クリスタル・ロード 0059 大猟!
結界で不可視にしておいて接近は対中型と同様、しかしここからは違うか。
大型となると逃げるより向かって来ると思われる、ナワバリに入ったわけなので、ゆえに慎重に対処、馬車にはジョーイとフレアが残り緊急時は離れる事にし、それまで遠距離攻撃や支援担当、男達は散開し草に隠れて接近。
魔物がこちらの気配と匂いに気付いたらしき反応あり。
じりじりと接近し始めたので、レフとグロフは風上に移動し、自分は少し反対側へ爆弾を持って移動し投擲用意、タイミングを待つことに。
敵の前と風下に投げて、グロフたちの方へ追い込む作戦を決行だ。
ズン・ズン! と爆発し驚いた魔物は反対側へと走り、隠れていたレフたちはすれ違いざま攻撃し2頭は倒れ、矢による攻撃でパニックとなっている。
追撃で麻痺弾を投げて動きを鈍らせると、あとはふらついているだけだ。
フレアが魔法で魔物の目に放水し目つぶしをしながら、レフ達と自分で攻撃、とどめを刺していくとすぐ4頭をしとめられた。
同様に残りを追うが追加は2頭だけで、他は森に逃げられてしまった。
「あ~ もったいないですね」
「仕方ない、森の奥まで追うのは危険だ、今日はここまでだな」
「でも6頭だよ、中型と合わせて普段の4倍? 5倍行くかな?」
「爆弾の経費も有るからな、4倍弱か?、まあまあだけどな」
「それは別と言うことで、自分が勝手に持ってきたんで」
「それでも1日でこんなにとは景気がいい、この馬車も有りがたいし」
皆で獲物を馬車に乗せて、ずいぶん重くなったので、皆は帰路馬車を押して歩く。
でも誰も文句言わなかったし、思ったより早く着いた。
『ずいぶん早かったな、しかもこの量か』
ギルドでは驚かれて、解体の前に金を先にくれた。
「「やったー ♪」」
「馬車と爆弾の代金を払われば、な」 グロフさんは義理堅い。
「いりませんよ、入れてもらったわけだし、それと相殺で」
結界の効果を確かめることが出来たし、馬車も試せたから十分だ。
「ああ、それと一つ考えたんですが・・・」
「ん?」
「あの大きい方の魔物、生け捕りにはできないかなあ・・と」
ギルド近くの料理屋に入って少し食べることになった。
時刻はまだ夕方だが、皆動いたせいで空腹となっているのだ。
「しかし、あれを生け捕りか? ・・・・・ どうやって?」
レフが呆れたように言う、やっぱり無理なのか?
「それに捕獲してどうしますの? 飼う気ですか? あれを?」
「ミルク採るの? 繁殖させるの? 牛みたいに?」
「「「「無理!」」」」
やっぱりそうだろうか? う~む。
「実は知り合いに獣魔を操れるのがいて、教えてくれると約束なので」
「ああ、テイマーだったか、珍しい能力だけどな」
「しかしあれは、習えばできると言う事ではないだろう?」
「とりあえずやってみて、駄目ならあの人をスカウトしようかと」
「「ええ~」」
「今の馬車では駄目なのか?」
「大物狙いなら人数を増やすか、戦闘力を上げなければならないし、後の事を考えなければと思いまして」
「そこまで考えてるんだ、へ~、まだ子供なのに」
そりゃ、体は子供だけどね。
「強化した馬車を複数で、獲物を追う! いいと思いませんか? 実入りが増える」
「そりゃ、できればな」
「なるほど、子供とは思えない向上心だ、 出来るかはともかく、試すか?」
丁度料理が運ばれてきたので休憩がてら食べ始める、酒も多めだ。
「ん~、久しぶりの依頼達成と、酒! いいね~」
「でも皆、ほどほどにな、後で夕食がある」
「大丈夫よ~、 そっちは別腹だし、まだ入る~」
「そうだ、ジョーイさんに聞きたいことが・・・」
「ん~、何~」 夢中でほおばりながら話している。
「その弓、特殊だけど、誰の作なんですか? 普通の職人ではないですよね?」
椅子の後ろに立てかけているのを指さす、強度を変えられる機械式だ。
「これ? 私の父さんの師匠でね、名前なんだっけ? 故郷のね~工場でね、弓の名匠よ」
「それを量産出来たら・・なんて思って」
「量産?!」
「売るのもよし、使うのもよしで、仲間が増えれば持たせるとか、衛士隊で使うのも、一般販売にもできればと」
「冒険者と、商人としての着眼だな、なるほど」
「確かに特殊だし、売れるかもな、しかしその人が造ってくれるか? 試作品てことも有り得るだろ、1点物かもな」
「他の職人には無理かなあ? それと同じ物を造るのは・・」
「勝手に作っていいのか? 特別製だろ?」
「礼儀には反しますよね? 質は別として」
「う~ん、 頼めば造ってくれると思うけどね本人が、 少し遠いけどね」
「ちなみに値段は?」
「ふつうの3倍? 4倍だったかな? 私は貰ったんだけど」
その程度なら何とかなりそうだ、この調子なら収入増えるし、情報集めもすれば。
「それにこれ、受付さんにプレゼントしたらどうかな~ と」
「あ、それいいかな? 気にいってたみたいだし」
ジョーイはニヤリとして言う。
「それで私の師匠になってくれたらいいな~、 仲間だとなお良い!」
「あの人が入ってくれたらかなりの戦力アップですね」
勝手に想像してはいるが、そううまくいくか?




