クリスタル・ロード 0079 これ、まずい?
「大当たり? ホントに!?」
「ほれ、こんなコインは今まで出て無いし、特別みたいだぞ」
そばで見ると、確かに・・これは・・・報奨メダルか?
教会で見えたイメージのあれだろうか?
これが有れば能力をアップ出来るのか、やっと出たか。
メダルを受け取ってよく見ると、青白く内側から光っているようだ。
離れた所で涙目のジョーイと薄目のフレアがじっとりと見つめている。
え? なにかな ?
「「なんで私達には出ないのよ~ !!」」
ジョーイとフレアは台を叩きだして叫んだ。
「おい、お前ら叩くなって! まずいぞ」
しかもフレアは詠唱まで始めた、 何をする気なんだか !
すると辺りにジャラン・ジャランと鐘のような音が響いて入り口の戸が閉じ始めた。
「やばい! 逃げるぞ!!」
レフがジョーイを、グロフがフレアを抱えて入り口に向かって走る。
慌てて自分も走り出した。
かろうじて通路に転がり出ると、ズシーンと戸が閉まった。
「ふう」
「おい、安心するのは早いぞ 他の所も動いてる」
グロフが指さす通路の先で戸が閉じていき、別の通路が開いているようだ。
しかも後ろの通路でも動きがあって大型の魔物がのっそりと出て来た。
「「「あ!」」」
3人で声を上げて、慌てて走り出す フレア達は抱えられたままだ。
しかし先の通路でズシン、 ズズズ・・ と動く音がする。
通路がどんどん変更されているのではなかろうか?
つまり、誘導されているようだが、止まるわけにもいかない。
「おいおい、このまま進んでいいのか?」
レフが同様に考えているらしい。
「しかし後ろのはかなり強そうだし、もっと広い所でないと魔法の使い処がな」
そうか、フレアの魔法は広い場所の方がいいのか。
そうして魔物に追われて5分ほど走った先に、広い場所があった。
広い、今までとだいぶ違う広さで端まで100m以上あるだろうか、高さは数十m?
全体は円形で、建物らしき物や、斜面もあるが闘技場の様でもある。
なんだかいやな予感がする。
後ろからは先ほどからの魔物が入って来て、戸が閉じられた。
ジョーイたちが下ろされて身構える。
「あれ一体ならなんとかなるがな?」
「一体で済みますかね?」
ついそう聞いてしまう。
「済まないだろうな・・・?」
「これ、もしかして私たちのせい?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
黙って見つめ合っていると、今度は前方で音が響いて扉が開いている。
そこから大きな何かが出てきていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれは何だ?」
何と形容したらいいのだろうか、3本足の、木のような、魔物のような、機械のような妙な物が現れたのだ、しかも大きい! 高さ10mほどだろうか?
「逃げた方がよくない?」
「どこからですか?」
「通路は全部閉じているようだが・・」
そのようだし、巨体の下には小さな魔物がいて、こちらへ向かって来る。
後ろからもだ。
「とりあえず小さいのだけでも倒さないと」
剣を抜いて出ると、前方の十数頭が全て走り出し迫る。
しかし剣はこの遺跡で見つけた特別製、切れ味は保証付きだ。
最初に飛びかかって来た虎のような魔物の頭をヨコ切りで落とした。
ドスっと床に落ちた光景で、他の魔物がひるんでいる。
「後ろの魔物を頼みます!」
そう叫んで前方の物を次々に切り落としていく。
普通の剣とはまるで違い、血のりで切れ味が落ちたりしない。
丈夫そうな魔物の体が、あっさりと俵のように切れていく。
骨ももちろんあるが、刃が止まる感じが無い。
少し重く感じる程度で、体を突き抜けて滑り出るのが嘘のようだ。
現実の感じが無いが、魔物は次々に倒れていく。
残り後二体を一太刀で真っ二つにできた。
ゆっくりと息を吐く、腕が疲れた感じは無いしまだまだ切れそうだ。
後ろではレフ達が大きめの魔物、トカゲに牙を生やしたようなのを相手に切り付けている。
こちらでも新しい武器が次々に傷を増やし、矢が刺さっていく。
すぐに魔物は倒れて動かなくなった。
「「「ふう!」」」
3人が息をついて手を止めた。
魔物を仕留めて一安心だが、これで終わりではない。
フレアは既に詠唱を始めているが、最後の相手が問題だった。
かなり大きいのがゆっくりとこちらに向かって来る。
考える時間が少しありそうなのが幸いだが、これはどう対処すればいいのだろう?
皆そう思っているのか、顔を見合わせている。




