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3 神話と本

        *  *  *


幼い頃、教会の大人にバレないように世界創世記を読むのが好きだった。

この村は小さいが世界のどの村にも教会があり、あの本があることの例外にはならない。


本は高価なものだが「教会に有って家畜小屋に無い物は世界創世記」という言葉、言うなればあの本のない教会は家畜小屋と何も変わらないほど価値がないという意味の通り、あの本を置いていない教会はおそらく三国にも、四百年前に滅亡した帝国にも存在しないだろう。


「あの方」でアイシェル様のことと分かるように「あの本」で世界創世記だと伝わる。


七百年前からある作者の分からないユニの花のマークのあの本はそれ程世界で重視されている。

しかし、幼いリディアはその本がどれだけ大切なものだったのか、全く知らなかった。


あの方のことをもっと知りたくて、知るのが楽しくて、教会の大人の「あの本は贈名祭の日だけ読み聞かせる」言いつけを破り、隙を見て読んでいた。



例えば、最初の話。

あの方が初めて創った生き物は色鮮やかな蒼いユニの花。その時からあの方の象徴はユニの花となった。


例えば、神々の話。

一番目に封印の女神 カシェ様、二番目に時の神 ライカス様、三番目に歴史の神 イストワール様。四番目に秩序の神 オルドル様。

他にも医学の神、弓の女神、豊穣の神、知恵の神など、多くの神を創った。彼女達は今もあの方を支え続けている。


例えば、ディディの話。

地域によっては悪魔や魔人と呼ばれる神と対極にある存在。方法は書いていないが、不老不死の神を殺した人類の汚点、世界の罪人。

神を殺した後、奴らは神から力を奪い、完全な不老不死になるらしい。

現在、ディディは世界のどこかに封印されている、カシェ様の手によって。


ディディの姿は瞳に映る独特の紋様、黒と白を基調とした教会の大人のような服で神を殺した道具を持ち歩いていると言われている。


しかし、ディディ最大の特徴は鏡や水面に映った姿が自分が殺した神の御姿であることだ。

それがどの家の玄関にも手鏡が置いてある由縁らしい。


しかし、幼い時からリディアは鏡を見ることがあまり好きではなかったため、教会の彼女の私物には鏡が無かった。

そもそも、教会も教会の大人も好きではなかった。


日によって孤児への態度が変わる教会の大人は優しい日と優しくない日があった。

優しい日には私の人生に一生縁の無い宝石のことを教えてくれる、叩かれないだけマシだった。



バンッ、と教会の扉が開き、幼い少女の肩は恐怖と驚きで跳ねる。

教会の大人がリディアの腕を乱暴に掴み、引っ張る。今日は優しくない日らしい。いや、私が優しくない日にしてしまった。


爪と指が食い込む痛さとこれから起こることへの恐怖で泣いて謝る彼女の謝罪は受け入れられず、教会の反省室へと連れていかれた。


        *  *  *

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