クリスタル・ロード 0067 謎の儀式
衛士が4人、現場に到着し一人が被害者を介抱し運んで行き、部屋の毒煙が抜けるのを待って調べ始めた。
壁や床に貼られた図形が目を引くが、これは一体なんだろう。
衛士達なら何かわかるかと思ていたが・・・・。
「これは何だ?」
「魔法陣か? こんな図形は見た事無いな」
そんなことを言っているので期待できそうもない。
こんなものがわかりそうな人は・・ムーアさんか? あの妙なアイテム屋なら?
そう思ったのでその図をメモしておくことにした。
「さて、じゃあ話を聞こうか」
出来れば図を描き終わってからにしてほしいが、衛士に話しかけられ仕方ないか。
「賊は3人の男、中背が2人、大きいのが一人、覆面で顔は見えずですよ」
「一人は怪我したようだな、血痕が外へ続いてる」
血痕? ナイフが当たったのか?
「じゃあ早く追えば?!、捕まえられるんじゃ?」
「外の一人がもう行ったよ、大丈夫!」
「ここの家主が見つかりませんか? 倒れていた人は友人だそうで・・」
「ああ、君は衛士隊の協力者だな、隊長の息子さんとか?」
「そうです」
「わかった、後はこちらで調べるから報告書を出してくれ、君がここへ来るまでの事を纒てな」
そう言ったら衛士達は家を調べるために離れて行った。
家主はまた失踪か? あの3人組が連れだしたのか? しかしどこへ何の為に?
取りあえず図形のメモを続けて描いておく。
そしてこの部屋を一通り調べよう。
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帰宅して考えたが、やはり図形に関してはムーアさんに聞くべきだろう。
あの人を信用して良いのかという面もあるが、わからないままなのは問題なので。
「と、いう事で、見覚え有りますか?」
こっそりとあの図を見せる。
「え!? これ、どこで?」
「衛士間の秘密なんですが、ある事件現場で見つかった物で・・・」
「ん、んん~~~~」
唸ったまま、図を凝視して固まっている。
メモをめくっていくと、前のめりになって食いついていき、目を見開く。
「これは・・・ 古代呪術だね、でもこれを使える人なんて・・・いるの?」
「古代・呪術?」
「一部なら、歴史書に出て来たけど、これほどの数は初めて見たよ」
「これが部屋中に貼ってありましたが、意味は分かりますか?」
「う~~~ん 、たぶん何らかの儀式だね、でもこれだけではダメなはず・・」
「ダメとは?」
「柱、 つまり生贄が必要だと思うけど、何かあった?」
「その部屋の主が行方不明で」
そう言うと、彼女の顔色が変わった。
「人柱・・・・・・か!」
行方不明者がこの街で続いていると伝えると、ますます顔色が青くなっていく。
「それ、やばいよ・・・・かなり」
「どんな術かまではわからないけど、それほどの柱を使うのは尋常じゃない」
いよいよ気分悪そうに見える。
「この図形の数、相当の知識で実力者だ、私の手に負えないよ・・・・・師匠ならともかくね」
師匠とは、前に言っていたお婆さんか、隣町の。
「あの人は、たしかギルドに聞けば居場所がわかるとか言ってたな?」
「え!?」
「隣街からはもう旅立ったかな? ギルドから問い合わせれば・・・」
「ちょっ、ちょっと待って! ちょっ!」
「はい? 急ぐんですが」
「待って待って! ダメダメ! あいつに連絡なんて!」
「緊急事態なので・・・」
「じゃあ、私、避難するから、身を隠すからちょっと待って!」
「あの、できれば二人で取り組んでほしいんですが・・」
「あんたは鬼かい!」
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「あの人忙しそうだったので、手紙で問い合わせようかと、それとも自分が尋ねればいいかな? 来てもらうのは無理かなと」
「あ、そう? それもそうか、 わざわざ来る義理は無いよね、そういえば」
そう言って、照れたように笑う。
よほど嫌な相手のようだ。
「でもお金を出せば、もしかして来てもらえるかな~~~ と」
「ダメ!!」
仕方なく、ギルドを通して尋ねるだけとした。
ギルド間では特殊な通信手段があるらしく、明日には返事が来るとのことだ。
それは助かるが、あの人に儀式の事までわかるだろうか?
そしてその夜、あの3人の賊の一人が捕まったと父さんから聞いた。
血痕を辿り、追跡した結果だそうだ。




