クリスタル・ロード 0074 お宝が次々に現る
「なんだ、何があった?」
「見てこれ、綺麗でしょ」
ジョーイがそう言って持っている物は水晶の置物の様で青白く光っていて、ランプのようであり、奥は紫や赤の小さな光がある。
置物だろうか? どんな仕組みで光っているのかわからない。
「魔力で光っているのかしら? でもずっと光っているわけは・・」
フレアでもわからない仕組みか?
「ランプの代わりになるなら売れるんじゃない?」
「そうですね、これは珍しいし・・・」
「金銀や宝石じゃないが、これも宝か? 幸先良いな」
「ならこの階層を先に探すべきか」
「じゃあ、自分がマッピングをしますよ」
宝があった場所も書いておくと、後で参考になるかもと思う。
区画の傾向がわかるのでは?
更に進んでいくと、小さめの部屋が両側にありそれぞれに少しずつ物がある。
何に使うかわからないものもあるが、置物なのか、日用品か?
「なんだろね、これ?」
ジョーイとフレアが触りながら話しているが、細長い石を並べたようなものだ。
石は少しずつ長さが違い、端に行くほど短くなっている。
そばにある棒で叩くと、ポーンといい音がした。
「あら、もしかして・・」
フレアが、順に叩くと音が変わって、徐々に高くなる。
「え? 楽器? これ?」
「いい音だし、そうみたいですよ ♪」
適当に叩いてるようだが、いい音で鳴っているので曲ならなお良いだろう。
「これも売れそう、ねえ?」
「でも荷物になりそうですね、後で下の階層も調べるとなると」
「じゃあ、取りあえず記録しておいて、後で回収することにしては?」
「そうだな、それがいいだろう」
しかしそう話していたら、今までただのツタだと思っていたのが近くで動き出した。
「おい! 離れろ!!」
皆が慌てて距離を取ると探るように蔓を伸ばしてくる。
音に反応したようで、黙っていると引っ込んでいく。
「焼きますか? 火炎魔法で」
「だめ~ お宝まで焼いちゃう !」
「そうだな、取りあえずほっとこう、回収は後だしな」
「ツルモンスターがいる とメモしときますよ」
「でも置いといて他のパーティに取られないかな?」
「この調子なら他の所も色々見つけてるだろうから、そんな余裕ないだろ」
「そうですね」
それからもハープのような楽器や、カップや食器などが見つかるが形はともかく
素材が石や金属の様で違う物が使われ、それだけ価値が有りそうだ。
しかしモンスターも、さりげなく存在しクッションの様で近づくと動き出すなど油断がならない。
「みんな、夢中で探して油断するなよ、ここらの奴は弱い方だがな」
仕留めながらレフが言う、彼も危うくやられそうだったが。
「でもモンスターも珍しい種で、素材が売れそうですね」
「そうだが今回は荷物が多そうだし、後回しだな」
隣の区画には布製品が少しあって、それも不思議な素材のものだ。
「うわあ~、これ見て、フカフカだよ」
「あらホント、暖かそうですね、艶もいいし毛皮のようだけど・・」
毛布の様で繋ぎ目や縫い目が無く、ムラの無い色で手触りが良い。
これも不思議な素材だ。
「少しホコリがかかっているけど綺麗だね、モンスターがいるのに荒れてないよ」
「全くだ、妙にどこもきれいだな、入り口以外崩れて無いし」
「入り口は爆破したせいだからな、これは建築技術も優れているな、素材もだが」
「これほどの物を残して住人はどこへ行ったんだろね、滅びたのかな?」
「死体も有りませんしね、引っ越したのかしら?」
戦争でも流行り病でもないか、何がこれほどの文明を滅ぼしたのか?
その原因もぜひ知りたいところだが、そこまで調べる余裕はないか。
この件もメモしておこう。
その後に見つけた家具や日用品も形は今の物に似ているが、素材が不明である。
金属の様で触ると温かいような、石の様で軽い物や、木の様で丈夫な物など不思議な物が次々に現れる。
「本当に宝の山だね、領主様が急がせるだけはあるよ」
「しかし、手つかずのようなのが不思議だな、誰も入っていないだろここ」
そりゃ、お宝は口実だし当然だけど、本当に宝があるとはね・・
これは領主もさぞ驚くだろうな。
そんなことを考えていたら、また魔物が現れた。
子牛程度のサイズで、甲羅におおわれた丈夫そうなのが3頭、おとなしそうだがじっとこちらを睨んでいる。
「おっと、みんな戦闘態勢だ、少し手ごわそうだぞ!」
皆武器を構えて備える、 準備の余裕はあったし、おとなしそうだしで問題ないと思ったが手ごわい相手なのは本当だった。
それも、少しではなく。




