クリスタル・ロード 0077 まだまだ出てくる?
ドンドンと進んで行くが、後は大したものは無い。
と、言っても見た目の事で、素材や中身で言うとどれほどの価値が有るのかよく調べないとわからないだろう。
何に使うのかわからないものもあるから、時間が欲しい所だ。
「ねえねえ、これ便利そうと思わない?」
「なんですか? それ」
ジョーイが何やら見つけたようだ。
「これ軽く押しただけで動くよ、馬車の荷台みたいだけど」
大きめの箱のようなそれは車輪が見当たらないが、滑るように動く。
「手を離すと止まるの、ほら!」
確かに放すとピタリと止まっていて、車輪止めをしたかのようだ。
「どんなしくみなんでしょうね?」
「もう仕組みを考えるのはよそう、きりが無え」
それはそうか、とにかく荷を運ぶのに都合がよい大きなものだ。
その区画に4台あるので持っていくことにする。
「これが有れば、今回だけでかなり運べますね」
「階段が問題だけどな、それは後で考えるとしてとにかく使うとするか」
次の区画では上層で見たような武器庫があった。
これは衛士の詰め所のようなところか、槍や剣に武具がそろっているし上層より少しいい物に見える。
自分の持っている変わった色の剣や槍も少しある。
「これ、どうですか?」
「オリハルコンやミスリルとも違うが、切れ味がいいんだよな?」
「槍もあるのがありがたい、貰っていこう」
これで3人とも戦力アップになった。
「あ~、矢もあった~!」
ロッカーを開けていたジョーイが嬉しそうに言って、取り出した。
「えへへ~ 、全部貰っていこう、やったーっ」
「200本はありますね、全部特別な矢じりですか」
皆で特別製はどんどん積み込んでいく、これは領主も喜びそうだ。
衛士達の戦力も上がるだろう。
防具の良さそうな物も積んでおこう。
「魔法用は無いかしらね?」
フレアが戸棚を探しているが、そういえば今まで魔法用は見ていない。
こちらは魔法を使っていないのか? 道具が違うのか?
そう思ってよく見ると篭手の様で短い物や、足環、胸当ての様で
妙に薄い物があり、もしかしてと思い当たった。
「フレアさん、これ付けてみてください」
篭手を渡すと、首をかしげながらも黙って手首を通している。
「ロウソク!」
小さな声で言うと初めぽっと火が灯るが、次の瞬間青白い炎がシュボッ と、伸びて天井近くまで上がった。
「あら! びっくり!」
「やっぱり、これは防具じゃなくて魔法具なんですよ、気付かなかったけど」
衛士用だからか、古代文明だからなのか装飾の少ない物だ。
「じゃ、こちらのもかしら、全部つけちゃおうかな?」
全部はさすがに重いのではと言おうとしたが、フレアは構わず付けていく。
「どうかしら?」
どうと聞かれても、装飾の少なさで拳闘士のように見えるが、そうは言わない方がいいだろう。
「強そうだよ」
ジョーイが笑って代わりに言ってくれたが、フレアは少し不満そうだ。
「でも色気に乏しいですわね、優雅でもないし」
「兵隊用だからだろうな、下層ならもっといい物があるんじゃないか?」
「そうですね、それに期待しましょう」
そう言ってツカツカと歩いていくが、心なしか振る舞いも強そうな気がする。
もしかすると体力や敏捷性も上がっているのではないだろうか?
「あ~ フレア、パワーが上がっているようだからちゃんと加減してよ!」
「そうだな、普段のようにぶっ放されたらかなわん」
「わかっていますわよ、失礼ですわ!」
荷物が増えたが、便利な台車のおかげで楽に運べている。
重さに関係ないかのように滑るように進んで行く、これも持ち帰りたいぐらいだ。
進んで行くと、生地はシルクのようで輝く物や宝石のようなカップもあり女性達が喜んで積んでいる、もっといい物がこの先あるやもと思うがお構いなしだ。
「これが有るからだいぶ持って帰れるよね~」
「そうですね~、 売るより自分が使いたいですしね~」
レフとグロフは苦笑いで好きにさせている、女の好みには口出ししないようだ。
そこから少し進むと辺りの雰囲気が一変した。
何だろうか、華やかというか、きらびやかというか目立つ装飾の区画で色とりどりの
床や柱となっているのが、あることを連想させた。
「これは・・・もしや?」
「そうみたいだな、たぶんそうだろう」
歓楽街か? 自分もそうじゃないかと思ったが男達は同意のようだ。
しかしここに女性は控えていない。
それに妙な道具がずらりと並んでいて、豪華絢爛である。
これは賭博場だろう。
そうなると古代の金貨もあるのでは? あるいはもっと良い物が?
皆の様子を伺うと、全員の顔が輝いていた。




