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52 戦いの火蓋

「さて、俺ぁ舞姫に、モールはオーウィルに用ぉがあるらしい。どいつだ?」


端的な問いが過ぎると言いますか……。戦うと宣言している人の前で出てくる正直な人って居ないと思いますが。


「あぁ、それはおれだ」


……何考えているんですか、あなた。


「……だ、そぉだ。俺ぁ舞姫、モールはそいつ。デイビットは白い奴、スパーツィオの姉貴はカダチとそこの長身の男の足止めだけで十分だ。あ、姉貴、ここの空間切り離しといてくれ」


 ――ディールスに、気付いていない……?


その言葉に答えるようにスパーツィオの目が光ると、辺りの景色が少し歪んで見えるようになりました。結界でしょうか。おそらく脱出は困難。


これは……、相当まずいですよ。


「皆、とりあえず出る方法を、――ゴフッ!」


すごい勢いで殴ら……、殴られたのか?速い。速すぎて何も見えない。

その挙句、結界の端まで吹き飛ばされた。打ち付けられた背中も痛いが、お腹が尋常じゃなく痛い。


くたびれた草を下敷きにして地面に付いた顔に、泥が混じった雪が跳ねていました。


遠くでヘルトが立っている。私がさっきまで居た所に。彼と私の間に一本の抉られた土の道が出来ています。


あぁ、息が出来ない。陸に打ち付けられた魚の気分です。

目の前がチカチカするし、頭がくらくらする。血の混じった唾液が口の端から垂れてる。よく見ると手形の残ったお腹が気味の悪い赤紫に変色してる。この色の宝石の名前、何でしたっけ……?


「師匠、こんな可愛い子の相手だけで良いんですかぁ⁉いやぁ、今日は運が良い」


「デイビット、お前さん何言ってんだ。そいつは男だし、俺が見るにディディだが肉体は二十代の後半くれぇだ」


「…………はぁ?……チィッ。坊主、悪ぃがくたばってくれ」


遠くで素っ頓狂な声を上げ、舌打ちをした挙句、手のひらをくるりと変えたデイビット。この人はおそらく、博打、酒、葉巻、女が大好物ですね。よく居ますよ、そういう方。この国の路地裏に。


いや、キジェの実年齢も驚きですが。四百年前の時点で既に二十代後半だったということですか?

私よりも年下だと思って弟のように接してきた子が人生の大先輩だった、なんてどんな顔すれば良いんですか。


あぁ、いえ、そんなこと言ってる場合じゃない。


向こうが油断しているとはいえ、これは非常にまずい。明らかな戦力差のことではなく、()()()()()()()()()()


いえ、武神の相手をしながら仲間を助けられると思う程、おごってはいませんが。せめて連係や敵を変えるぐらいはしたかった。


霞んだ瞳で仲間の方を見る。

ディールスはカダチを片腕で軽く抱き上げ、その周りには様々な色の光が舞っています。機動力を彼が、遠距離からの攻撃を彼女が担う戦闘のスタイルとして最も理想的な形。対峙しているのがその光の倍の数を纏った猫一匹。超次元的な戦闘は既に火蓋が切られたようですが、劣勢に見えます。


一方、キジェはデイビットと正面からにらみ合い。デイビットはキジェの先制を待っていますが、キジェは果たして戦えるのでしょうか。武器を持っているような気配も彼はありません。

正直彼のことが一番心配です。


……あぁ、ウィリアムは何もしていませんね。モールも動きがない。ただ、緊迫した空気の中でウィリアムがモールを警戒しているだけ。モールは何を考えているのか微塵も分かりませんが、彼のことを歯牙にもかけていない。

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