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85 天敵、其の四

考えろ、……頭痛、腹痛、めまい、発熱、痙攣、悪寒、呼吸困難、構音障害、そして何よりも幻覚。


これらが、呪いや神の力を除いて、人体に現れるとしたら。

カダチとオーウィルが消えたこととは、おそらく無関係。いや、——()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。だって、神の力が暴発状態にあるキジェに、触れられたことで、私達は影響を、受けなかった、のだから。


だとしたら、残る可能性としては、


「毒物の類でしょう」


「……そう、でしょうね。私も、同じ結論に、なり、ました」


「頭痛、腹痛、めまい、発熱、痙攣、悪寒、呼吸困難、構音障害、幻覚。頭が回らなくて、思いつかないので、私からは今はまだ何とも言えません。あなたはどうですか?レディ・リディア」


「――えぇ、分か、った、わ。いえ、これ、は、私が誰より、も、詳しい」


さら、に、舌が、回ら、なくなって、きた。完全、に使い物に、ならなくなる、前に、絶対に、言わなくては、いけないこと、がある。


「ディー、ルス、……かっ、彼女の、胸、ポケット。一つ、だけ、ふ、蓋が取れてある、……もの。あれ、原因……。——奪って」


一番が、その言葉を、聞き、試験管を庇うように、動くより、も速く、ディールスが、走る。意外にも、一番の動きは鈍くて、彼の方が、ずっと、速い。


彼が手を、伸ばした先、胸ポケットの、試験官の一つの蓋が無い。その中には、溢れんばかり、に金属のような光沢を持つ、銀色の液体で、満たされていました。


彼が試験管を奪い取る、その時、意図せず、指にベールが、引っ掛かりました。

白いベール、本来であれば、新婦が祝福される場で、身に着けるそれの下には、顔全体をすっぽりと覆う無骨な黒光りした、兵器の、ようなもの、がありました。まるで、銃をバラバラにして、顔に貼り付けたみたいに、おぞましい、もの。

おそらくは、毒物の侵入を防ぐ役割を、持つのでしょう。


ディールスが、素早く試験管に蓋をする。心なしか、思い込みか、呼吸が楽になった、気がしました。


——あぁ、中は、やはり、


「やっぱり、水銀……、でしたか……」


「水銀中毒、それも蒸気吸入の急性症状か!」


そう、彼が気付いた通り、この症状は水銀中毒。銀も宝石なので、毒とはいえ、水銀についても叩き込まれ、……教えられていたことが、功を奏しました。役立つ機会が、少ない知識ですが、こんな所で役に立ったのなら、覚えておいて良かったです。


……屋外で水銀の蒸気を吸って、中毒症状が出たことに驚きですが、ここは空気がよどんでいる。立地が、環境が、時期が、そうさせたのかもしれませんね。あり得るのか、と言われたら、そうなった、という他ありませんが。


そして、水銀の毒が広まる源泉を閉じたことで、ディディの回復力がようやく上回り、徐々に体の調子が戻ってきました。それでも、彼女の前は脊髄が凍りつくように恐ろしい。


しかし、現状は二対一。向こうの挙動、暗器や毒を使った暗殺を主にしたような戦い方からして、格闘は慣れていない。…………いけるか?


「……どうしました?万策尽きましたか?でしたら、そろそろ話しくらい聞いていただきたい!」


彼の怒声に近い声を聞いて、ようやく気付いた。()()


そうだ。先程まで濃かった頭の霧が、靄が、晴れていく。


彼の言う通り、なぜこれ程まで策が用意されていた?

彼女はこちらが来ることを把握して、その対策も万全だった。確信を持って私達に有効な手段を有していた。


なぜ?なぜそんなにも、こちらについて知っている?


『魔術師』?

違う、彼女は今はこちらに友好的で協力も辞さなかった。事実、こんなにも速く一番を見つけられたのは彼女のお陰だ。


『騎士』?

違う、彼は『魔術師』に付き従っているだけ。


四人の誰か?

 ——絶対に違う。


一番の保有する神の力?

……可能性はあるが低い。最初に投げた宝石こそが彼女が奪った神の力な気がする。


「いや、話は聞かない。もう知っているし、害虫と同じくらいに嫌いな物に耳を傾ける人間は存在しないだろう?」


()()()()()()()()……?


来ることだけでなく、目的も、旅の内容もか……?

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