クリスタル・ロード 0092 遂に見つけた・・・・
「迷ったぞ!」
「ああ、認めたくなかったのに・・・」
「認めんでどうする」
「どうしましょうか、ねえ」
この人達は見てるとホント面白いな、いつもこうなんだろうか?
通路をゆっくり進んでいただけなのに、いつの間にか迷っていたとは。
これも結界なんだろうかと思うが・・どうすればいいのだろう。
辺りの様子は変わっていないように思う、立派な造りで傷んだ様子は無い。
罠にしては危険が感じられないので、どんな意図なのか不明だが。
このまま進んで良いのだろうか?
「私が調べてこようか?」
斥候役のジョーイが言うが、さっきから何か引っかかることがある。
「待ってください」
引っかかる事、何だっけか? う~ん
確か、少し前に考えていた事は?
そうだ、杖の事だった、 宝に関して・・杖に。
宝の場所を教えてくれと思ったんだった。
「自分が行きます、一人で!」
皆が驚いて見つめるが杖の事を話すと一応納得したようだ。
「つまり、その杖が導いたと? そう言うのか?」
「たぶん」
確証は無いのでそう言ったし、他の人を危険に晒すのは忍びないので一人で行くことにしようと思った。
「私も行きたいな~、 だめ?」
「こちらが襲撃されるのも有り得るので・・人が減るのは」
「そうだな、それはまずい」
「では・・行ってきます」
話がまとまったので、杖を抱えて一人進んで行く。
杖から力が伝わってくるのでこれでいいはずだ、『導いてくれよ』と呼びかける。
するとまた妙な感じがして通路の様子が変わった。
振り向くと4人がいない、辺りにも。
やはりこの杖の力だった。
このまま真っすぐでいいのだろうか? そう思いながら歩く。
するとまた様子が変わり、違う場所のようだ・・・曲がる必要はないか?
同様に真っすぐ歩いていくとまた変わるとしばらく進んで行くと、大きなドアが正面に現れた。
ここが終点か?
大きくて丈夫そうなドアを開け‥重い! 一人ではしんどいほど重いがゆっくりと開いていく。
そして言葉を・・失った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
宝の山である。
銀貨金貨、白金貨、延べ棒、宝玉、その他宝物類、整然と積まれた部屋。
広い部屋にぎっしりと、これほどの宝を置いていったのか?
今までもそう思ったが、ここはそれどころではない。
見ているだけで息が止まりそうなほどある。
これは・・・大国の国家予算・・それ以上? 大国の全資産規模だろうか?
これを持ち帰ると大戦争が起きそうなレベルだ。
どうする? 領主に扱えるような額では無いぞ。
この杖の力や知識もだが、これを知らせて良いのか?
あの4人もだが・・・・これが漏れると命を狙われるな? 確実に。
拷問してでも吐かせようとする額だろうな?
う~~~~~~~む これはどうするか?
杖に聞いてもそこまでは教えてくれないな、これは政治的、経済的な問題だし。
主の望みに応えた程度だろう。
宝の間を歩きながら考える、それにしても凄い量の金貨、宝玉だ。
まばゆいばかりとはこの事、美しく荘厳である。
溜息が出てくる・・・・・・これをどう扱うべきか?
やはり自分の胸にしまって、と言っても懐に入れるわけではない!
領地、国の将来に使うために取っておくべきだろう。
自分の領地ではないし、治めるわけではないが皆を守るためにだ。
いずれ必要になるときが来るだろう。
あれ? 、 ・・・でも杖に導かれて、「何も無かった」では不自然か?
う~~~ん、 少しは持ち帰るべきか?
どの程度がいいだろう? 何が良いか?
それらしく見える成果は・・・どんなのが?
辺りを見ると、小さめの宝箱が有った。
開けると宝石の入った小箱とその他は金貨が8割、2割が白金貨だ。
これなら丁度良いか?
両手で抱える程度の重さと大きさだ。
よし、これにしよう!
見た目も良いし、皆喜ぶだろう、領主も。
杖に念じる、では戻してくれ。
そして目を閉じた。
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