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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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クリスタル・ロード 0058  冒険者としての依頼

「お前に言い忘れたことがあった」


父さんと二人になったとき、急にそんな話になった。


「ここだけの話だがな、実はこの街で行方不明が頻発しとる」

「行方不明?」


「今のところ一人暮らしだけで、身内が騒いでいないから表立ってはいないが、いずれ噂になるだろうから、その前に解決したい」


 

魔物だけではなく、住人の問題も? だから領主から直々に依頼が。


「つまりそれに関しても情報集めと? そっち優先ですか?」

「そうだ、それとなく聞き込みをな、もちろん衛士隊も調べとるが」


「わかりました、行方不明・・とは」   


 魔物と行方不明、関連があるのだろうか? 


「この街って、どこかから狙われてる事が有り得るんですか?」

「なくは無いな、経済的には隣町が上だが、ここだって悪くはないからな、土地が肥えてるから畑にもいいし、国の端だから狙いやすいだろう」


 平和だから狙われないとは限らないか。

だからこそ街は高い塀で囲まれているし、門は衛士達が見張っている。


      

       **********************


 馬車が取りあえず完成し、4人組パーティ「グレン・グリフ」と共同の仕事だ。


「さて、どんな仕事にする? 魔物狩りか?」

「まずギルドに行かない? 良い依頼があるか見ようよ、久しぶりだし」   


「初心者がいるからランクの低めの事ですね」


 「すみません、自分に合わせてもらって」

「構わんさ、さんざん世話になってるんだ、お礼もある」


「それに初心者って言っても強いしねぇ、狼討伐したし・・ w」

あの父さんの息子だからと皆、悪い噂を聞いているらしく、苦笑している。


 「そうそう、強いっていえばギルドの受付さん、あの人も強いと思うよ」

ジョーイが真剣な顔で言う、ジャンヌさんの事だろう。


以前強い弓を平然と引き絞っていたあの人だ。


「あの人も入ってくれたらな~、たぶん有名な弓兵だよ、Aランク以上」

「どうして受付なんでしょうね? もったいない」   


 そういう人は大抵がそれなりの理由がある。


「ワケがあるんだろう、仲間が悲惨な最期で全滅だったりな、よくあることだ」


グロフが代弁してくれる、いくら腕があってもその気に慣れない人はいる、昔からあることで責める気にはなれない。


 ギルドに着くと4人は久しぶりだとカウンターで話し込んだり、他の冒険者と挨拶などしているので自分が依頼を見に行くと、そこそこの仕事がある。


街の外で魔物退治、草原、森、山で、この順で危険度が上がるがあの4人ならこなせるレベルだろう、自分がヘマしなければだが。


 「いよいよ仕事を受けるのかい?」


急に話しかけられて、誰かと思えばジャンヌさんだった。   

噂をしたばかりだったので、少し動揺してしまった。


「ああ、はい、グレン・グリフと組ませてもらったので」

「あの人達なら信頼できるだろう、でも十分気を付けてな」


「あの、ジョーイさんが、弓担当ですが、指導をしてほしいと言ってましたよ」

と、少し話を変えて伝える。


「私に? ・・でも自分のは力任せだから、合わないんじゃないかな」

少し悲しそうに言う、やはり訳ありのようだ。


 自分と話しているのを見て、ジョーイが素早く寄って来る。


「あの、時間のある時に少しだけ見てくれませんか、アドバイス程度でも構いません、お昼奢りますから」   


「そう? じゃ少しだけなら」

優し気に言ってくれる。

ジョーイはしっぽを振っているかのように喜ぶ。


「ありがとうございます~、 えへへ」 


この人はこういう時、得なタイプだな。



 結局依頼を2件選ぶことになった。

イノシシ程度の中型魔物と、牛程度、皆リハビリ感覚でできるそうだから、自分は補助すればいいだけだ、1週間以内に2件なので余裕もある。


しかも装甲馬車と爆弾付きである、爆弾を使い切ると赤字も有り得るが今回は試しなのでそれでも良い。

しかも結界魔法もある、魔物に効くなら万全のはずだ。   


 「ずいぶんいい装備だな、兵士みたいだ」

「ホントですね、さすがは衛士隊長の息子さんかしら」


「まあ、それは置いといて頑張りましょう! 試したいことがあるので」

「おう、久しぶりだし、いいとこ見せないとな」


 馬はフレアがてなづけた元暴れ者、これが5人+ 荷物を余裕で引く。

魔物相手にも動じない豪胆さ、さすがは盗賊出身である。


 すぐに魔物を発見し、結界を発動させて静かに近づくと麻痺弾を投擲(とうてき)

気配で感づかれて、狙いが少し外れるが魔法や弓で仕留め、近くのは槍や剣で。

自分も混ざって打撲系で倒していく。


 中型程度なら問題は無く、追いかけるのが手間なぐらいでどんどん仕留めていく。


「そろそろ、大きいのにいくか?」


リーダーのレフの一声で、移動しすぐ大型獣の索敵が始まる。


 森が近づいてきた。

結界は張ってあるので、見えはしないはずだが緊張はある。


音や匂いまでごまかせるのか、獣の能力によるらしいので楽観はできないだろう。

いざとなれば爆弾を使おうと構えておく。


 「なるべく傷をつけるな、素材価値が下がる」

グロフは言うが、それも命あっての事、いざとなったらズタズタにしてでもと皆思うのだ。


 いたいた、森の端に大きいのが! 数頭見える サイより一回り大きいのが。 

鎧を付けたような体躯(たいく)で、かなりごつい。


「いけますか?」


「急所を狙えば槍で仕留められる」

「剣ならまず足を狙えば、動きが止まる」

「魔法なら、落雷で一気に黒焦げに!」


「「「ダメ!」」」  素材が傷物になるんだろう。



「戦闘開始!」




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