クリスタル・ロード 0068 二人で極秘調査 (違法?)
「捕まえたはいいが、まるで吐かん!」
父さんは帰宅早々そう言って、疲れたように椅子に沈んだ。
「あの賊の一人ですか? あれは盗賊団とか秘密結社なんですか」
「それもわからんな、あの図形の意味も不明だし、魔法か宗教なのかもな」
「失踪した人も?」
「それも不明だ、自宅の内外を探したが、手掛かりまるで無しだな、家を壊せばあるいはと思うんだが・・・」
「壊すのは特別な許可がいるんですよね」
父さんはぐったりとしている。
「お風呂に入ってらっしゃい」
母さんに押されてだるそうに歩いていく。
う~~ん、 ここはあの人に何とかしてほしい・・・・・。
失踪した人達の為にもだな。
「・・・・・・・・・・」
「呼んだ?」
「わっ!」
ムーアさんがいきなり目の前にいた。
家の中に!
「何でここにいるんですか!」
「だって呼ばれた気がしたから」
などと当然のような顔をしている。
う~~ん、仕方ないと、丁度母さんがいないので手短に状況を話すと、妖しげな顔でムーアさんが言った。
「じゃあ、後で行ってみる? その家!」
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夜中に家を抜け出して、その家に向かう。
簡易的な結界を張ってあるので見つかりにくいそうだが、ランプやくぎ抜きなどを持っているので捕まるとまずい状況だ。
なので街の反対側のあの家へ、急いで向かう。
20分ほどでたどり着き、潜り込んでほっと一息ついた。
真っ暗だが、やっと落ち着いて周りを見ると目が慣れてきて、屋内が見える。
あの図形は回収されて無くなっているが、他はそのままのようだ。
「ムーアさん、何か感じますか?」
「うん、ちょっと静かにしててね・・・・」
ランプを取り出し床に置き、ハンカチを掛けて光が広がらないように点けて、床だけ照らされる程度にしておくと、彼女は目をつぶって集中している。
夜中なので辺りは静まり返り、人の気配は無い。
何かを探るようにやや手を伸ばし、ゆっくりと体を回し手を周囲に向けている。
壁から天井へ回りながらむけ、そして次は床へ。
「ん?」
反応があった・・のか? 眉をしかめ手を止めて首を傾げた。
「ん、ん~~ ? ん?」
空中をなでるように、動かしていると、はあ~ と、息をつく。
「隣の部屋にいるね、床下・だ」
床下! それは埋められているのだろうかとまず思った。
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隣の部屋へすぐ向かって床を調べると、わずかに傷の付いたところがあり、その下に気配があるという。
くぎ抜きを取り出して床を剥がすことにしたが、音を立てないよう慎重に、だ。
ゆっくり、かつ傷をつけないように釘を緩め、板を剥がして床下を照らす。
そこには横たえられていた何かが見えた。
「やっぱり・・か!」
ムーアさんが、絞り出すように言って頭に手を当て、苦し気だ。
どうするかを悩んでいるようだ。
「運び出しますか?、それとももう死んでいますか・・・?」
「う~~~~~ん ・・・・・・、 手を出していいのかどうか・・・」
手を出すとは? 何か問題でも? ???
儀式? 呪術に関することだろうか?
「でも、ほっておけば、死んでしまうか・・・・?」
死んでしまう? ではまだ生きているのか?
床板を上げた隙間から、彼女は腕を入れてゆっくりと伸ばし触れようとしているのか
肩まで床下に入っていく。
そして指先が触れた頃、部屋全体がぶるっと震えたかのように見えた。
実際に動いたわけではないが、そんな妙な感じだった。
「解けた・・かな?」
そう言って床から腕を抜くと、ほうっと息を吐き床に寝転んだ。
床下を見るとさっきまで黒ずんだ塊の様だった物が、今は人の姿となり青白くはあるがゆっくりと呼吸をしている。
「生き・てる!」
つい声に出してしまったが、これからどうすべきか?
本来床や壁を剥がすのは特別な許可がいるらしいのだが、さて、どうする?
夜中に侵入するなども、言語道断だろう。
・・・・・・・・・・・・
これは、解決したのか、してないのか、 それが問題だ。
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