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終わり良ければすべて良し

「俺の正室なんて他に誰がいるんでしょう?あぁ、色々勝手に言ってた人達がいるようですが、了承済みです。祝福の言葉も頂きましたから、安心して下さい。他もすべて解決済みです。あとは、リンの承諾さえ得られれば……万事解決するのですけどね」


……何をなさったのでしょうか。

かなりしつこくて、ネバネバした人達だったと思うのですが。

納得なんて絶対しない人達だったと思うのですけど。

ナニをしたかは怖いので、聞かない事にします。

あと、その流し眼は卑怯です。

ドキドキしちゃうではないですか!


「まぁ、リンの気持ちは分かってますけどね。それに正室になるのは決定しているので、早く素直になって下さい」

「本人の承諾なしに話を進めないでよ!それにグレンの気持ち聞いてない!」

「愛してます」

「………!!」


サラリと言ったよ!

少し頬が赤い様な気がするけど、それでも素面ですよ。

私は言えないし、言っちゃいけないと思ってた言葉をこの人は簡単に言えるんだ。

なんか悲しくなってきた。


「信じれないよ。だって色々言われて頭の中パニックだし。どうして急に言うの?」


言いながら泣きそうになる。

だって、たった数十分の間で色んな事が起こり過ぎている。

それにいきなり言われても、信じる方が無理だよ。

そんな私の言葉に心底呆れた様にグレンは深いため息をついた。

何で?


「リンが原因です」

「えっ?」

「俺が言おうとした時や雰囲気が良くなった時、わざと逃げてたじゃないですか。言う機会を貰えなかっただけです」

「うっ!」


思い当たる節があったので、そこは申し訳ないです。

でも言い訳をさせて下さい!

それは私が勘違いしそうだったから逃げただけで、告白をされるかもとは思った事は一度もない。本当です!


「だって勘違いしたらいけないと思ったの。それに本当に気がつかなかったの!」

「まぁ。リンの鈍い性格のおかげで色々良かった事もありますけど。虫達が勝手に撃沈してくれて、楽な面もありましたから」

「虫??」

「それは気にしなくて良いですよ。それでお返事は聞けないのでしょうか?」


今度は真剣な顔で聞かれた。

グレンだって分かってる。

私がこちらの世界に残る事で、捨てなくてはいけないモノがあることを。

それでも私に残って、結婚して欲しいと言っている。(強硬手段に出られたけど)

本当に私が心の底から帰りたいと思っていたら、玉を壊すなんて事はしなかった筈だし。(多分)

曖昧なまま気持ちを隠して、帰ろうとした私が悪いんだ。


フゥと息を吐く。

正室になるという事は生半可な事ではないし、今までの様な生活は許されない。

グレンと共に民の生活を支えなければいけない。

それはとてつもなく重いモノだと思う。

甘ちゃんな私はまだまだ分かってない事も沢山、それこそ山の様にある筈だ。

それでもグレンは私を選んでくれた。


ただ気になるのは、家族の事。

ここは、地球とは違う星だし、日本に――故郷には家族がいる。

今も私を探して泣いてるかもしれない。

それを思うと本当に辛くなる。

私だって会いたい。

向こうには友達だっているし、これから私が出会う人達だっているだろう。

でも……グレンがいない。

意地悪でからかったり、玩具にして遊ばれる時もあるけど、本当に私が辛い時に優しくしてくれる。

そんな人はいないの。

親不孝な娘でごめんなさい。

親孝行せずに、いなくなった娘を許して下さい。


心の中で謝った後、私の中で気持ちは固まった。

私は………この人と一緒に生きます。


「グレン……下ろして」


ちょっと抵抗されるかと思ったけど、優しく地面に下ろしてくれた。

グレンの顔を見上げる。

真っ直ぐ見つめると、グレンもさらに真剣な表情になる。

けど、目だけは優しく見つめてくれる。


「私は、グレンの事が好きです。一緒に生きてくれませんか?」

「俺もリンと共に生きたいです。……ありがとう」


そう言ってギュッと抱きしめてくれた。

グレンからは、お日様の良い匂いがして、この匂いを身近に感じれるのは私だけの特権になると思ったら嬉しくなった。

私も抱きしめ返す。


「素直ですね」

「だって嬉しいから」

「可愛いです」


表情は見えないけど、グレンの機嫌が良い事が分かる。

ギュウギュウに抱きしめられた後、顎に手を添えられ上を向かされた。

グレンの顔が近づいて来る。

そのまま目を瞑ろうとしたけど、ふと我に返り近づいてきたグレンの唇を両手で押す。


「何するんですか?」

「睨まないで!違うの。魔術師さん達の前でしたくないだけ!」


そう。周りを無視して勝手に盛り上がってたけど、魔術師さん達がいるのをスッカリ忘れてました。

恥ずかしい~~~!

………ってアレ?いない?

周りを見渡しても怪しいフードを被った魔術師さん達はいなくなってた。


「気がつかなかったんですか?」


本日何回目かの心底呆れたような顔を向けないで下さい。

色々真剣に考えて、気がつかなかったんです!


「俺がリンのこんな可愛い言葉や表情を、周りに見せるわけないでしょう。早々に退出させましたよ」

「そ………そうだったの。気がつかなかった……」

「続きをしても良いですか?お預けされるのは少々辛いです」

「言葉に出されると恥ずかしいから、言わないで~~」

「大丈夫です。すぐに慣れますから」


ニコッと笑った笑顔がちょっと怖かったから、それ以上言うのは止めました。

さっきの雰囲気とは違うけど、この方が私達らしいかな。

お互い笑ってまた顔を近づけ、今度こそ唇が重なり合う。

最初は軽く啄ばむキスから段々に濃厚になっていく。

慣れないけど、グレンからのキスは嬉しかった。

重なり合い、少し離れ、すぐにまた重なり合う。

翻弄されていく意識の中で、幸せだと心から感じた。

好きな人からのキスは格別だし、想いが重なり合って本当に嬉しい。


しばらくして私の息が上がってから、やっと離してくれた。

私の口から流れる、どちらのか分からない涎をグレンが唇で拭う。

なんか凄く官能的だ。


顔を真っ赤にしているとグレンが可愛い、と言って私を再度抱きしめる。

凄く嬉しいけど、やっぱり恥ずかしいし、本当に慣れるのかな?

グレンを見上げるとニコッと笑顔を貰った。

私も釣られて笑顔を送ると、グレンが口を開いた。


「言い忘れましたが、今日からリンの部屋は私の部屋に移動してます。寝室も勿論一緒ですから覚悟して下さいね」

「えっ?」

「さぁ、これから報告に行きましょうか。忙しくなりますよ。婚礼の準備も本格的に、取りかからなくてはいけないですしね」


グレンの頭の中では、効率的かつ迅速に物事が進めるように計算をしてるんだろう。

すっごく楽しそうだ。

でもグレンの言葉の端々にある単語を聞くと、改めてつくづく感じる。

帰らない前提で物事が動いてる事に、衝撃を受ける。

その事に全く気がつかなかった自分が情けない。


それに寝室が一緒って!

初心者には少々辛いのですが……言っても聞いてくれないよね。

軽くスルーされるよね。これは決定事項だから無理なんだよね。

溜息がちょっと出ました。


「グレンってさ………」

「なんでしょう?」

「本当に私を帰すつもりなかったんだね」

「当たり前です。自分でも自覚してますが、リンに対しての執着は凄いですよ。覚悟して下さいね。勿論側室を設けるつもりはないですので、リン似の可愛い子どもをいっぱい産んで下さい。」

「子ども!?」

「夫婦になるんですから、自然の現象ですよ」

「真顔で言わないで!分かったから、それ以上言わなくて良いよ。あと、なんで私似なの?グレンに似た方が綺麗な子が生まれると思うんだけどな」

「俺に似たら、絶対リンの事を奪い合いますから結構です。それにリンに似ても、綺麗で可愛い子が生まれます」

「そうなのかな?」

「奪い合いは絶対です。出来るだけリンの遺伝子が強くなるように努力しますが、万が一俺に似た子どもが生まれたら覚悟して下さいね」


どう努力するのか分からないけど、あえて触れないでおこう。

うん。そうしよう。

けど、グレンの幼少期を絵でしか見た事がないので、グレン似でも良いなぁと呑気な事を私は思っていた。



それからあっという間に婚礼の儀を上げ――その時に事件が起こるけど、それはいずれ別の時に――それから1年後にグレン似の男の子が、その2年後に私に似た女の子が生まれるのは、まだ誰も知らない事。


ここまで読んで頂きありがとうございます。

最後に未来のネタバレがありましたが、これからも小話を挟みつつ書きたいお話まだまだあるので、書いていきたいと思います。


グレンとリンの名前しか出てこず、いきなり話は1年半後から始まったので、それ以前の話やグレンが王様というだけで、ほとんど何も触れませんでしたが、それはこれからのお話で触れていきたいと思っています。

あとリンが言ってた、自称(?)正室候補のお方とリンのやり取りも書きたいです。


長々と書いてしまいましたが、ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです☆



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