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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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クリスタル・ロード 0064   プレゼント作戦

 弓の複製が出来るのは数日後だ。

それまで何か出来ることはあるだろうか?


 ところでジョーイは弓の師匠をしてもらうとして、どこでする気だろう。

家の近くでもできないことは無いが、もっと広い場所が良いのではないかな?

「そう言われるとどこがいいかな? ギルドには無い? この辺がいいかなあ?」


考えていなかったようだ。


 「じゃあ、近くの林として、的を付けとくか? 動く的も」

「あ、それ良さそう、私もやるよ」

「そしてあの人を馬車でそこまで送迎することに」


「そこまでしてくれるの? やった~」   

「まだ引き受けてくれるかは、わからないけどね」



 そして数日後、工匠の所へ二人で受け取りに行くと、そこは街の外れの古い家。

細身で長髪のおじさんが出てくる。

「おう、あのからくり弓な、できてるぞ」

眠そうな顔で無愛想にそう言った。


 弓を受け取ったジョーイは満面の笑みとなった。

「お~っ すごい! 元のとそっくり! よく短期間でできたね」


 「ふん、俺の手にかかりゃどうってことない! からくりが少々手間取ったが、仕組みがわかりゃできるさ」

得意げにそう、のたまった。   


 「それと、少し改良してやったぞ、金具の補強をな! この方が安定するはずだ、使ってみればわかる!」

「え~、 本当? 大丈夫~?」

「けっ 、まあ使ってみろって、話はそれからだ!」


 ジョーイと親しいらしくそんな調子で話しているので、代金を払っておく。

「ん? 払いは坊主か? ほう!」

少しニヤついてこちらを見ているが・・・


「何よ!」

「いやべつに~、 またなんかあったら来いや、じゃあな~」

奥に引っ込んでしまう。   



 翌日、弓を試しに林に向かう。

グロフに同行してもらって、弓の強度を最大の状態の使用感を聞くことにする。

2人が少し使っての感想は・・・?


 「いい、いい! これ前のより本当に良くなってる!」

「そうだな、あれよりブレが少ないと思う、これなら俺でも使えそうだ!」

「へえ~ 本当にあの人、腕いいんだ」


 「あ~ そんなこと言ったらあいつ怒るよ、気難しいからね」

なんて言いながら、ご機嫌だ、 これならジャンヌさんが喜んでくれるかな?


 ではこれを革袋に入れて、リボンを付けようか、 贈り物だから。

「花やお菓子も付けようか? 師匠になって欲しいし、私!」   

「じゃ 二人で行きますか?」



 翌日の昼休みにジャンヌさんに渡すと、はじめポカンとしていたが、魔物襲来の際に助けてもらったお礼と話すと、受けとってくれた。


「あれは仕事の一環なのに、いいのかい? 高かったろう?」

「いえいえ、別に!」

「それで、気が向いたら私に弓を教えてもらえますか? たまにでいいので」

 

 遠慮がちにジョーイが頼むと、引き受けてくれることになった。

 二人で言い方を練習しておいて良かった~。


 後は仲間になってくれると良いが、それはしばらくしての方がいいだろう。



 更に数日後、ギルド長からこっそりあの人の様子を教えられた。


「ギルドの裏庭で試し射ちしとったぞ、気に入ったようだ」   

「良かったです、ご機嫌損ねるかと心配でした」

「あれなら大丈夫だろう、()かさんほうがいいけどな」

そう言って、ニヤリと親指を立てる。



   ===========================

 

 固形ポーション等の製造、販売は順調であり、ギルドを通して10代の子らを雇ったので製造速度が上がって利益も増していく。


 それに包帯や絆創膏ポーションも作って試験販売している。

応急処置用としてこれも好評である。

 

 ギルド長に驚かれた。

「こんな物を考えるのはお前ぐらいだ」   

そうですか、誉め言葉として受け取っておきましょう。



 最近、収入がずいぶん増えたので、お金の管理が大変になって来たと思ったらリーシャがしてくれるという。


 アイリスが手伝いに来ているので、機嫌が良いからだろうと思う。

現金チェックに帳簿付けと、二人で話しながら進めている。

アイリスは小さいながら、しっかりとしているので大丈夫だろう。


 現金がまとまると、父さんが銀行(両替商)へ運んで行っている。

両替商からお得意様認定を受けたらしく、たまに果物などが届けられる。



 「お前は商人を目指すのか?」

夕食時、父さんからそう聞かれたが、別にそんなつもりはないのだ。   

「剣術だけより、色々出来る方がいいと思ってるんですよ、ですよね?」


「そうよね~ 、その方が頼もしいわ」

母さんはそう言って笑うが、父さんはいささか渋い顔だ。

「う~む、そうか~~?」


 父さんは自分を剣士にしたくて幼い時から仕込んでいるのは知っているが、剣術だけ、武力だけでは駄目だと強く思うのだ。

その先がどうなるかを知っているから。



 「ほら、そんな顔してないで飲みましょう! いいワインを買ってくれたのよ」

そう、収入が増えたので、それなりの酒を多めに用意しておいた。

今まで買ったことのない銘柄も入っているので、十分だろう。   


 案の定、二人でほぼ酔いつぶれてしまった。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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