言ってたみたい。

病弱設定だから表に出なくても良かったわけ。

多分グレンの妾って思ってる人もいたんじゃないかな。

でも、グレンの目もあるし、表立って来る人なんてほとんどいなかった。

中には強者もいましたけど。


今は無事に病気は治り、医師の診断も良好となってるらしい。

それで良いんでしょうか。


とにかく、後ろ盾を探さなければ、側室あるいは妾のままで終わるしかない。

そこでグレンが養子先に目を付けたのが、公爵家―――マルクス家だった。

ここは名門中の名門で、王家の血筋も入ってる。

後ろ盾としては最高で、ここの養子になった私は晴れて王妃になれたというわけ。

どうやって養子縁組を出来たかは分からないが、そこはあえて触れません。


マルクス家のお義父様とお義母様(そう呼んでと言われたので)に会ったけど、優しくて素敵なご夫婦でしたよ。

お義父様は、グレンと同じ臭いを感じたけどね。

現役を引退した今でも影響力は半端ないらしく、そんなお方が優しいだけで王宮を生きてこられた訳がない。

あのグレンも頭が上がらないらしく、その様子を是非見たいものである。


後ろ盾OK。議会からの承認OK。次は軽いお披露目をする為に準備を始めましょうってところで疲れてます。

今までも正装はした事あるけど、これは桁違いだよ。

勿論王妃として初めて公の場に登場するんだから、下手な格好ではいけない事は凄~く分かってるつもり。

でもねぇ、生地選びから始まり、それが決まったら次は色選び、色が決まったら様々なデザインのドレスを試着する。かれこれ何十回目。

その間ずっとコルセットをしてる私は、もう息が詰まりそうだよ。

これだけ大変なのに結婚式や晩餐会の時は、どうなるんだろう。

今からゾッとするけど、とにかく王妃となるからには半端な事は許されない!

私は今一度現実の世界と戦う事に決めた。(大げさ)


「本当にリン様はどれもお似合いになりますので、我々も仕事ではありますが、一緒にお選び出来て光栄でございます」

「ありがとうございます。こちらのデザインはどうでしょうか?」

「そうですね。そちらのマーメイドラインのドレスも素敵ですが、リン様にはそれよりもこちらのAラインのドレスの方が良くお似合いだと思いますよ」

「確かにリン様はスタイルが良いので、マーメイドラインも素敵ですが、フワッとした雰囲気に合わせてた方が良いと思います」

「リン様、こちらのプリンセスラインのドレスも素敵ですわ」

「本当。刺繍も細かくて素敵ね」

「それでしたら、こちらはどうでしょうか?リューシリア国一のお針子お手製の刺繍入りでございます」


今は人もいるので、猫被って公爵令嬢を演じてます。

さっきまで疲れ切ってたから、化けの皮が剥がれてたかもしれないけど………多分大丈夫でしょう。表面上は演じれてた筈!(多分)


さすが王室御用達と選ばれてる方達なので、一介の商人とは違うようだ。

ただ誉めるだけじゃなく、的確にアドバイスもしてくれる。

さすが、プロですね。

用意されたドレスも最高級なのは当たり前だが、質の良い私好みの物を用意している。

カレンさんもマキナさんも私の好みは知ってるので、ドレスを持ってきてくれる。


それから何回か試着を重ね、ようやくドレスが決まった。

多少華美な方が良いという指摘も受けて、薔薇色のプリンセスラインのドレスになる。

薔薇色も色が濃いという私の意見も取り入れてくれ、胸元は薄目に裾は濃くしてくれる事になっている。

グレンがあまり嫉妬しないように、適度に肌を露出するデザインを希望した。

これは私よりも侍女2人の方が熱心に言ってたので、なんか恥ずかしい。


とにかく、刺繍も細かく入れてくれるようで、出来上がるのが楽しみだな。

決まるまで長い時間がかかっただけあって、達成感が出てくる。


浮かれてる私だけどそれで終わる筈もなく、次に装飾を選ぶ為宝石商の人と会う事になり、それが終わっても髪型のデザイン等々。

すべて終わったのは、どっぷり夜が更けた頃でした。

本当に疲れた!

けど、これは本当に早く終わった方なんだって。

中には、1週間かかる人もいるらしい。

「やはり王妃様になる方は、ご決断が早くて素晴らしいです」って誉められたよ。

逆に「なんでそんなにかかるんですか」って私が聞きたいぐらいだ。

やっぱりお姫様って凄い、と思った今日この頃です。



「だからこんなに疲れてるんですか?」

「楽しそうに言わないでよ。本当に疲れたんだから」


ベッドに転がりながら、目だけグレンの方を向け睨む。

行儀悪いと思ったけど、疲れたんで許して欲しい。

ベッドの横に腰を掛け、私の髪を撫でるグレンは楽しそうにしている。


「普段リンが着る服はシンプルですからね。もっと着飾っても良いんですよ」

「公の場ではちゃんとするけど、普段は勘弁して!それにお金が勿体ない」

「お金が勿体ないという令嬢はなかなかいませんね」

「そんな事言うのイヤ?」

「とんでもない。無駄に着飾る人よりずっと良いです」


そう言いながら、私のこめかみにキスをする。

私が顔を上げると今度は唇にキスをしてくれる。


グレンからのキスは甘く感じる。

疲れてる身体に染み渡るみたいで、元気を貰える。

今度は両手をグレンに伸ばすと、笑いながらギュッと抱きしめてくれる。

抱きしめ合うと、お互いの気持ちが伝わってくるんだよね。

いつもは腹黒で恐かったりするけど、グレンの事は本当に好きだと思う。


いつまでもほんわかした雰囲気を楽しみたいけど、グレンの手つきが怪しくなっている。

疲れてるけど、今日は良いかな。

キスで癒してくれたし、私からも返したい。


「今日は抵抗しないんですか?」


クスクス笑いながら覆い被さってくる。

私の心の中を一番分かってるのは、グレンだ。

分かってるくせに言わせたいらしい。


「癒してもらったから返したいの」


ダメ?と良いながら首を傾げると返事よりも濃厚なキスが降ってくる。

今日の夜の時間が始まった合図だ。


きっとこれからも慣れない行事や準備で疲れると思う。

でも、グレンがいたら乗り切れる。

私がグレンに貰っているモノを少し返せたら良いな。

今はすぐ根を上げるダメな私だけど、対等にいられる様に頑張るから。

そう思いながら、何度目かのグレンからのキスを受け入れる。



そんな幸せな時間を過ごす2人に、嵐が向かって来てる事はまだ誰も知らない。


最後珍しくリンが抵抗せずに、甘く終わりました。(甘過ぎますかね)

こんな展開もたまにはどうでしょうか?


ここまで呼んで頂き、ありがとうございました。

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