クリスタル・ロード 0096 打倒、黒信徒!
自分の部屋で一人、杖を前にして考えているが遺跡でのあの信徒の使った技?
あれは何だったのか?
杖に助けられなければ、やられていただろう。
幻術なのか、実際の毒液だったのだろうか、またあんなのが出てきたらどうする?
グラナダさんに聞けたら良かったが、忙しそうだったから無理だったし。
何とか対処を考えないと。
あの液を浴びないためにはどうすればいいのか?
体が溶けるし、足元が危うくなるし、目をやられるとなおまずい。
むむむむむ・・・・。
何とか防ぐ方法は? ん?
防ぐ?
防御? シールド? あれ?
あの時フレアが居たんだからシールドを張れたはずでは?
・・・・・・・・・
液体は防げないのか? そんな事無いよな?
フレアもだけど、なぜ自分も考えなかったのだろう。
なぜだろう? 変だ、なんでだ? ωωωωωωωωωωωωωωωωむむ。
だんだんイライラしてきた、外で少し頭を冷やそう。
月が出ている、満月だ。
少し落ち着いた、月明かりで夜なのに十分明るい。
畑の周りをゆっくりと歩くことにしよう。
薬草や野菜が良く育ち、葉が青々と茂っている。
薬草が増産出来ているし、これなら畑を広げても大丈夫だな。
金が入ったし、もっと増やすことにしよう。
「あれ? ネビィ」
後ろから声が聞こえた、振り向くとミミー・ムーアだ。
「どうしたの、こんな所で?」
髪が濡れて光っているので風呂上がりのようだ。
「遺跡での事を考えていて、厄介な敵をどうしようかとね・・・」
「敵? 変な宗教の? でも倒したんだよね」
「杖が倒してくれたけど、自分で出来るようにならないと杖無しならかなわないし」
「そりゃそうか」
ムーアは隣にしゃがんで薬草を眺める。
「あの黒い液を撒くのは呪術に近いんだろうか?」
「体が溶ける液だっけ? 呪術だと間接的な事が主なんだけどね、精神とか」
「精神? 幻覚や判断を鈍らせたり・・かな?」
「そうそう、迷わせたり、絶望させたりで自滅させるなんてね」
「そうか、溶けたようで実はそれほどでなかったり?」
「そっちの方が近いね、火傷程度でそう思わせるとか 断言はできないけど」
「それならシールドを張ることを忘れさせるのもあり、かな?」
「そうだね、気力を削ぐのも術だし」
なるほどな、精神面の対処か、それは考えていなかったな。
体を鍛えるのはさんざんやったけど、精神的な術か・・・・・。
「呪術、学んでみる?」
「え?!」
「私が教えようか?」
呪術を教わる? それは・・・いいかもな?
「私には向かなかったけど、さんざん師匠に仕込まれたからね、教えられるよ」
苦笑しながら薬草の花をつついている。
「師匠にはかなわないけど、あの人忙しいからね・・私なら」
「そうか、じゃあ頼めるかな?」
「うん、じゃあ明日からね」
「あれ? あんた達何してるの?」
ジョーイとフレアが風呂から出たようだ、二人とも湯気が上がっている。
「お風呂、空きましたよ~ 冷めないうちに!」
「じゃあ自分も」
明日から打倒! 黒信徒だな、今度は自分の手で・・・。
「じゃあ、明日からよろしく! ムーアさん」
「あ、ミミーって呼んでよ」
「ミミーさん」
「よろしい」
風呂へ向かっていると後ろから「何々? 何するの」と声が聞こえる。
「修行よ、修行! ネビィがもっと強くなる為!」
「おお~~」
「頑張り屋さんですね~~」
そうなのだ、頑張らねば!
取りあえず風呂に浸かって疲れを落として寝よう。
この風呂ももっと大きくしよう! みんな風呂が好きだし人が増えたらなおさら必要だろう、薬草湯も作ろうか? 泳げる広さも良いな。
サウナはどうだろうか? 後で皆の希望を聞こう。
その晩は長めに風呂に入って、朝までぐっすりと寝た。
杖が助けてくれたのは幸運だった。
「ありがとうな」




