王宮昼餐会の献立表を妹に書かせるそうです。では、食物禁忌台帳は白紙で提出いたします
「セリーヌ。王太子殿下の昼餐会の献立表だが、今回はマリエルに任せることにした」
父がそう告げたのは、朝食の席だった。
銀の食器が並ぶ伯爵家の食堂。
焼きたての白パンからは湯気が立ち、蜂蜜を落とした紅茶は甘い香りを漂わせている。
けれど私の前に置かれた皿は、すでに冷めていた。
「マリエルに、ですか?」
私が問い返すと、向かいに座る妹のマリエルが、待っていたとばかりに笑った。
「ええ、お姉さま。だって王宮昼餐会ですもの。お客様に喜ばれる華やかな献立でなくては」
その隣で、私の婚約者であるレオン・バルテル子爵令息が頷いた。
「正直に言えば、セリーヌの献立は地味だ。煮込みだの、焼き野菜だの、香草を控えただの……まるで病人食だ」
「王宮厨房局の献立は、見栄えだけで決めるものではありません」
「またそれか」
レオンはうんざりしたように肩をすくめた。
「君はいつも規則、台帳、確認印。料理名を写すだけの仕事に、なぜそんなに大げさになる?」
料理名を写すだけ。
その言葉を聞いて、私はゆっくりと手元のナプキンを畳んだ。
父が重々しく口を開く。
「セリーヌ。お前は真面目だが、華がない。王太子殿下の昼餐会ともなれば、見目麗しい料理を並べることも大切だ。マリエルなら社交界の流行にも詳しい」
「お父様。王宮昼餐会の献立監査官は、王宮厨房局から任命された職務です。家の都合で譲ることはできません」
「譲れと言っているのではない。助けてやれと言っているのだ」
父はそう言ったが、私には分かっていた。
これは、助けではない。
私の名前で積み上げた実績を、妹に渡せという命令だ。
マリエルは白い指で紅茶のカップを持ち上げる。
「お姉さま、心配しないで。献立表くらい、私にも書けるわ。前菜、スープ、魚料理、肉料理、デザート。順番に並べればいいだけでしょう?」
「違います」
「何が違うの?」
「食物禁忌の確認が必要です」
私がそう言うと、レオンが小さく吹き出した。
「食物禁忌? また君の好きな台帳か」
「はい」
「そんなもの、食べられないものがある者だけ避ければいいだろう」
「王宮では、避ければいい、では済みません」
私は静かに答えた。
「南方諸侯の一部は甲殻類を口にできません。北方使節団には香辛料の禁忌があります。高齢の侯爵夫人には心臓薬との相性が悪い果実酒があり、東方の神官長は特定の獣肉を宗教上の理由で避けます」
マリエルの笑みが、少しだけ固まった。
「さらに、王太子殿下は青銀草に軽い反応があります。王弟殿下は蜂蜜酒を召し上がれません。隣国の公女殿下は乳製品を使った菓子を避ける必要があります」
「そんな細かいこと、厨房が知っているでしょう?」
「厨房に伝えるのが、献立監査官の仕事です」
私は父を見た。
「本当に、マリエルに任せるのですね?」
父は苛立たしげに眉を寄せた。
「くどい。家の決定だ」
「レオン様も、それでよろしいのですか?」
レオンは少し勝ち誇った顔で言った。
「ああ。むしろ、マリエルの方が王宮向きだ。君のように地味な女よりもね」
マリエルが頬を染めて俯いた。
その仕草で、すべてを察した。
献立表だけではない。
この婚約も、妹に譲れということなのだろう。
「分かりました」
私がそう言うと、三人は安堵した顔をした。
「では、王宮厨房局には本日付で申し出ます」
「ようやく分かったか」
父が満足そうに頷く。
「はい」
私は椅子から立ち上がった。
「私が私名義で管理している食物禁忌台帳は、白紙で提出いたします」
食堂の空気が止まった。
「……白紙?」
レオンが眉をひそめる。
「何を言っている?」
「食物禁忌台帳は、各家から私個人宛てに提出された確認書をもとに作成しています。監査官が交代する場合、前任者の個人管理情報は引き継げません。本人確認と再提出が必要です」
マリエルが扇を握りしめた。
「そんなの、意地悪じゃない」
「いいえ。規則です」
「規則、規則って!」
「その規則が、王宮の食卓で人を倒さないためにあります」
父が机を叩いた。
「セリーヌ! 家に恥をかかせるつもりか!」
「恥をかくのは、確認を軽んじた方です」
私は一礼した。
「王宮厨房局へ参ります」
その日の午前、私は王宮厨房局の執務室にいた。
壁一面に並ぶ棚には、過去十年分の献立記録が収められている。
春の歓迎昼餐会。
冬至祭の夜会。
隣国使節団の晩餐。
病み上がりの王妃陛下のために香辛料を減らした献立。
剣術大会後の騎士団向けに塩分を調整した献立。
それらはすべて、ただの料理名ではない。
その日、その場にいる人々を無事に帰すための記録だった。
「セリーヌ嬢。本当に、監査権限を返上するのですか」
厨房局長のグレアム卿が、低い声で尋ねた。
白髪交じりの厳格な方だが、私が見習いの頃から何度も助けてくださった。
「はい。家より、妹へ職務を移すよう強く求められました」
「あり得ん」
グレアム卿の眉間に深い皺が刻まれる。
「王宮献立監査官は、飾りではない」
「存じております」
「君の台帳がなければ、明日の昼餐会は危険だ」
「ですので、正式に記録を残します」
私は書類を差し出した。
――献立監査官セリーヌ・ローウェル、個人管理による食物禁忌台帳の使用を停止。後任監査官による再確認を要する。
グレアム卿は書類を見下ろし、深く息を吐いた。
「君は悪くない」
その一言で、私は少しだけ救われた。
「ありがとうございます」
「だが、昼餐会は明日だ。再確認は間に合わん」
「はい」
「それでも、王宮は開催を強行するだろう。王太子殿下の婚約発表を兼ねているからな」
私は視線を落とした。
王太子殿下の婚約発表。
そこには国内外の有力貴族が集まる。
小さな失敗でも、外交問題になりかねない。
「セリーヌ嬢」
グレアム卿は、机の上に置かれた白紙の食物禁忌台帳を見つめたまま、低い声で言った。
「君は、明日の昼餐会に出席する予定だったな」
「はい。ローウェル伯爵家の娘として、末席に控える予定です」
「ならば、会場で何かあれば、気づく可能性がある」
私は顔を上げた。
「私に、非公式に見ていろと?」
「命令はできん。君はもう監査官ではない」
グレアム卿は苦々しげに唇を結んだ。
「だが、もし目の前で危険が起きたとき、君なら何をすべきか分かるはずだ」
私は少しだけ黙った。
職務は返上した。
台帳も白紙で提出した。
けれど、王宮の食卓で誰かが倒れるのを見過ごせるほど、私は自分の仕事を嫌いになったわけではない。
「分かりました」
私は静かに答えた。
「私はもう献立監査官ではありません。ですが、危険に気づいた場合は、一人の王国貴族として進言いたします」
グレアム卿は、初めて少しだけ表情を緩めた。
「それで十分だ」
翌日の正午。
王宮大食堂には、まばゆいほどの光が満ちていた。
高い天井からは水晶のシャンデリアが下がり、白いクロスの上には銀器と花が美しく並べられている。
王太子殿下の婚約発表を兼ねた昼餐会。
国内の有力貴族だけでなく、隣国の公女殿下、東方の神官長、南方諸侯の代表まで招かれていた。
その中央で、マリエルは得意げに微笑んでいる。
今日の献立表を作成した者として、父に連れられて王宮厨房局の近くまで出入りを許されたらしい。
レオンもその隣に立ち、私を見つけると薄く笑った。
「セリーヌ、見たか。これが本物の華やかさだ」
確かに、食卓は華やかだった。
前菜には、海老と柑橘の宝石仕立て。
スープには、青銀草を浮かべた春野菜の澄まし汁。
魚料理には、香辛料をふんだんに使った南方風の白身魚。
肉料理には、蜂蜜酒で煮込んだ仔羊。
デザートには、濃厚な乳菓子と果実酒のゼリー。
私は献立表を見た瞬間、血の気が引いた。
これは、駄目だ。
あまりにも、駄目だ。
「マリエル」
私は妹に近づいた。
「この献立は誰が確認したの?」
「私よ」
マリエルは誇らしげに胸を張った。
「厨房の者たちは少し地味な案ばかり出すから、私が社交界で流行している料理に直してあげたの」
「食物禁忌の確認は?」
「またそれ?」
彼女はうんざりしたようにため息をついた。
「お姉さまは本当に台帳が好きね。見て分からない? こんなに綺麗なのよ」
「綺麗かどうかの問題ではありません」
「もう始まるわ。邪魔しないで」
そのとき、給仕たちが前菜を運び始めた。
海老と柑橘の宝石仕立て。
南方諸侯の代表が、その皿を見て表情を硬くした。
当然だ。
南方諸侯の一部の家系では、甲殻類は強い禁忌である。体質だけではない。宗教的な意味でも口にできない。
私はすぐに近くの給仕へ声をかけた。
「南方諸侯の卓、前菜を下げてください。代替の野菜テリーヌを」
給仕は困惑した。
「ですが、指示がありません」
「責任は私が持ちます」
「セリーヌ!」
マリエルが小声で怒鳴った。
「勝手なことをしないで!」
その瞬間、別の卓でざわめきが起きた。
王太子殿下の前に、青銀草のスープが置かれていた。
私は迷わず立ち上がった。
「そのスープを殿下にお出ししてはいけません!」
大食堂が静まり返った。
王太子殿下の手が、匙を取る直前で止まる。
王宮侍従長が鋭い目で私を見た。
「ローウェル伯爵令嬢。何事です」
「そのスープには青銀草が使われています。王太子殿下は青銀草に反応をお持ちです。摂取すれば、喉の腫れと発熱を起こす可能性があります」
王太子殿下の表情が変わった。
侍従長がすぐに毒見役へ合図する。
厨房側から、グレアム卿が駆け込んできた。
「その通りです。殿下の青銀草反応は、旧台帳に記録があります」
マリエルの顔が真っ白になった。
「で、でも……青銀草は春らしくて綺麗だから……」
「綺麗なら、殿下の体調を損ねてもよいのですか」
私がそう言うと、彼女は何も答えられなかった。
けれど、問題はそれだけでは終わらなかった。
東方の神官長の前には、宗教上禁じられている獣肉を使った肉料理。
隣国の公女殿下の前には、乳製品をたっぷり使った菓子。
高齢の侯爵夫人には、服薬中の薬と相性の悪い果実酒のゼリー。
華やかさだけで整えられた献立は、王宮の食卓を危険物の見本市に変えていた。
王妃陛下が静かに口を開いた。
「この献立を監査した者は誰ですか」
誰も答えない。
マリエルは父の袖を掴み、父は目を泳がせている。
レオンは、まるで自分には関係ないという顔で後ずさった。
私は一歩前に出た。
「恐れながら申し上げます。本日の正式な食物禁忌台帳は、白紙提出となっております」
大食堂に緊張が走った。
王妃陛下の視線が、私に向けられる。
「理由を」
「前任の献立監査官であった私が、昨日付で職務権限を返上いたしました。後任監査官による再確認が必要でしたが、確認前に献立が変更され、昼餐会が強行されたものと思われます」
グレアム卿が深く頭を下げた。
「厨房局としても止めるべきでした。責任は私にもあります」
王妃陛下はしばらく黙っていた。
そして、静かに言った。
「今、この場を収められますか」
私は息を呑んだ。
「私が、ですか」
「あなたは先ほど、王太子の危険を止めました。ならば、この場で最も食物禁忌を把握しているのは、あなたでしょう」
私は一度、目を伏せた。
職務は返上した。
けれど、今はそんなことを言っている場合ではない。
ここには、食事を前にした人々がいる。
食べてはいけないものを知らされずにいる人々がいる。
私は顔を上げた。
「臨時の確認権限をいただけるのであれば、対応いたします」
王妃陛下は侍従長へ頷いた。
「セリーヌ・ローウェル伯爵令嬢に、本昼餐会終了までの臨時献立監査権限を与えます」
「承りました」
私はすぐに動いた。
「給仕長、全卓の皿を一度下げてください。食べかけのものも含めてです。南方諸侯には甲殻類を含まない野菜前菜を。王太子殿下には青銀草抜きの澄まし汁。東方の神官長には魚料理を。公女殿下には乳製品不使用の果実菓子を。侯爵夫人の卓から果実酒ゼリーを下げ、蜂蜜水を」
「はい!」
給仕たちが一斉に動く。
私は頭の中で、旧台帳をめくった。
誰が何を避けるべきか。
どの料理なら代替できるか。
厨房に残っている食材は何か。
火を入れ直す時間はあるか。
春野菜の煮込みは使える。
白身魚の香辛料を落とせば東方卓に出せる。
果実の砂糖煮なら公女殿下も食べられる。
蜂蜜酒ではなく肉汁で煮直した仔羊なら、王弟殿下の卓にも回せる。
私は次々に指示を出した。
大食堂の華やかな混乱は、少しずつ秩序を取り戻していった。
半刻後。
昼餐会は、何とか再開された。
料理は当初より地味になった。
けれど、誰も倒れなかった。
誰も怒って退席しなかった。
むしろ南方諸侯の代表は、代替の野菜前菜を口にして、静かに頷いた。
「こちらの方が、我々にはありがたい」
隣国の公女殿下も、乳製品不使用の果実菓子を見て微笑んだ。
「私の事情を覚えていてくださったのですね」
その言葉に、私は深く頭を下げた。
「当然の務めでございます」
昼餐会が終わったあと、私は王宮の小広間へ呼ばれた。
そこには王妃陛下、王太子殿下、グレアム卿、そして父とマリエル、レオンがいた。
父の顔は青ざめている。
マリエルは泣きはらした目で俯き、レオンは落ち着きなく視線を動かしていた。
王妃陛下が口を開く。
「セリーヌ・ローウェル」
「はい」
「本日の対応、見事でした。あなたがいなければ、王太子の体調不良だけでなく、外交問題に発展していた可能性があります」
「恐れ入ります」
「一方で、ローウェル伯爵」
父がびくりと肩を震わせた。
「王宮任命職である献立監査官の職務を、私的に妹へ譲らせようとしたと聞いています」
「そ、それは誤解でございます。私は娘たちの将来を思い――」
「王宮の食卓は、伯爵家の娘の箔付けの場ではありません」
王妃陛下の声は穏やかだった。
だからこそ、恐ろしかった。
「マリエル・ローウェル。あなたは食物禁忌の確認をせず、献立を変更しましたね」
マリエルは震えながら答えた。
「わ、私は、ただ、華やかな方が喜ばれると思って……」
「華やかさは、人の命より重いのですか」
マリエルは泣き崩れた。
王妃陛下の視線が、今度はレオンへ向かう。
「レオン・バルテル子爵令息」
「は、はい」
「あなたはセリーヌの職務を『料理名を写すだけ』と軽んじたそうですね」
レオンは慌てて首を振った。
「い、いえ、それは言葉の綾で……」
私は静かに彼を見た。
「レオン様」
彼はすがるような目をこちらへ向けた。
「セリーヌ、僕は誤解していたんだ。君の仕事があれほど重要だとは知らなかった。婚約の件も、もう一度考え直そう」
「考え直す必要はありません」
私は鞄から書類を取り出した。
「婚約解消届です。あなたは昨日、私よりマリエルの方が王宮向きだとおっしゃいました」
「待ってくれ」
「待ちません」
私は書類を王宮書記官へ渡した。
「食事の席で、危険は待ってくれませんでしたから」
レオンは何も言えなくなった。
王妃陛下は書記官に確認を命じたあと、私へ向き直った。
「セリーヌ。あなたに尋ねます」
「はい」
「王宮厨房局へ戻る意思はありますか」
私はすぐには答えられなかった。
昨日、私は確かに台帳を白紙で提出した。
もう、自分一人で支えるのは限界だと思ったからだ。
「戻ることはできます」
私はゆっくりと言った。
「ですが、一つだけお願いがございます」
「言ってみなさい」
「食物禁忌台帳を、私個人の記憶と管理に頼る形ではなく、王宮厨房局全体で共有できる制度に改めてください。確認担当を複数置き、献立変更には必ず監査印を必要とする仕組みを」
王妃陛下の目が、わずかに和らいだ。
「自分の地位を守る願いではないのですね」
「私一人が覚えている限り、また同じことが起きます」
私は顔を上げた。
「誰か一人が倒れれば終わる仕組みでは、王宮の食卓は守れません」
グレアム卿が深く頷いた。
「私からもお願いいたします。セリーヌ嬢の提案は正しい」
王妃陛下は、静かに微笑んだ。
「よろしい。王宮厨房局に献立安全管理室を新設します。セリーヌ・ローウェル、あなたを初代主任監査官に任じます」
父が息を呑んだ。
マリエルが顔を上げる。
レオンは呆然としていた。
私は深く礼をした。
「謹んで拝命いたします」
数日後。
王宮厨房局には、新しい部屋ができた。
扉には、真新しい札が掛けられている。
――献立安全管理室。
室内には、食物禁忌台帳、薬との相性表、宗教儀礼別の食材一覧、外交賓客の確認記録が整理されていた。
そして、そのすべてを私一人ではなく、複数の監査官で確認する仕組みが整えられた。
私は新しい台帳の最初のページに署名する。
セリーヌ・ローウェル。
初代主任監査官。
隣で、グレアム卿が満足そうに腕を組んでいた。
「君の望んだ形になったな」
「はい」
「寂しいか? 自分だけの台帳ではなくなって」
私は少し考え、それから首を振った。
「いいえ。安心しました」
本当は、ずっと怖かったのだ。
私が見落としたらどうしよう。
私が倒れたらどうしよう。
私がいなければ、誰も分からないのではないか。
でも、もう違う。
王宮の食卓は、私一人の肩ではなく、仕組みで守られる。
「今日の昼食は、何ですか」
グレアム卿が尋ねた。
私は献立表を確認した。
「王太子殿下には青銀草抜きの春野菜スープ。王妃陛下には香辛料控えめの白身魚。公女殿下には乳製品不使用の果実菓子です」
「地味だな」
「安全です」
私がそう答えると、グレアム卿は声を上げて笑った。
窓の外では、正午の鐘が鳴っている。
王宮の食卓に、料理が運ばれていく。
華やかさだけではない。
誰も不安なく食べられること。
誰も倒れず、誰も取り残されず、笑顔で席を立てること。
それが、私の守りたかった昼餐会だ。
もう、料理名を写すだけの女とは呼ばせない。
私は、王宮の食卓に安心を並べる者なのだから。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は「献立表を書くだけ」と軽んじられていた仕事が、実は王宮の食卓と人々の命を守る大切な役目だった、というお話でした。
華やかな料理の裏には、誰が何を食べられないのか、どんな薬と合わないのか、どの国の礼儀に触れるのか――そうした細かな確認があります。
セリーヌは目立たない場所で、そのすべてを支えていました。
「ただの事務仕事」「誰でもできる仕事」と思われているものほど、失われたときに初めて価値が分かるのかもしれません。
セリーヌのその後、王宮厨房局での新しい昼餐会、グレアム卿や王宮側との関係、そしてレオンやマリエルたちの処分なども、機会があれば番外編として書けたらと思っています。
少しでも面白かった、続きが読みたい、セリーヌを応援したいと思っていただけましたら、
評価、ブックマークで応援していただけると、とても励みになります。
感想もいただけましたら嬉しいです。
王宮法務局を舞台にした連載
『王太子に捨てられたのではありません。私が法で婚約を終わらせたのです――元婚約者の私、王宮法務局で第二王子に重用されています』
も更新中です。
記録と法で、自分の人生を取り戻していく物語です。
よろしければ、そちらもお付き合いください。
※追記
初回投稿時、本文が途中で途切れた状態になっておりました。
ご指摘くださった皆さま、ありがとうございます。
現在は完結部分まで追記・修正済みです。
未完成の状態で公開してしまい、読んでくださった方にはご迷惑をおかけしました。
申し訳ありませんでした。




