クリスタル・ロード 0080 ショーの始まり
でかい、相手かでかい。
どうすればあんなのを倒せるのか!?
「とりあえず俺達に引き付けて、フレアから魔法攻撃でどうだ?」
「いいだろう、左右に分かれて攪乱と行こう」
レフが言ってグロフが応じる、息があっているのはさすがにチームだ。
ジョーイはフィールドの小高い所へ走り、そこから射るつもりだろう。
「ライトニング! 」
フレアが唱えるとでかい敵に雷がドーンと落ちた。
おおお、広い所だと遠慮なく打てるようだ、なかなか壮観だ。
しかし少しはダメージがあるようだが、倒れそうにない。
レフとグロフは接近して攻撃するつもりか? 挟みこむように向かっていくが
踏まれないだろうか?
おっと、見てるまに敵がフレアに向かって来た。
ジョーイが矢を射るが刺さるだけで動じないな?
フレアのそばの地面がはじけるように土煙が上がった。
攻撃されたか? 敵の触手?のような部分から出たのか?
また、近くではじけた。
「こっちへ!」
フレアの手を引いて走る、 フィールドの中にある建物のような場所へ。
闘技場ならあんなものが有るのは、罠かと思うが演出なのか?
それの入り口まで走って中を伺うが、階段が隅にあり、仕切り程度の小さな壁があるだけでカラである。
フレアを入れて入り口に結界用の封を貼る。
あれに効果があるかわからないが、やっておこう。
「ここから魔法を撃ってください」
敵はこちらを見失ったか、戸惑っているような動きだ。
レフ達はあの体を登ろうとしているのか、足に取り付いて剣を突き刺している。
「自分も行きますので、あとよろしく!」
走って近寄ると、二人はやはり登り始めている。
「何をするんですか~ ?」
「こいつの急所があるんじゃないかと思ってなー」
「俺は無謀じゃないかと思うがな」
そう言いながらもグロフも登っていくが、これだとフレアが攻撃できないのでは?
このパーティはいつもこうなのだろうか?
以前モンスターに追われていた時も思ったが、計画より衝動で動くチームのようだ。
しかし足元を登っていくので、ジョーイは頭を狙い、フレアは炎を触手に向けて攻撃している。
足元から気をそらす為か、一応考えているということだな。
自分も足に取り付き、剣を突き立てながら登っていくが、意外に登りやすい。
ここは闘技場で、周りには観客席があり本来は客が見ているだろうから、登りやすいのも演出だろうか。
あっさりとやられるより、反撃し易く作ってあるのでは?
これはきっとショーなのだろう。
ならば倒す方法もあるはず、小さい者にも出来るように。
そう思って急いで登っていくが、違う考えも浮かんだ。
これを倒してしまっていいのだろうか?
倒せば、ショーは終了だが、これはもう使えないのでは?
代わりを造ることなど出来るのか? もう古代人はいない。
何処へ行ってしまったのか、もういないなら同じ物はできないのではないか?
これほどの生物? からくり? を失っていいのか?
これも立派な宝のはずだ。
生け捕りにする方法が何かないか? 何か? 何か方法は?!
するとジョーイの射た矢がそれて、観客席に流れ突き刺さった。
刺さった? 観客席に?
ここは観客席を保護する仕組みがないのか?
あるいはその機能が働いていないのかもしれない、故障か?
レフ達は中ほどまで登り、剣を突き刺して急所を探しているようだ。
それなら。
「フレアさん、こいつの足元を攻撃して、ぐらつかせてください!」
思い切り叫んで下を指さすと、聞こえたようだ。
手を振って応えている。
自分は急いで更に上り、なるべく高い所へ、レフ達を追い越して上へ。
そして足元に魔法が当たり始め、次々に魔法が放たれる。
するとでかい体がゆっくりと傾き始めた。
もっと上へ登っておく、観客席に届くように!
レフ達は何だなんだと慌てている。
「しっかり掴まれ~、 落ちるなー」
叫んで自分もしがみ付く、更に巨体が傾いていき、観客席に倒れ掛かる。
そうだ、これでいい!
客席の手すりに当たって大きな衝撃が来ると、思い切り観客席に向かって飛んだ。
届く! 狙い通りだ!
席に落ちる瞬間、やっと覚えた風魔法で衝撃を弱める。
「ぐっ」
何とか着地、観客席に入れた。
二人に向かってそこから叫んだ。
「これを止める仕掛けがあるはず、探してきます、もう少し持ちこたえて下さい!」
出口らしき所へ走る、この近くに制御室があるはず、ここを見渡せるところに。
ショーなら、人が扱えるようになっているはずだ。
どこだ、どこだ?
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